大洋(海)(読み)たいよう(英語表記)ocean

  • 大洋

翻訳|ocean

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

大きな海、外海(そとうみ)。一般には太平洋、大西洋、インド洋、北極海、南極海(南大洋)をいう。大洋に付属する海を付属海(adjacent sea)という。付属海には縁海(えんかい)と地中海とがある。付属海を含めた大洋、すなわち地球の全海洋は地球の表面積の70.8%を占め、約3億6000万平方キロメートル、全体積は約13億7000万立方キロメートル、平均深度は約3800メートルである。海の深さの分布は、陸地の標高のようには正確にはわかっていないので、海水の体積もやや不確かである。また、海岸がいつも氷や雪で覆われている場合には、海岸線の位置が正確にはわからない。

[高野健三]

大洋と氷

海水が凍ると海氷となるが、地球上での海氷の量は約5万立方キロメートルで、全海水量の0.004%にすぎない。一方、地下水を除くと、地表と大気中には約2400万立方キロメートルの淡水があるが、その98%あまりは南極大陸やグリーンランドなどに凍りついていて、水として存在しているのはわずか1.4%にすぎず、海水と際だった違いがある。淡水に限れば地球は水の惑星というよりは氷の惑星である。海氷の厚みは2~3メートルにすぎないが、大陸氷床の厚みは1500~2000メートルもある。したがって氷に覆われている面は海の方が広くなる。海氷が凍りにくい理由はいくつもある。

(1)淡水は3.98℃で密度が最大となるので、3.98℃以下では水温低下とともに水は軽くなり、対流は止まる。海水は、塩分が24.7psuよりも高ければ、氷点に至るまで水温低下とともに重くなるので対流は止まらない。冷えた海水は沈み、別の海水が下から昇ってくるので、水温は下がりにくい。

(2)塩分は氷点を下げるので、海水の氷点は零下1.8~2.0℃くらいのことが多い。氷ができると、もとの海水に含まれていた塩分の大部分は氷のなかに取り込まれず、まわりの海水中にとどまるので、まわりの海水の塩分は高くなり、氷点はますます下がる。北極海が凍りやすのは、大量の河川水が流れ込んで表層水の塩分が下がり、氷点が高くなること、下層に大西洋起源の高塩分の重い水があるために対流が発達しにくいこと、のためでもある。

(3)水(淡水・海水)の特別な性質として凍るともとの水よりも軽くなる。軽いから氷は水面に浮く。海氷の熱伝導率は、もとの海水の熱伝導率よりもはるかに小さく、比熱はもとの海水よりもはるかに大きい。熱伝導が悪く、比熱が大きいのだから、すぐれた断熱材である。それが海面に浮いているのだから、氷ができた途端に氷の下の海水は冷えにくくなる。こうして、海水は凍りにくく、凍ったとしても厚い氷になりにくい。

[高野健三]

大洋と放射反射率

太陽の放射エネルギーの反射率は、おおよその平均値として海面が0.07、海氷が0.5、樹林が0.18、砂漠が0.28、地球全体としては雲の高い反射率がきいて0.3である。したがって、海面の低い反射率と凍りにくいことが、太陽エネルギーを吸収する上で重要な意味をもつ。海が吸収した太陽エネルギーは気化熱(潜熱)などを通して大気エネルギーの重要な源となる。

 陸の氷では、氷ができると放射反射率が高い面ができたことになり、まわりはますます寒くなり、氷は成長する。氷面は広がり、氷厚は上に向かって増す(この効果は海氷にもあるが、海の場合はこの効果を打ち消す他の作用が強い)。氷面の標高は高くなるから、気温はさらに下がる、というわけで氷が上へ伸びるのを抑える作用が働かない。ある程度まで伸びると、大気中の水蒸気が少なくなるので際限なく厚くなるわけではないが、海氷の1000倍も厚い氷ができることになる。

[高野健三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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