大野荘(徳島)(読み)おおののしょう

百科事典マイペディア 「大野荘(徳島)」の意味・わかりやすい解説

大野荘(徳島)【おおののしょう】

阿波国那賀郡にあった荘園。大野本荘と大野新荘があり,《和名類聚抄(わみょうるいじゅうしょう)》の大野郷の地に成立したとみられる大野本荘は徳島県阿南市北部の那賀川南岸に,大野新荘はその対岸,那賀郡羽ノ浦(はのうら)町(現・阿南市)から小松島市南部にかけてに比定される。1159年の〈宝荘厳院(ほうしょうごんいん)領荘園注文〉に記載される荘園の一つで,鳥羽天皇の御願寺宝荘厳院を本家,阿波守であった藤原季行を領家とする。本家職は1330年宝荘厳院が東寺に寄進されたことにより,東寺に帰した。領家職は1204年以前に九条家に移っており,本荘と新荘に分かれていた。本荘は九条兼実から良経,道家,一条実経と伝えられ,1271年に東福寺普門院(ふもんいん)常楽庵に寄進された。一方新荘は道家から孫忠家へ譲られ,九条家に伝領された。鎌倉後期から新荘の一部が薩摩の渋谷氏領となり,南北朝期まで維持された。南北朝期以降,守護細川氏による押領が続き,東寺・東福寺はしばしば守護の非分押妨を室町幕府に訴えている。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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