家禽(読み)カキン

デジタル大辞泉 「家禽」の意味・読み・例文・類語

か‐きん【家×禽】

家畜として飼育される鳥。あひる七面鳥など。⇔野禽やきん
[類語]野鳥水鳥水禽海鳥飼い鳥渡り鳥候鳥夏鳥冬鳥漂鳥留鳥旅鳥迷鳥禁鳥保護鳥益鳥害鳥雄鶏雌鳥小鳥猛禽鳴禽珍鳥始祖鳥

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精選版 日本国語大辞典 「家禽」の意味・読み・例文・類語

か‐きん【家禽】

  1. 〘 名詞 〙 肉や卵を利用する目的で長い年月にわたって飼育されている鳥。ふつう、長年飼育され育種された結果、野外生活をしている原種と色や形が違ってしまった鳥をさす。野生の原種にくらべて体重があり、しばしば飛翔能力を欠く。補充産卵能力が大きく、白色化などの色変わりが多い。ニワトリアヒルガチョウシチメンチョウホロホロチョウなど。⇔野禽(やきん)
    1. [初出の実例]「家禽類は、洋禽も和鶏もよく育って」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉三)
    2. [その他の文献]〔梁書‐何胤伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「家禽」の意味・わかりやすい解説

家禽 (かきん)
poultry

広義の家畜の中で鳥類に属するものをいう。野生の鳥類から人間の生活に役だつように飼いならし,遺伝的に改良したもので,鳥籠で飼う飼鳥とは区別される。おもな家禽とその祖先である野生種は次のとおりである。

 (1)キジ科 ニワトリ(セキショクヤケイなどをインドで約5000年前に馴化(じゆんか)),ウズラ(野生のウズラを日本で江戸時代に馴化),シチメンチョウ(ヤセイシチメンチョウを北アメリカで原住民が馴化し,16世紀にヨーロッパへ紹介),ホロホロチョウ(野生のホロホロチョウを西アフリカで馴化)。(2)ガンカモ科 アヒル(マガモを北半球の各地で馴化),ガチョウ(サカツラガンを中国で,ハイイロガンエジプトで馴化,ヨーロッパで改良),バリケン(ノバリケンをペルーで馴化)。(3)ハト科 イエバトカワラバトをシリア付近で馴化)。

家禽はその飼育目的から,生産物を利用する実用種と,姿や声を観賞する愛玩用種に分けられ,実用種はさらに卵用種,肉用種,卵肉兼用種などに分けられる。卵用種に属するものにはニワトリの白色レグホーン種ミノルカ種,アヒルのカーキーキャンベル種,インディアンランナー種などがあり,白色レグホーン種では年間産卵数365卵の記録もでており,300卵以上産むものもまれではない。これらの品種では就巣性は採卵に不利なので遺伝的に除去してあり,繁殖は人工孵化(ふか)によらねば不可能である。肉用種に属するものはニワトリのブラーマ種,コーチン種などがあるが,最近では兼用種と白色コーニッシュ種を交配した雑種を1350gぐらいに肥育して利用するブロイラー養鶏が盛んになっている。このほかアヒルのペキン種,ルーアン種や,ガチョウ,シチメンチョウ,ホロホロチョウ,食肉バトの各品種もこれに属する。卵肉兼用種としてはニワトリの横斑プリマスロック種,ニューハンプシャー種,ロードアイランドレッド種,名古屋種やアヒルのエールズベリ種などが代表的なものとしてあげられる。このほか特殊な実用鳥として通信用の伝書バトがある。

 愛玩用種としては,ニワトリでは姿の優美な尾長鶏,小国(しようこく),チャボなどの日本鶏や小型でかわいらしい各種のバンタム,ときを告げる声を楽しむ東天紅,声良(こえよし),唐丸,クリューエル種など,そして闘鶏用のシャモなどがある。アヒルにも頭に羽冠のあるカンムリアヒルや,ガチョウにも逆羽が美しいセバストポール種がある。ハトにも尾がクジャクのように広がるファンテール種,首の羽が襟巻のようなジャコビン種,雄が嗉囊(そのう)を大きくふくらませる習性のあるパウダー種がある。またこのほかインドクジャクを改良したシロクジャクや,キンケイから作出されたキンイロキンケイなども,前記の定義から観賞用の家禽としてあげることができる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「家禽」の意味・わかりやすい解説

家禽
かきん

広義の家畜のうち鳥類に属するものをいう。すなわち、人類によって慣らされた鳥類であるが、愛玩(あいがん)用の小鳥などの飼い鳥とは区別され、とくに農業上重要な位置を占める鳥類に対して用いられる。代表的なものには、キジ科のニワトリ、シチメンチョウ、ホロホロチョウ、ウズラ、カモ科のアヒル、バリケン、ガチョウがある。

[西田恂子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「家禽」の意味・わかりやすい解説

家禽
かきん
poultry

鳥類に属する家畜を特に家禽という。人間が野生の鳥を遺伝的に改良したもので,ただ楽しみのために飼われる「飼い鳥」とは異なる。肉,卵,羽毛など実利のため飼育することが多いが,愛玩用としても飼う。キジ目の鳥には家禽が多く,東南アジア原産の鶏,アフリカ原産のほろほろ鳥,北アメリカ原産の七面鳥,さらにうずらなどがある。そのほかガンカモ目ではガンを原種とする鵞鳥,マガモが原種のあひる,ハト目に東部地中海沿岸原産のカワラバトが原種の家ばとなどがあげられる。

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百科事典マイペディア 「家禽」の意味・わかりやすい解説

家禽【かきん】

家畜のうち鳥類に属するもの。野生の鳥から人間の生活に役だつように品種改良し,飼養しているものをいう。ニワトリ,アヒル,シチメンチョウ,ハト,ガチョウのような実用種(肉用,卵用,卵肉兼用,特殊なものに伝書バト)と,愛玩用のオナガドリ,チャボ,競技用のシャモ,声を鑑賞する東天紅などがある。

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栄養・生化学辞典 「家禽」の解説

家禽

 家畜に対して鳥類を人が飼い慣らしたもの.産業用では,ニワトリ,アヒル,シチメンチョウ,ウズラ,ホロホロチョウなど.さらに愛玩用の鳥類も含める.

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普及版 字通 「家禽」の読み・字形・画数・意味

【家禽】かきん

飼う鳥。

字通「家」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の家禽の言及

【畜産】より

…農業生産は植物生産と動物生産の二つに大別されるが,養蚕を除く動物生産にかかわる農業が畜産である。畜産は家畜飼養を中心にした農業だということになるのであるが,人間生活にとけこんでいる家畜家禽(かきん)のなかには犬,猫,小鳥といった愛玩用の動物も含まれており,畜産という場合はこれらの愛玩用家畜・家禽は含めない。役用に供する,肉にする牛・・鶏・七面鳥,卵をとる,乳を搾る乳牛,毛をとるなど,生産目的に飼養する家畜が畜産の対象家畜である。…

【農業】より

…これとともに米価政策その他,国の農業政策が手厚い補助金政策・融資政策をとったためと,工業拡大政策をとったことによって,60年代以後農業は大きく変貌した。その変化は全耕作過程の機械化,農薬,化学肥料,除草剤の多量の使用,酪農その他家畜・家禽飼育の大規模化,果樹,野菜の専業化などにみられる。その過程で犂耕作の家畜飼養は喪失して,一般農家の家畜飼育は減少し,堆肥・厩肥使用は激減し,旧採草地利用はなくなっていった。…

※「家禽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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