デジタル大辞泉
「寒い」の意味・読み・例文・類語
さぶ・い【▽寒い】
[形][文]さぶ・し[ク]「さむい」の音変化。
「それでもお前―・かろうではないか」〈一葉・わかれ道〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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さむ・い【寒】
- 〘 形容詞口語形活用 〙
[ 文語形 ]さむ・し 〘 形容詞ク活用 〙 - ① 温度がいちじるしく低く感じられるさま。
- (イ) 物体や液体の温度が、自分の体温よりもいちじるしく低く感じられるさま。つめたい。
- [初出の実例]「飛鳥井に 宿りはすべし や おけ 蔭もよし 御甕(みもひ)も左牟之(サムシ) 御秣(みまくさ)もよし」(出典:催馬楽(7C後‐8C)飛鳥井)
- 「みづさむくかぜもすずしきわがやどはなつといふことをしらでこそふれ」(出典:兼盛集(990頃))
- (ロ) 気温が不快なほどに低いさま。また、そのように感じるさま。寒気を感じるさま。《 季語・冬 》
- [初出の実例]「高麗国は寒(サムイ)こと極(きはま)て倶(え)凍(こほれ)り」(出典:日本書紀(720)天智称制一二月(北野本訓))
- 「寒けれど二人寝る夜ぞ頼もしき」(出典:俳諧・笈の小文(1690‐91頃))
- ② ある物事によって、いかにもひえびえと感じられるさま。
- (イ) からだや心がひえるように感じられるさま。さむざむと感じられるさま。
- [初出の実例]「葦の葉に夕霧立ちて鴨が音(ね)の左牟伎(サムキ)夕へし汝(な)をばしのはむ」(出典:万葉集(8C後)一四・三五七〇)
- 「梅ちりてしばらく寒き柳かな」(出典:俳諧・夜半叟句集(1783頃か))
- (ロ) 身や心がひきしまるように感じられるさま。きびしく、冷厳に感じられるさま。
- [初出の実例]「さむくやせたる句のうちに、秀逸はあるべしといへり」(出典:ささめごと(1463‐64頃)上)
- ③ 恐ろしさにぞっとする感じである。身の毛がよだつ感じである。〔観智院本名義抄(1241)〕
- [初出の実例]「醜虜の胆を寒からしむだの、凡てえらさうで安っぽい辞句は」(出典:趣味の遺伝(1906)〈夏目漱石〉三)
- ④ 経済的に貧しい。金銭の持ち合わせが少ない。また、身なりなどが貧相だ。みすぼらしい。
- [初出の実例]「つよく寒くかなしい者は、てんつるはぎなるきるものでまり大切なほどに重宝と思ぞ」(出典:史記抄(1477)五)
- 「酒は呑たし、身はさむし」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)五)
寒いの語誌
( 1 )現代語では、「暑い・暖かい・涼しい」と同系列の温度感覚形容語で、身体内部の生理感覚にもとづく話し手または感覚主の状態の表現。「冷たい」が、身体の一部における皮膚感覚にもとづく対象としての事物の表現として使用される点で、「寒い」と意味領域を異にしている。
( 2 )上代では、感覚主の状態、対象の状態の両方に用いられた語であったが、中古、中世を通じて、感覚主の状態を表現する語として確立していく。「冷たし」という新たな語の出現したことがその背景にあった。
( 3 )中古において均衡状態を保っていた「寒し」と「冷たし」は、次第に、感覚主の状態を表わすか、対象の状態を表わすかということによって、意味用法が分化していき、特に「寒し」は比較的早く、現代語に近い意味領域を獲得した。
寒いの派生語
さむ‐が・る- 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
寒いの派生語
さむ‐げ- 〘 形容動詞ナリ活用 〙
寒いの派生語
さむ‐さ- 〘 名詞 〙
さぶ・い【寒】
- 〘 形容詞口語形活用 〙
[ 文語形 ]さぶ・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「さむい」の変化した語 ) - ① 気温が低くひややかである。
- [初出の実例]「けんとうそせつの、さふきよは」(出典:御伽草子・常盤の姥(室町時代物語大成所収)(1504‐21頃))
- 「めっきりとさふいがおやじの疝気は、ばばの虫歯は」(出典:浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)上)
- ② 貧乏である。貧しい。〔新撰大阪詞大全(1841)〕
寒いの派生語
さぶ‐げ- 〘 形容動詞ナリ活用 〙
寒いの派生語
さぶ‐さ- 〘 名詞 〙
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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