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とうげ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


とうげ

山の鞍部をいう。ここを通って多く道が開けている。語源上は「たむけ説」と「たわむ説」とがある。前者は,峠にが祀ってあり,旅人はここで神にたむけをして通るからという。後者は山の稜線が鞍部となってたわんでいる意という。峠は多く村境になっており,村人は旅から帰った人をここで坂迎えする習俗があった。また峠には地蔵など村境の神を祀る例も多い (→境の神 ) 。峠を境にして気象などの自然現象を異にすると同時に民俗のうえでも差異をみせる例が多い。

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デジタル大辞泉の解説

とうげ〔たうげ〕【峠】

《「たむ(手向)け」の音変化。頂上で通行者が道祖神手向けをしたことからいう》
山道をのぼりつめて、下りにかかる所。山の上り下りの境目。「道」
物事の勢いの最も盛んな時。絶頂。「病気は今夜がだ」「選挙戦がにさしかかる」
[補説]「峠」は国字

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デジタル大辞泉プラスの解説

司馬遼太郎の長編小説。1968年刊行。長岡藩家老、河井継之助を主人公に据えた歴史小説。

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世界大百科事典 第2版の解説

とうげ【峠】

山の鞍部を横切って山越えの道が通っているところをいう。
[峠という言葉]
 峠という字は日本で作られたもので,道が山嶺を越えて上り下りするところからできた。鞍部をタワと呼ぶところから,そこを越えるのでタワゴエが転じてトウゲとなったという説と,そのような場所には境界()が多く,境の神,塞(さい)の神あるいは道祖神などがまつられるので,その神に安全を祈って手向(たむ)けをするところから,タムケがトウゲになまったという説とがある。

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大辞林 第三版の解説

とうげ【峠】

〔「手向たむけ」の転。通行者が旅路の安全を祈って道祖神に手向けた所の意。「峠」は国字〕
尾根の鞍部を越える山道を登りつめた所。道はそこから下りになる。
ものの勢いの最も盛んな時期。絶頂期。 「この熱も今が-だ」 「インフレも今年が-だろう」
[句項目] 峠を越す

とうげ【峠】

姓氏の一。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


とうげ

山地の尾根の峰と峰との間の低い鞍部(あんぶ)をいい、尾根越えの道路が通じている所を峠という。低い鞍部は古語で「タワ」「タオリ」「タル」「タオ」などとよばれ、トウゲはタムケ(手向)の転化ともいわれるが、むしろ「タワゴエ」や「トウゴエ」が詰まったものと考えられている。英語でパスpassというのは、通過できるpassableことからきており、山稜(さんりょう)の低所に道が通じているものをいう。
 尾根の両側に水系が発達して、両側から侵食が進むと、尾根の部分に低所をつくる。また、硬層と軟層とが互層している所では、軟層の部分が早く侵食されて鞍部をつくる。断層が尾根を横断する所では、岩石が破砕されているので侵食を受けやすく、鞍部をつくる。これをとくに英語でコルcolとよぶ。
 日本には1万を超える峠があるといわれ、古来交通体系にとっては重要な意義をもっていた。現在は、交通機関の発達によって峠のもつ交通上の意義は小さくなったが、登山の根拠地として、また鉄道の捷路(しょうろ)として利用されている。
 インド北西部カシミールのカラコルム峠(5574メートル)は世界最高の峠と称され、インドと中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区との連絡路となっている。ヨーロッパのアルプス山脈中には多数の有名な峠があり、ローマ帝国時代から利用され、ナポレオンのアルプス越えは有名である。最近では鉄道や高速自動車道も通じ、シンプロン峠(2005メートル)、サン・ゴタルド峠(2108メートル)などが有名で、現在はその下をトンネルによって鉄道を通している。北アメリカ大陸では、ロッキー山脈中のエバンス峠(2568メートル)をはじめとして、大陸横断鉄道が通じている峠が多い。南アメリカのアンデス山脈には、タコラ峠(4880メートル)があり、ボリビア鉄道が通じて、世界最高所の鉄道となっている。
 日本では、南アルプスの赤石山脈中の三伏(さんぷく)峠(2600メートル)が最高で、古い時代には静岡県の大井川地方と長野県の伊那(いな)盆地との交通路に利用されたが、現在は、塩見岳への登山基地となっている。そのほか飛騨(ひだ)山脈中の針ノ木峠(2541メートル)、関東山地の雁坂(かりさか)峠(2082メートル)などが高く、よく知られている。[市川正巳]

民俗

山脈は自然のつくる地域の境界であるが、峠はこれを破って他国他郷に通じる人為の所産で、山脈の鞍部がおのずからその近道に選ばれた。日本列島は幾筋もの脊梁(せきりょう)山脈で表裏に分かたれ、内陸部には大小の盆地が幾多生成していたので、国内交通に占める峠の役割も大きかった。近江(おうみ)国の48峠はじめ諸国には古くから数多くの峠路が開かれ、他国他郷との接点となってもいた。とくに徒歩と牛馬だけによる旧時代の状況では、勾配(こうばい)の緩急より距離の長短が重くみられたので、山脈を横切る形の峠越しの近道は重要な交通運輸の動脈をなしてきた。また大小多数の藩領に分割されていた江戸時代では、山脈のかなたはほとんど異藩他郷であったから、峠下の番所、宿駅には特異な配慮が加えられ、また峠茶屋、助小屋など、その往還をめぐる習俗も多彩であり、こうした峠の風物は文芸の好題材にもなった。峠は国境、村境ゆえ、そこには境神(さかいがみ)、山の神の類が祀(まつ)られ、「柴立(しばたて)、柴折」など行旅の安全を祈る「手向(たむけ)」の習俗を伴い、また矢立峠、行逢(ゆきあい)峠など神々の「境さだめ」の伝説を伴うものも多い。鉄道開通に伴う国内の交通体系の一変で旧峠路の多くは廃道と化し、峠の麓(ふもと)集落も一挙に廃(すた)れ果てた所が少なくない。近年山越えの自動車道の整備で、古い峠筋の復活がかなりみられても、新道は多くはトンネルか遠い迂回(うかい)路で、古い峠路はほとんど廃道と化したままである。[竹内利美]

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世界大百科事典内のの言及

【坂】より

…語源については,〈サカシキ(嶮)〉〈サカヒ(堺,境)〉〈サカフ(逆)〉に発するとか,また,〈サキ(割)〉の原語のサとカ(処)とから成るとかいわれているが定かではない。しかし,坂といわれる場所が地域区分上の境界をなしたり,交通路のをなしたりしている事例が少なくないことは,語源に関する諸説の中ではとくに重要とみられる。〈遠つ国(とおつくに)〉で死者の住む世界である〈黄泉国(よみのくに)〉と〈この世〉とは,〈黄泉の界(さかい)〉で仕切られつつ,たがいに接した形で想念されていたし,その場所は〈黄泉の坂〉でもあった(《古事記》《万葉集》)。…

【柴】より

…祭祀用には,おもに常緑の柴が神の依代(よりしろ)とされたり神に手向(たむけ)るのに使われた。峠や村境の路傍には〈柴立て〉〈柴折り〉という所があり,ここに柴を挿して旅や行路の安全を祈る風があった。高知県では〈柴折り様〉に柴を供えて通れば〈ひだる神〉に憑(つ)かれないという。…

※「峠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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