(読み)レン

デジタル大辞泉 「廉」の意味・読み・例文・類語

れん【廉】[漢字項目]

常用漢字] [音]レン(呉)(漢) [訓]かど
私欲がなく、けじめがついている。いさぎよい。「廉潔廉直孝廉清廉破廉恥
安い。「廉価廉売低廉
[名のり]おさ・きよきよし・すが・すなお・ただし・やす・ゆき

れん【廉】

[名・形動]
値が安いこと。また、そのさま。安価。廉価。
「治療代の案外―なのを喜んだ」〈漱石
心が清らかで欲が少ないこと。また、そのさま。
「これを避けて用ゐざる事は、実に―なりとやいはん」〈国歌八論

かど【廉】

《「かど」と同語源》特に取り上げるべき事項・箇所。ある事柄原因理由となる点。「不審のがある」「反則で罰せられる」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「廉」の意味・読み・例文・類語

れん【廉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. かど。すみ。また、かたわら。そば。側近。〔儀礼‐郷飲酒礼〕
  3. ( 形動 ) 心が清らかであること。清く潔白なこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「慙愧城陽因勇進、庶幾馮翊以廉称」(出典:菅家文草(900頃)三・行春詞)
    2. [その他の文献]〔史記‐蘇秦伝〕
  4. ( 形動 ) 値がやすいこと。費用が少なくてすむこと。また、安っぽいこと。また、そのさま。安直。
    1. [初出の実例]「其国の産物は、価廉にして」(出典:日本風俗備考(1833)五)
    2. [その他の文献]〔王禹偁‐黄州新建小竹楼記〕

かど【廉】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かど(角)」と同系か ) 数えたてるべき箇条。条理。理由。また、目につく特徴。「不審の廉がある」
    1. [初出の実例]「面白きかどを少々(すくなすくな)と見せて、見物者の心を引き驚かして」(出典:花鏡(1424)比判之事)
    2. 「今朝、態々(わざわざ)参った旨意(カド)は」(出典:人情本・閑情末摘花(1839‐41)五)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「廉」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

(旧字)
13画

[字音] レン
[字訓] かたわら・すみ・いさぎよい・やすい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(兼)(けん)。は見母(けんぼ)。見母の字に各(かく)(洛(らく))・監(かん)(濫(らん))など、來(来)母(らいぼ)の声に転じ、声符を共有する例が多い。〔説文九下に「仄(かたむ)くなり」とあって、傾仄(けいそく)・仄(ひよくそく)の意とする。一方に偏することから廉隅の意となり、一偏を守ることから廉直の意となる。その義に、また濂(れん)を用いることがある。

[訓義]
1. かたわら、建物のかたわら、席のかたわら。
2. はし、すみ、かたよる。
3. かどかどしい、いさぎよい、なおし。
4. つづまやか、つましい、てがる、やすい。
5. するどい、たえる、たつ。
6. みきわめる、しらべる。

[古辞書の訓]
名義抄 イサギヨシ・ミル・ツツシム・カド・キヨシ・ウツ・サハヤカナリ・ウルハシ・ミサヲナリ・ミサヲ・ソバ 〔字鏡集〕 ミサヲ・サダカニ・ツツシム・ミサヲナリ・イサギヨシ・カド・ウルハシ・キヨシ・オホヤケ・アキラカ・サハヤカナリ・ミル・ウツ

[声系]
〔説文〕に声としてなど二字を収める。なお(けん)声の字にも、(鎌)・(れん)など、声を以てよむものがある。

[語系]
・濂liamは同声は〔説文〕十一上に「水なり」とみえ、字はまたに従う。

[熟語]
廉按廉畏・廉価・廉介・廉角廉恪廉覈廉悍・廉毅廉愧・廉義廉倨廉謹・廉隅・廉勁・廉敬・廉・廉潔・廉・廉倹・廉公・廉察・廉士・廉質・廉峭・廉譲・廉深・廉正・廉清・廉靖・廉静・廉節・廉繊・廉善・廉恥・廉忠・廉直・廉得・廉白・廉夫・廉平・廉訪・廉問・廉約・廉勇・廉誉・廉吏・廉利・廉良・廉
[下接語]
苛廉・寛廉・義廉・謹廉・勁廉・潔廉・謙廉・公廉・孝廉・剛廉・刻廉・至廉・小廉・仁廉・清廉・善廉・大廉・忠廉・直廉・貞廉・方廉・養廉・稜廉

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android