戒める(読み)イマシメル

デジタル大辞泉 「戒める」の意味・読み・例文・類語

いまし・める【戒める/×誡める/▽警める/▽縛める】

[動マ下一][文]いまし・む[マ下二]
1 まちがいをしないように前もって注意する。教えさとす。「気を緩めないよう―・める」
2 してはいけないと命ずる。禁止する。「肉食を―・める」
3 同じ過ちを犯さないようにしかる。「嘘をついた子供を―・める」
4 警戒する。
「町々を―・めて歩く巡査の靴音」〈藤村・新生〉
5 (縛める)自由がきかないようにしばる。「盗人を荒縄で―・める」
6 忌み嫌う。
「人の―・むる五月さつきは去いぬ」〈宇津保・藤原の君〉
[類語]戒告・訓戒・戒・諭旨・教戒・勧戒・諫いさめる・意見・諫言・諭す・諫死・注意・説教・𠮟責・諌止・苦言・忠言・忠告・勧告・警告・心添え・戒いましめ・窘たしなめる・咎とがめる・言い聞かせる・言い含める・因果を含める・くぎを刺す

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精選版 日本国語大辞典 「戒める」の意味・読み・例文・類語

いまし・める【戒・誡・警】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]いまし・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 ( 「忌ましむ」で「忌み遠ざける」が原義 )
  2. ① 不都合なことを起こさないように訓戒したり注意したりする。
    1. (イ) あやまちのないように、前もって注意する。教えを守るようにさとす。訓戒する。
      1. [初出の実例]「天皇、親(みづか)ら新羅を伐たむと欲す。神、天皇に戒(イマし)めて曰く、な往(いま)しそ、とのたまふ」(出典:日本書紀(720)雄略九年三月(前田本訓))
      2. 「ひそかに小町田に意見を語りて、其将来を警誡(イマシメ)たり」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一一)
    2. (ロ) (自分自身で)あやまちのないように努める。
      1. [初出の実例]「みづからいましめて、恐るべくつつしむべきは、このまどひなり」(出典:徒然草(1331頃)九)
  3. ② 行動を禁止したり、抑制したりする。
    1. (イ) してはいけないと制止する。行なうことを禁じる。
      1. [初出の実例]「若無比丘(にゃくむびく)と仏のせちにいましめ給へるをこそ、思ひ至らぬくまもありがたからめ」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)二)
      2. 「神前のおそれあるによってかたくいましめて是をゆるさぬ所に」(出典:光悦本謡曲・阿漕(1532頃))
    2. (ロ) よくない行為を再びしないように、しかる。
      1. [初出の実例]「『ありしあかつきの事いましめらるるは。知らぬか』とのたまふにぞ」(出典:枕草子(10C終)一六一)
  4. ③ いやだと思う。嫌う。忌む。
    1. [初出の実例]「かく人のいましむる五月(さつき)はいぬ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
  5. ④ 自由がきかないように、縛ったり閉じ込めたりする。罰する。また、比喩的に、人の自由を束縛する。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
    1. [初出の実例]「あらゆる制約にいましめられてゐる人間」(出典:竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の人生観)
  6. ⑤ 守りをきびしくする。厳重に警戒する。
    1. [初出の実例]「是に、中大兄、衛門府(ゆげひのつかさ)に戒め、一時(もろとも)に倶に十二の通門を鎖(さしかた)めて、往来(かよ)はしめず」(出典:日本書紀(720)皇極四年六月(岩崎本訓))

戒めるの語誌

本来あるべき状態から外れた行動や思いをしないように、他に対して精神面の抑制あるいは禁止を求めていた「いましむ」が、平安時代末あたりから、具体的行為について、罰したり縛ったりするという意味をも表わすようになった。一方、あるべき状態から外れた行動などを、他から与えられないように自らが警戒・警固する意をも加え、さらに鎌倉時代には、自分が自分自身に対して用心する意も有するようになった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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