球
きゅう
sphere
空間において1点から一定の距離にある点全体の集合を球または球面といい、球によって囲まれる立体を球体という。点Aからの距離がrである点全体の集合として得られる球に対して、Aをその中心、rをその半径という。球の中心を通る直線と球とが交わる2点を対心点(または直径対点)といい、対心点を両端とする線分(またはその長さ、すなわち半径の2倍)をその球の直径という。球の中心を通る平面と球との交線を、その球の大円といい、中心を通らない平面と球との交線を小円という。球上の2点を結ぶ最短線は大円の一部である。
(x, y, z)を直交座標とするとき、中心が(a, b, c)で半径がrの球の方程式は
(x-a)2+(y-b)2+(z-c)2=r2
であり、この球によって囲まれる球体は不等式
(x-a)2+(y-b)2+(z-c)2≦r2
を満たす。半径rの球の表面積は4πr2であり、半径rの球体の体積は(4/3)πr3である。半径rの球の表面積はそれに外接する直円柱の側面積に等しい(図の(1))。また半径rの球から間隔dの平行平面で切り取られる部分(図の(2))の面積は2πrdである(平行平面の位置に関係なくその間隔だけで決まる)。
なお、小学校の教科書には「どこから見ても丸く見える図形を球という」と書かれている。これを厳密に述べれば「曲面S上にない任意の点Pについて、PとS上の点とを結ぶ直線全体の集合がPを頂点とする円錐(えんすい)をなすときSを球という」となる。これが球の自然な定義である。これに対して「空間において1点から一定の距離にある点全体の集合を球という」は論理的な定義である。この二つの定義は同値であるが、その証明はやさしくはない。
[荻上紘一]
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球
きゅう
sphere
定点Cから等距離 r にある空間内の点全体の集合をいう。Cを球の中心,r を半径という。球はまた,円を直径のまわりに1回転して得られる回転面と考えてもよい。直交座標系 O-xyz に関する球の方程式は,中心Cの座標を ( a ,b ,c ) とすれば,
(x-a)2+(y-b)2+(z-c)2=r2……(1)
で与えられる。中心Cが原点にある場合は,Cの座標は (0,0,0) であるから,方程式は
x2+y2+z2=r2……(2)
である。また次の不等式
(x-a)2+(y-b)2+(z-c)2≦r2……(3)
を満足する点全体を球ということもある。このときは,(1) を満たす点 ( x ,y ,z ) の全体を球面といい,(3) を球体という。球の表面積 S およびそれで囲まれる球体の体積 V は,それぞれ S=4πr2 ,V=4πr3/3 で与えられる。ただし r は半径,πは円周率である。
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きゅう〔キウ〕【球】
1 丸いもの。たま。
2 空間の一定点から一定の距離にある点の軌跡。その定点を球の中心、一定距離を球の半径という。
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きゅう キウ【球】
〘名〙
① まりのように丸いもの。たま。「電球」「地球」
② 空間における、一定点から等距離にある点全体から成る曲面(球面)、あるいはそれによって囲まれた立体(球体)。〔医語類聚(1872)〕
※
小学読本(1873)〈
田中義廉〉二「太陽は、大なる球にて、世界に、光と熱を与ふ」
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球【きゅう】
空間で一定点(中心)から一定の距離(半径)にある点の軌跡。これを球面といい,球面に囲まれた立体を球ということもある。表面積=4π×(半径)2,体積=(4/3)π×(半径)3。→球冠/球欠/球面幾何学/球面三角法/円/回転体
→関連項目半径
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出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報
きゅう【球 sphere】
空間において,1定点から一定の距離にある点の全体を球面または球といい,定点をその中心という。中心と球面の点を結ぶ線分またはその長さを半径といい,球面の2点を結ぶ線分が中心を通るとき,この線分またはその長さを直径という。中心からの距離が半径より小さい点の全体を球面の内部,大きい点の全体を球面の外部という。球面とその内部を合わせたものも球と呼ばれる。球面を平面で切れば切口は円となる。この円を平面が中心を通るときには大円といい,そうでないときには小円という。
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