日本大百科全書(ニッポニカ) 「若宮(神社)」の意味・わかりやすい解説
若宮(神社)
わかみや
若宮社、若宮神社ともいう。基本的には本宮の摂・末社として主祭神の御子(みこ)を神に祀(まつ)る社(やしろ)をいうが、ときに本宮に対してその主神の分霊を勧請(かんじょう)した社を若宮といい、また非業の死を遂げた怨霊(おんりょう)を慰め鎮めるために祀った社を若宮と称する例も少なくない。若宮八幡(はちまん)は仁徳(にんとく)天皇、春日(かすが)若宮は天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)、大神(おおみわ)神社の若宮は太田田根子命(おおたたねこのみこと)、梅宮神社の若宮は橘諸兄(たちばなのもろえ)と、いずれも主祭神の御子を祀るが、鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)はもと源頼義(よりよし)が石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)を由比郷(ゆいごう)に祀った鶴岡若宮であり、鹿児島市有村(ありむら)町の若宮神社は島津氏が鶴岡八幡を勧請したものである。また鹿児島県出水(いずみ)市野田町の若宮神社は、文武に優れた武将で藩主に謀殺された島津忠兼(ただかね)の祟(たた)りを鎮めるための社であり、愛媛県宇和島(うわじま)市の和霊(われい)神社も藩主に殺された功臣を祀る社で、同県内ではこの種の社を若宮社という。
[薗田 稔]