[名]
1 尺貫法の重さの単位。1貫は1000匁(もんめ)、すなわち3.75キロで、明治24年(1891)から昭和33年(1958)まで商取引で用いられた。
2 銭貨を数える単位。1貫は銭1000文。江戸時代、実際には960文が1貫とされ、明治時代には俗に10銭を1貫とも称した。貫文(かんもん)。
3 律令制で、戸籍に記載されること。また、その土地。本貫。
4 中世、土地面積の表示に用いた単位。一定の広さではなく、租税となる米の収獲高を銭に換算して表したもの。
[接尾]⇒かん
柱と柱、束(つか)と束の間を横に貫いてつなぐ材。位置により頭貫(かしらぬき)・内法貫(うちのりぬき)・地貫(じぬき)などとよぶ。貫木(ぬきぎ)。「貫を渡す」
[接尾]助数詞。握り鮨(ずし)の数を数えるのに用いる。鮨一つが一かん。
[補説]「貫」と当てて書くこともある。
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(1)尺貫法の質量の基本単位。1貫=1000匁(もんめ)=3.75kg=8.267ポンド。(2)銭貨の単位。1貫文は一文銭1000枚。これは中国から伝わったもので,銭を緡(さし)に貫いたことから起こった。
→関連項目貫高
柱を貫いて軸部を連結する水平材をいう。古くは柱の頂部の頭貫(かしらぬき)のみで,柱を連結する構造材はもっぱら長押(なげし)であったが,鎌倉時代以降唐様や大仏様の影響で貫が多用されるようになった。使用位置により地貫(柱の下部),腰貫・胴貫(窓の下あたり),内法(うちのり)貫(窓や出入口の上)などがある。
→関連項目木舞|真壁
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通貨の単位または質量の計量単位。(1)通貨の単位。中国の宋代のころに始まる通貨の単位で,銭貨1000文(もん)のことをいう。この名称は銅銭1000枚の穴に緡(びん)(鏹(きよう)ともいい,ぜにざしのこと)を貫いて束ねたことに由来し,日本でも唐銭,宋銭の流入に伴って室町時代前後から用いられるようになった。江戸時代になると通貨は基本を異にする金,銀,銭の3貨に分かれ,基本単位は金貨が小判の両(=4分=16朱),銀貨が匁,銭貨が文であり,銀貨1000匁を1貫目,銭貨1000文を1貫文と呼んだ。
縁にひもをとおして足の甲にかけきんちゃく状にした毛皮製の浅沓(あさぐつ)(イラスト)。材料には熊,牛,猪,カモシカ,アザラシの毛皮などが使われた。平安時代の末ころから武将などが馬に乗るときにはいたもので,室町時代には綱貫(つなぬき)と呼ばれるようになった。動物の頰(つら)皮を用いたのでツラヌキ,沓の前部の頰にひもをとおしたのでツラヌキと当初は呼んだものと思われる。江戸時代中期の伊勢貞丈によれば,ツラヌキは緒を足の裏へ回して足の甲で結んではくものだが,沓底の縁に別革で乳(ち)がとりつけてあり,これに両側から緒を貫いて結ぶのでツラヌキ沓というのを略したものだという。
木造建築の真壁造りで,柱の途中を貫いて相互に横につなぎ,軸組みを強固にするとともに壁下地である竹小舞を取り付ける桟とする構造補強材。通し貫ともいう。桁下から土台まで,その入れる高さによって天井貫,内法(うちのり)貫,胴貫,地貫の名があり,胴貫を2本入れるのを5通り貫,1本だけのを4通り貫ともいう。ふつう1.5cm厚,成(せい)(幅,長さに対して下端から上端までの垂直距離をいう)10cm内外の板を,柱真に貫幅よりやや広く彫った貫穴に通し,両側からくさびを打って固定する。
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➀垂直の柱と柱を貫いてつなげる横木。水平方向の固定に用い、壁や床下の補強などに使用される。
➁木製のテーブル・椅子(いす)などの脚部を補強するために用いる横木。
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尺貫法の質量の単位。1貫は、1000匁(もんめ)。約3.75kg。1959年の計量法の改正により、この単位は商取引上での使用を禁止された。◇名称は、唐の開元通宝銭1000枚をひもでくくった道具「銭貫」にちなむ。
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[1]
[一] 令制で、戸籍に記載されること。また、その土地。本貫(ほんがん)。〔令義解(718)〕
[二]
① 銭を数える単位。一文銭一〇〇〇枚を一貫とする。江戸幕府は、寛永通宝(一文銭)を鋳造するようになってから、銭と金の比価を四貫文対一両と公定した。明治維新以降、明治四年(一八七一)に銭貨一文は新貨一毛通用に定められ、一〇文が一厘、一〇〇文が一銭、一貫文は一〇銭相当のところから、俗に一〇銭のことを一貫と呼んだこともある。
※続日本紀‐和銅四年(711)一〇月甲子「其従六位以下蓄銭有二一十貫以上一者、進二位一階一叙」
② 中世、土地や所領の規模、負担能力などの表示に用いられた単位。土地・所領の貫高(かんだか)は、年貢や軍役の賦課基準となった。
※太平記(14C後)三五「是は今何事に三万貫に及ぶ大庄給り候やらん」
③ 尺貫法の目方の単位。一〇〇〇匁。三・七五キログラム。
※書言字考節用集(1717)一〇「一貫匁 イックハンメ 千銭目也。其重猶二銭一貫文之義一」
[三] 「三」をいう、陶器商の符丁。〔かくし言葉の字引(1929)〕
[2] 〘接尾〙 握り鮨を数えるのに用いる。
〘他サ変〙
① 律令制で、戸籍に記載する。
※続日本紀‐和銅六年(713)五月甲戌「部下寒川郡人物部乱等廿六人、庚午以来並貫二良人一」
② つらぬく。
※文明本節用集(室町中)「予一以貫 ワレハイチコレヲモッテクヮンセリ」
※長門本平家(13C前)八「膝ぶしをかせぎに射つなぬかれて」
〘他カ五(四)〙
① 端から端へ、または表から裏へつき通す。ぬく。
※蘇悉地羯羅経略疏寛平八年点(896)二「穿継(ツラヌキ)畢りなば、又更に真言七遍持誦し」
② はじめから終わりまでつづけ通す。
※栄花(1028‐92頃)暮待つ星「君が代にあふぎと見れば氷すら千代をかねてぞ結びつらぬく」
③ はじめの気持や考えを変えることなく最後まで守る。
※雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉下「親の素志も貫き貴君の御名誉にも」
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世界大百科事典内の貫の言及
【社寺建築構造】より
…同じ木造であっても,材木を横にして積み重ねる校倉(あぜくら)のような構造は,倉庫その他のごく一部の建築にしか使われなかった。骨組みのなかで最も重要なのは,柱と,これをつなぐ梁(はり),貫(ぬき),長押(なげし)で,壁は単なる仕切りにすぎず,構造的に重要な意味をもたない。そのため,壁をまったくもたない建築も可能であり,また一般に窓や出入口は煉瓦造,石造に比べてはるかに大きい。…
※「貫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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