出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
河口域や湾の奥部の潮間帯には,川から流れ出た砂泥が堆積し,広く平たんな砂泥地ができる。干潟とは,このような場所が干潮時,海面上に姿を現したものを指す。その成因から,干潟の砂泥は,きわめて豊富な栄養塩類や有機物を含んでいる。それにもかかわらず干潮時には,毎日2回は空気中にさらされるため,酸素が十分に供給され,生物にとって好適な環境をつくっている。
干潟には,ゴカイ類,二枚貝類などが,きわめて豊富にすみつき,コメツキガニなどのスナガニ類も多い。これらの底生生物たちを餌とする鳥類(チドリ,シギ,サギなど)も多く訪れるため,鳥の観察には絶好の場所を提供している。また干潟は,アサリ,バカガイ,シオフキガイなどの貝を求めて,潮干狩りに利用されている。満潮時は冠水するが,このときは底生生物を餌とする多くの魚類が集まり,藻場と同じように,浅海で最も重要な幼稚魚の成育場にもなっている。一方,その立地条件などから,干潟は埋立地として最もねらわれやすく,1978年の環境庁の調査によると,日本の干潟の3分の1は,工業用などに埋め立てられてなくなっている。
1960年代後半の高度成長時代に,工場立地のためなどによって次々と干潟が埋め立てられたため,反公害や自然保護などの住民運動も盛んに行われるようになり,入浜権や環境権なども主張されるようになった。自治体などでは,これらの住民の要求と埋立計画の妥協策として,埋立地の沖側や埋立てで陸地にとり残された海岸の一部に,人工的に干潟を作った。都市周辺の人工干潟には,年とともに底生動物も増加し,多くの野鳥が集まるようになってきているが,客土した土壌の性質や人工干潟の位置,海水の交換などの条件によって,自然の干潟とほぼ同じような生物相になったところから,ひじょうに貧弱な生物相のままのところまである。83年現在,東京湾奥の2ヵ所の野鳥公園,横浜の人工干潟などがあるが,全国で目下計画中のものがいくつか知られている。
執筆者:向井 宏
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…アメリカ東岸のバリアは沖浜から直接にあるいは海岸に沿う砂の流れ(漂砂)によって砂が供給され,多くは数千年前に急速に成長し,現在は浸食過程にあるものもある。潟や湾の内側では波浪が弱いので,泥質の細粒物質が堆積して干潟をつくる。河川が湾や潟に流入する河口付近には三角州が形成され,干潟をなす所も多い。…
※「干潟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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