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ラムサール条約 ラムサールじょうやくRamsar Convention on Wetlands

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ラムサール条約
ラムサールじょうやく
Ramsar Convention on Wetlands

正式名称「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。国際湿地条約水鳥湿地保全条約ともいう。自然保護を目的とする最初の国際条約。1971年イランラムサールで採択された。締約国は,渡り鳥などの水鳥の生息地として重要な湿地を登録し,その保全をはかることを義務づけられる。1974年オーストラリア北部ノーザンテリトリーのコーバーグ半島が重要な湿地として初めて登録され,2012年8月現在締約国数は 162,登録湿地数は 2046で,総面積約 194万km2に上る。日本は 1980年に加盟,タンチョウの生息地である北海道釧路湿原(1980。→釧路湿原国立公園)を皮切りに,1985年に宮城県の伊豆沼内沼,1989年に北海道のクッチャロ湖,1991年に北海道のウトナイ湖が登録された。1993年には釧路市で第5回締約国会議が開かれ,新たに北海道の霧多布湿原厚岸湖別寒辺牛湿原,千葉県の谷津干潟,石川県の片野鴨池,滋賀県の琵琶湖の 5ヵ所が追加された。2012年8月現在の日本の登録湿地は 46ヵ所。

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知恵蔵の解説

ラムサール条約

正式名は特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(Convention on Wetlands of International Importance Especially as Waterfowl Habitat)。1971年、イランのラムサール会議で採択。日本は80年に加盟。多様な生態系を持つ湿地の保全が目的。加盟国は条約事務局に最低1カ所の湿地を登録、保全に努める。2006年6月現在152カ国が加盟、1609カ所が登録。1993年北海道釧路市で第5回締約国会議が開かれ、湿地の「賢明な利用(ワイズ・ユース)」を盛り込んだ釧路声明が採択された。日本国内の登録湿地は、05年11月ウガンダの第9回締約国会議で新たに20カ所が登録され、計33カ所130ha。

(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ラムサール条約

正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。1971年にイランのラムサールで採択された。日本は80年に加入し、北海道の釧路湿原が国内で最初に登録された。現在、登録されている国内の湿地は50カ所。

(2017-04-25 朝日新聞 朝刊 鳥取全県・1地方)

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デジタル大辞泉の解説

ラムサール‐じょうやく〔‐デウヤク〕【ラムサール条約】

イランのラムサール(Rāmsar)で、1971年に採択された国際条約「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」の通称。広く水辺の自然生態系を保全することを目的とする。登録対象となる区域は湿原のほか、湖・渓流・浅い海などの水域も含まれる。日本は1980年(昭和55)に加盟。国際湿地条約。
[補説]日本の登録地
湿地名都道府県名登録年
釧路湿原北海道昭和55(1980)
クッチャロ湖北海道平成元(1989)
ウトナイ湖北海道平成3(1991)
厚岸湖別寒辺牛(べかんべうし)湿原北海道平成5(1993)
霧多布湿原北海道平成5(1993)
宮島沼北海道平成14(2002)
阿寒湖北海道平成17(2005)
雨竜沼湿原北海道平成17(2005)
サロベツ原野北海道平成17(2005)
濤沸湖北海道平成17(2005)
野付半島野付湾北海道平成17(2005)
風蓮湖春国岱(しゅんくにたい)北海道平成17(2005)
大沼北海道平成24(2012)
仏沼青森県平成17(2005)
伊豆沼内沼宮城県昭和60(1985)
蕪栗沼・周辺水田宮城県平成17(2005)
化女沼宮城県平成20(2008)
大山上池下池山形県平成20(2008)
尾瀬福島県・新潟県・群馬県平成17(2005)
渡良瀬遊水地茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県平成24(2012)
涸沼(ひぬま)茨城県平成27(2015)
奥日光の湿原栃木県平成17(2005)
芳ヶ平湿地群群馬県平成27(2015)
谷津干潟千葉県平成5(1993)
佐潟新潟県平成8(1996)
瓢湖新潟県平成20(2008)
立山弥陀ヶ原・大日平富山県平成24(2012)
片野鴨池石川県平成5(1993)
三方五湖福井県平成17(2005)
中池見湿地福井県平成24(2012)
藤前干潟愛知県平成14(2002)
東海丘陵湧水湿地群愛知県平成24(2012)
琵琶湖滋賀県平成5(1993)
円山川下流域・周辺水田兵庫県平成24(2012)
串本沿岸海域和歌山県平成17(2005)
中海鳥取県・島根県平成17(2005)
宍道湖島根県平成17(2005)
宮島広島県平成24(2012)
秋吉台地下水系山口県平成17(2005)
東よか干潟佐賀県平成27(2015)
肥前鹿島干潟佐賀県平成27(2015)
荒尾干潟熊本県平成24(2012)
くじゅう坊ガツルタデ原湿原大分県平成17(2005)
藺牟田(いむた)池鹿児島県平成17(2005)
屋久島永田浜鹿児島県平成17(2005)
漫湖沖縄県平成11(1999)
慶良間諸島海域沖縄県平成17(2005)
名蔵(なぐら)アンパル沖縄県平成17(2005)
久米島の渓流・湿地沖縄県平成20(2008)
与那覇湾沖縄県平成24(2012)

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百科事典マイペディアの解説

ラムサール条約【ラムサールじょうやく】

〈特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約〉が正式名で,国際湿地条約,水鳥湿地保全条約ともいう。1971年イランのラムサールRamsarで採択。湿地の生態系を保全し,適正な利用を進めるのが目的。
→関連項目阿寒国立公園石垣[市]奥日光尾瀬沼慶良間列島根釧台地西[区]干潟米子[市]

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大辞林 第三版の解説

ラムサールじょうやく【ラムサール条約】

正称、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約。重要な湿地および生息する動植物の保護を目的とする。1971年イランのラムサール(Ramsar)で採択され、日本では釧路湿原・伊豆沼・内沼・クッチャロ湖・ウトナイ湖などが登録されている。国際湿地条約。 → ワシントン条約

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ラムサール条約
らむさーるじょうやく

湿地のもつ経済上、文化上、科学上の価値を認識するだけでなく、動植物、とくに水鳥の生息地として確保すべくつくられた国際条約。正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約Convention on Wetlands of International Importance especially as Waterfowl Habitat」という。水辺、湿地wetlands(湿原、沼沢地、干潟、水域などさまざまなタイプの水辺の環境)は、ともすれば安価に開発できる場所として、経済活動の犠牲にされ失われてしまうことが多い。また、湿地や浅い水辺は周辺に人がすむことが多く、水の汚染があり、そこに生息する鳥類は減少し続け、とくに体の大きいものはその傾向が顕著である。そこで、1971年2月2日にこの条約が作成されたが、その会議の場所がイラン北部カスピ海沿岸の町ラムサールRamsarであったことから、ラムサール条約とよばれることが多い。この条約が発効するためには7か国の署名(加盟)が必要であり、オーストラリア(1974年5月8日)以降、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、南アフリカ共和国、イラン、ギリシア(1975年8月21日)までの7か国の署名によって、その4か月後の1975年12月21日に発効した。日本は、1980年(昭和55)6月17日付けで、本条約の寄託機関である国連教育科学文化機関(ユネスコUNESCO)事務局長に加入書を寄託し、その結果、条約第10条の2の規約により、4か月後の同年10月17日に発効し、25番目の締約国(条約加入国)となった。また、1993年6月には、第5回締約国会議の開催地(釧路(くしろ))となった。2015年6月時点で、168か国が締約国となっている。
 この条約は前文と12条からなっている。このうち第2条の4に、締約国はそれぞれ少なくとも一つの湿地を登録する必要を記している。日本では、1980年の加入時に北海道の釧路湿原を登録し、2015年6月時点の登録地は50か所、総面積14万8002ヘクタールである。
 2015年6月時点で、世界では2208か所、総面積2億1073万4269ヘクタールの湿地が登録されている。[柳澤紀夫]

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世界大百科事典内のラムサール条約の言及

【国連環境開発会議】より

…このような状況を背景に,野生生物の保護,自然資源の保全・管理,地球環境保護の観点からも,また野生生物種をバイオテクノロジーによる品種改良や医薬品の開発のための貴重な〈生物資源〉〈遺伝子資源〉とする観点からも,生物多様性は重要な概念となってきた。 生物多種性条約以前,野生生物保護の国際的な取決めには,野生動植物の輸出入を規制し,絶滅のおそれのある生物種の保護を図るワシントン条約(〈絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約〉,1975年発効,96年10月現在133ヵ国加盟)や,水鳥の生息地として国際的に重要な湿地とそこに生息する動植物の保護のために各国がその領域内の湿地を指定し保全することなどを定めたラムサール条約(〈特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約〉,1975年発効,96年10月現在93ヵ国加盟)などがあったが,いずれも特定の行為や地域のみを対象としており,包括的なものではなかった。そこでUNEPは,野生生物保護の枠組みを広げ,生物の多様性を全体的に保全するための国際条約に向けた政府間交渉を1990年から開始した。…

※「ラムサール条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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