化学辞典 第2版 「ラムゼー(ラムジー)」の解説
ラムゼー(ラムジー)
ラムゼーラムジー
Ramsay, William
イギリスの化学者.グラスゴー大学で古典語を専攻.在学中自然科学に引かれ,1869年から1年半地元の分析家R. Tatlockのもとで修業した後,1871年チュービンゲン大学のR. Fittig(フィッティヒ)のもとで有機化学を学び,1872年学位を取得.帰国後,アンダーソンズ・カレッジで助手を務め,1874年からグラスゴー大学助手,1880年ブリストルのユニバーシティ・カレッジ化学教授となる.1887年にA.W. Williamson(ウィリアムソン)の後継者としてロンドン大学のユニバーシティ・カレッジ化学教授になり,1912年の引退まで務めた.グラスゴー大学時代には有機化学,ブリストル,ロンドン大学時代には液体・気体の臨界状態,ロンドン大学時代前期には希ガス,ロンドン大学時代後期には放射能をそれぞれおもに研究した.とくに1894年J.W.S. Rayleigh(レイリー)が発見した大気起源の窒素と化学的に製造した窒素との比重の違いの原因を共同研究し,アルゴンを発見した.翌年にはすでに1868年に太陽のスペクトルの分析からその存在が知られていたヘリウムを地上で発見.以後,周期律に従って周期表の新しい族(希ガス元素)の存在を予想して,M.W. Traversとともに1898年までにネオン,クリプトン,キセノンを単離した.1903年にはF. Soddy(ソディ)と共同で,ラジウムからの放出物中にヘリウムを発見した.1904年には希ガス元素の研究によりノーベル化学賞を受賞.小川正孝はかれの研究室で新元素ニッポニウムを発見した.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報