デジタル大辞泉 「国人」の意味・読み・例文・類語
くに‐びと【国人】
2 その地方の人。土着の人。
「―の心の常として、今は、とて見えざなるを、心あるものは恥ぢずぞなむ来ける」〈土佐〉
[類語]国民・人民・公民・市民・
こく‐じん【国人】
2
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国衆(くにしゅう)・国民とも。中世後期,在地に経営基盤をもち,村落を支配した領主。地侍・土豪層と異なり,鎌倉時代の地頭領主クラスの系譜をもち,村落共同体の規制をあまりうけない。この言葉は鎌倉時代から用いられるが,14世紀中期から独自の社会勢力となる。本拠地付近に一円的に所領を集中させ,荘園代官職などの請負や検地も行った。流通経済の発展とともに,交通・流通の要衝近くに居館をおき,六斎市など地域の定期市を掌握し,一部の手工業者を直接支配した。国人領主間の地縁的結合である国人一揆を結び,多数決制を導入し,上級領主への抵抗や人返(ひとがえし)など個別支配の強化に役立てた。戦国期には独自の家臣団を編成し,一部は戦国大名となった。
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…《貞丈雑記》には〈在国衆と云は京都へ参勤する事なく常に国居住する大名の事也〉と解説している。《文安年中御番帳》には奉公衆(番方)のうちに在国衆を載せ,《永享年中御番帳》には文明12‐13年(1480‐81)ころの在国衆として斯波義良,畠山義統,京極政経の名をあげており,また《永禄六年諸役人付》には〈外様衆,大名在国衆(号国人)〉の交名(きようみよう)がみえるので,守護や奉公衆などのしかるべき武士のうちで在国することを認められた者が在国衆であり,国人ともよばれるようになったことがわかる。なお《鎌倉大草紙》には〈鎌倉在国衆〉の呼称がみえ,在京する守護に対して領国に居住する武士を〈在国之衆〉とよんだ例もあるが,これらは室町幕府制度の在国衆とは一応区別すべきであろう。…
…一般的には南北朝・室町期の在地領主を指し,国人(こくじん)とも呼ばれた。鎌倉時代の在地領主の典型は地頭であるが,その地頭は幕府から地頭職という形で所領の充行(あておこない),安堵(あんど)を受け,血縁的結合を原理とする惣領制によってその所領を支配していた。…
…地頭は鎌倉期を通じて,職をこえた在地領主として所領の一円支配を進めるから,現実には,一般住民に対しては強力な検断権を行使したであろう。 南北朝期以降,地頭を含めて在地領主としての国人層が成長するが,彼らは戦国期には所領の全面的な支配者となるから,強力な検断権を有する。ときに国人は連合して一揆を形成するが,1384年(元中1∥至徳1)の松浦党一揆のように,一揆として刑事裁判権を行使することを約諾する例がある。…
…また各郡郷の公田のうちの良田を割いて,国司らの直営田である〈佃(つくだ)〉が分散設置され,公領支配の中核的役割をはたした。国内各地には〈国人〉とか〈国の内の然るべき者〉と呼ばれた有勢な在地勢力がおり,彼らは〈大名田堵〉としてめでたい〈仮名(けみよう)〉を名のり,公田を大規模に請作したが,彼らとのかかわりは国司支配の成否を左右する重大事であった。国司はこのような有力者に対して,個別に〈国宣〉を発してその掌握につとめたが,彼らはしばしば国務を妨げ,国司の苛政を上訴し,あるいは公田を蚕食して荘園を乱立させる主体となった。…
…また,病や罪,死や血に触れるなど,さまざまな理由による穢(けがれ)のために,平民の共同体から排除・差別された非人・河原者(かわらもの)の場合にも,清目(きよめ)をその職能とする寄人・神人の集団があり,やはり公的に職人と認められていた。さらに異国人(唐人)の商工民についてもまったく同様であった。 一方,鎌倉時代以後は領主として支配者の立場に立った西国の御家人,非御家人など,のちに国人(こくじん)といわれた人々の場合も,御家人交名によってその地位を確定され,荘園・公領に給免田を保証されて下司,公文(くもん),田所(たどころ)などの特定の職掌をもつ荘官となっている点で,職人に近似しており,〈職人〉の言葉も本来はこの人々をさす語であった。…
…東国においては郡司の地位を世襲する豪族的な大領主が,惣領制的な一族関係,主従関係を支えとしつつ,郡内の諸郷を一族・家臣に分与し,惣領を中心とする大武士団が広くみられる。これに対し,西国では郷司,下司,公文,名主などの中小規模の領主たちが,国人(こくじん)として傍輩(ほうばい)の関係を結び,横に連帯した結合をする傾向が強い。鎌倉時代の領主たちの中では,全体として女性に大きな権利が認められ,姻戚が重んぜられるが,東国では家長,惣領が大きな力をもつのに対し,西国のほうが女系,姻戚を重視する傾向が強く,西国に広くみられる一時的訪婚(婿入婚)に対し,東国では早くから嫁入婚であったという説も提出されている。…
※「国人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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