(読み)ユウ

デジタル大辞泉 「夕」の意味・読み・例文・類語

ゆう〔ゆふ〕【夕】

日が沈んで夜になろうとする時。夕暮れ。夕方。ゆうべ。「朝にに故郷を思う」
[補説]作品名別項。→
[類語]晩方夕方日暮れ夕暮れ夕べ夕刻黄昏薄暮火ともしごろ宵の口暮れ方イブニング今夕夕間暮れう魔が時大禍おおまがナイトフォール黄昏たそがれ

せき【夕】[漢字項目]

[音]セキ(漢) [訓]ゆう
学習漢字]1年
セキ〉ゆうがた。「夕日夕陽今夕旦夕朝夕一朝一夕
〈ゆう〉「夕刊夕刻夕食朝夕昨夕
[名のり]ゆ
[難読]七夕たなばた夕星ゆうづつ

ゆう【夕】[書名]

《原題、〈イタリアVespro》イタリアの詩人、パリーニの詩。4部作「一日」の第3作。未完。著者没後の1801年、最終作「」とともに刊行。

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精選版 日本国語大辞典 「夕」の意味・読み・例文・類語

ゆうゆふ【夕】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 日が暮れかかっているとき。日が暮れて夜になろうとしているとき。ひぐれ。ゆうべ。ゆうがた。⇔朝(あさ)
    1. [初出の実例]「劔大刀 腰に取り佩き 朝守り 由布(ユフ)の守りに 大君の 御門の守り」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇九四)
  3. 呉服商仲間の符丁で、三をいう。

夕の語誌

( 1 )上代では、一日の明るい時間帯を三区分して、アサヒルユフといっている。従って「ゆふ」は明るい間の終わりの部分を指すが、単独で用いられることはほとんどなく、「夕風」「夕霧」「夕日」「夕さる」など、他の語と複合して使われる。
( 2 )類義の「ゆふべ」は、夜の時間帯を分けて、ユフベ→ヨヒ→ヨナカ→アカツキ→アシタとする、その初めの部分を指すが、実際には「ゆふ」とほぼ重なる。
( 3 )「ゆふ」と「ゆふべ」の関係は、意味や用法において「あさ」と「あした」の関係と対応している。


さく【夕・勺】

  1. 〘 名詞 〙 横笛の四番目の穴の名。近代「しゃく」と発音し、夕の字を当てる。黄鐘(おうしき)調の音を出す。
    1. [初出の実例]「夕(さく)の穴、黄鐘調なり」(出典:徒然草(1331頃)二一九)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「夕」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 3画

[字音] セキ
[字訓] ゆうべ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
夕の月の形。〔説文〕七上に「(くれ)なり。ば見ゆるに從ふ」と半月の象とする。卜辞に「卜夕」とよばれるものがあり、王のために毎夕「今夕、(とが)(な)きか」と卜しており、わが国平安期の毎日招魂の礼に近い。殷周期には古く朝夕の礼があり、金文に「夙夕(しゆくせき)を(つつし)む」という語がみえ、夙夕に政務が行われた。また大采・小采といい、そのとき会食し、同時に政務をとった。その大采の礼を朝といい、朝政という。〔国語、魯語下〕にも「少に夕す」とあって、その古儀を伝えている。

[訓義]
1. ゆう、ゆうべ。
2. よる、あけがた。
3. 月を迎え祭る礼、ゆうべす。
4. 昔と通じ、昔を夕の意に用いる。

[古辞書の訓]
名義抄〕夕 ユフベ・ヨヒ 〔字鏡集〕夕 ユフベ・ヨル・ヨヒ

[部首]
〔説文〕〔玉〕に夜・(夢)・・外・の八字を属し、また多を重夕の意とする。(えん)は宛然として坐する膝の肉の形。(いん)・外・(しゆく)の従うところはおそらく肉の形、多も肉片を重ねる形で、日夕の意ではない。

[声系]
〔説文〕穴部七下に「(せき)は(ちゆんせき)なり」とあり、長く葬ることをいう。夕声に従うのは、(墓)が(ぼ)声に従うのと同じであろう。

[語系]
夕・汐zyakは同声。朝には潮といい、夕には汐という。昔syak、夜jyakも声近く、同系の語である。それで昔を夕に借用し、疇夕(昨夜)を疇昔のようにいう。

[熟語]
夕靄・夕衣・夕陰・夕飲・夕・夕映・夕影・夕煙・夕・夕花・夕霞夕臥・夕暉・夕気・夕輝・夕夕景夕月夕鼓・夕光・夕紅夕灑・夕・夕爨・夕市・夕室・夕日・夕者・夕鐘・夕照・夕殿・夕・夕波・夕霏・夕寐・夕氛・夕浦・夕暮・夕烽・夕霧・夕陽・夕嵐・夕麗・夕露・夕浪・夕話
[下接語]
一夕・佳夕・夕・暁夕・夕・景夕・元夕・今夕・歳夕・山夕・七夕・秋夕・終夕・宿夕・除夕・晨夕・霽夕・旦夕・昼夕・朝夕・通夕・当夕・日夕・明夕・幽夕

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【夜】より

日の出・日の入り薄明
[日本の習俗]
 日本では1日の区切り方に,昼を中心とするものと夜を中心とするものの二つがあった。前者の場合,1日は曙→朝→昼→夕→夕暮れに分けられる。後者の区分は奈良~平安時代に行われていたもので,1日を夕(ゆうべ)(これから暗い夜になろうとする時間)→宵(よい)(夜になり始めた時)→夜中(よなか)(夜に最も中心的な時間)→暁(あかとき)(夜が終りになるだろう時)→朝(あした)(夜がいよいよ終わってしまった時間)に分けている。…

※「夕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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