汝・爾(読み)なんじ

精選版 日本国語大辞典 「汝・爾」の意味・読み・例文・類語

な‐んじ ‥んぢ【汝・爾】

〘代名〙 (古くは「なむち」。「な(汝)むち(貴)」の意) 対称上代古くは、相手を尊敬して呼んだ語と推定されるが、奈良時代以降、対等またはそれ以下の相手に対して用いられ、中世以降は、目下の者に対する、もっとも一般的な代名詞として用いられる。
※竹取(9C末‐10C初)「なんちが持ちて侍るかぐや姫奉れ」
※仮名草子・浮世物語(1665頃)四「我豈(あに)敢て子(ナンヂ)の面(おもて)我が面の如くなりと謂(おも)はんやと言へり」
[補注]大国主神の別名が、「大汝」や「大己貴」などと書かれていたり、「卿」「仁」などの文字に対して、古辞書が、キミやイマシの訓とともにナンヂを挙げているところなどから、古くは敬意が含まれていたと考えられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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