直情径行(読み)チョクジョウケイコウ

デジタル大辞泉 「直情径行」の意味・読み・例文・類語

ちょくじょう‐けいこう〔チヨクジヤウケイカウ〕【直情径行】

[名・形動]《「礼記」檀弓から》自分感情のままを言動に表すこと。また、そのさま。「直情径行な(の)性格」
[類語]せっかち性急気早短気気短気が短い短慮気忙しい喧嘩早い喧嘩っぱや癇癪かんしゃく癇癖癇性ヒステリック虫気怒り腹立ち憤り怒気瞋恚しんい憤怒ふんど・ふんぬ憤懣ふんまん鬱憤うっぷん義憤痛憤悲憤憤激憤慨ふんがい立腹激怒逆鱗げきりん憤ろしい腹立たしい業腹ちゅうっ腹やけっ腹悲憤慷慨逆上高ぶるのぼせる激するかっとなるいきり立つはやり立つのぼせ上がる血迷う血走る怒りっぽい切れる瞬間湯沸かし器

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精選版 日本国語大辞典 「直情径行」の意味・読み・例文・類語

ちょくじょう‐けいこうチョクジャウケイカウ【直情径行】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 感情をいつわらないで思うとおりに行動すること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「直情径行に任せば禽獣何ぞ択ばん、何ぞ夫婦の別あらん」(出典:明六雑誌‐二二号(1874)夫婦有別論〈津田真道〉)
    2. [その他の文献]〔礼記‐檀弓下〕

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四字熟語を知る辞典 「直情径行」の解説

直情径行

感情をいつわらないで思うとおりに行動すること。

[活用] ―な・―の・―だ。

[使用例] いっぽんの直情径行を看板にして思う存分わがまま勝手に振る舞うは昔のかんぺきの強いお大名そのままである[内田あん*読書放浪|1933]

[使用例] そのくせ、砂村はスペインの画家ゴヤとか、イタリアの音楽家チェリーニとか、そうった直情径行の人間が好きで、彼等伝記を愛読していた[小島政二郎*甘肌|1954]

[使用例] 荒木はまた直情径行で、純粋さを好む性格で、このため青年将校たちから慕われ、発覚したクーデター計画では、しばしば荒木の名が軍革命政府の首班としてあげられていた[城山三郎落日燃ゆ|1974]

[解説] 中国・戦国時代の「らい」にあることばです。孔子門人であるゆうゆうが、礼儀作法の意味について語り合う場面に出てきます。
 「葬礼の時に、なぜ悲しみの踊りを踊るのか、長いこと理解できなかったよ」
 と言う有子に、子游が答えます。
 「踊りなどの礼儀作法には、悲しみなどの気持ちを抑える働きがあるよね。悲しいからといって、感情のままにふるまうのは、野蛮人のすることだからね」
 ここに出てくる「感情のままにふるまう」の原文が「直情而径行」です。読み下すと「情をなおくしてただちに行う」。
 これでわかるように、「直情径行」は、「礼記」では野蛮というニュアンスで語られています。ところが、今日ではむしろ「思ったとおり、すぐに行動する」と、肯定的なニュアンスがあります。
 夏目そうせきの「坊っちゃん」の主人公は、直情径行の典型例です。たてまえで固めた俗物たちと対決する坊っちゃんは、幅広い読者に愛されています。

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