(読み)カン

デジタル大辞泉 「簡」の意味・読み・例文・類語

かん【簡】[漢字項目]

[音]カン(漢) ケン(呉) [訓]ふだ てがみ はぶく えらぶ
学習漢字]6年
〈カン〉
昔、文字を書くのに用いた竹や木のふだ。「錯簡残簡断簡竹簡木簡
手紙。「貴簡手簡書簡来簡
余計な部分をはぶいてある。手を抜いてある。「簡易簡潔簡素簡単簡便簡明簡要簡略繁簡
よしあしをより分ける。「簡閲簡抜
〈ケン〉あれこれ思いはかる。「料簡了簡
[名のり]あきら・ひろ・ふみ・やすし

かん【簡】

[名・形動]
手軽なこと。また、そのさま。
中国で、紙の発明以前に、文字を記した竹や木の札。転じて、書簡。

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精選版 日本国語大辞典 「簡」の意味・読み・例文・類語

かん【簡】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 簡単なこと。繁雑でないこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「上世は人淳に事簡なりしかば」(出典:集義和書(1676頃)七)
    2. [その他の文献]〔易経‐繋辞上〕
  3. 古く、中国で、文字を記した竹のふだ。竹簡。簡札。また、書籍
    1. [初出の実例]「白頭授簡華堂下、蘿月松風入」(出典:蕉堅藁(1403)懐旧)
    2. [その他の文献]〔礼記‐内則〕
  4. 手紙。手紙を出すこと。
    1. [初出の実例]「声伝女侍簡、別怨艷陽年」(出典:文華秀麗集(818)中・侍中翁主挽歌詞〈嵯峨天皇〉)
    2. [その他の文献]〔柳宗元‐答元公瑾論仕進書〕

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普及版 字通 「簡」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 18画

(旧字)
18画

[字音] カン
[字訓] たけふだ・ふみ・はぶく・おおどか・えらぶ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(間)(かん)。〔説文〕五上に「牒なり」、また木部六上に「札は牒なり」とあり、竹簡・木簡をいう。軍令も簡にしるしたもので、〔詩、小雅、出車〕に「此の書を畏る」の句がある。簡に大小あり、各一字一寸、(皮ひも)で結ぶので編という。

[訓義]
1. 竹簡、竹ふだ、ふみ、てがみ。
2. 簡略・簡大の意は玉書・帛書に対していう。はぶく、つづまやか、すくない、おろそか。
3. おおどか、おごる、おこたる。
4. 柬と通じ、えらぶ、しらべる、くらべる、みる。
5. まこと、とおる、あきらか。
6. 諫と通じ、いさめる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕 波志(はし)〔和名抄札 不美太(ふみた)〔字鏡集〕 フダ・ツツマヤカナリ・オロカナリ・オロソカニ・マレラ・アラアラシ・ナカラ・カナヘリ・スクナシ・オホイナリ・ソムク・エラブ・オロソカナリ

[語系]
・柬keanは同声。柬は東((ふくろ))の中にもののある形で、これを精選する意。ゆえに(練)・(錬)・lianは柬に従う。字条十一上に「(あら)ふなり」とあり、声と柬声との間に、声義の関係がある。

[熟語]
簡易・簡閲・簡寡・簡格簡隔簡覈簡闊簡簡・簡記簡倨簡兮・簡恵簡勁簡稽・簡劇・簡潔・簡簡倹・簡厳簡愿・簡古簡亢・簡校簡曠・簡傲簡忽簡査簡裁・簡筴・簡冊・簡策・簡札・簡散・簡槧・簡紙・簡弛・簡視・簡質・簡取・簡習・簡秀・簡粛・簡書・簡恕・簡除・簡少簡捷・簡章・簡浄・簡省・簡靖・簡正・簡静・簡尺・簡斥・簡切・簡・簡選・簡然・簡素・簡・簡率・簡汰・簡惰・簡怠・簡択・簡淡・簡単・簡短・簡澹・簡治・簡帙・簡黜・簡牒・簡暢・簡直・簡定・簡・簡点・簡牘・簡独・簡任・簡能・簡薄・簡抜・簡版簡孚・簡侮・簡兵・簡別・簡便・簡編・簡補・簡法・簡朴・簡墨・簡樸・簡慢・簡明・簡約・簡要・簡略・簡礼・簡廉・簡練・簡連・簡老
[下接語]
夷簡・易簡・遺簡・盈簡・鉛簡・華簡・簡・汗簡・寛簡・漢簡・簡・希簡・旧簡・狂簡・倹簡・簡・厳簡・古簡・弘簡・行簡・簡・錯簡・残簡・視簡・事簡・辞簡・執簡・手簡・首簡・書簡・尚簡・詳簡・慎簡・青簡・政簡・清簡・精簡・尺簡・隻簡・折簡・牋簡・銓簡・素簡・疎簡・簡・簡・操簡・大簡・太簡・墜簡・脱簡・単簡・短簡・端簡・断簡・竹簡・抽簡・通簡・廸簡・簡・恬簡・白簡・煩簡・披簡・秘簡・筆簡・平簡・片簡・返簡簡・編簡・芳簡・末簡・木簡・約簡・来簡・落簡・吏簡・了簡・料簡・礼簡・廉簡・練簡

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「簡」の意味・わかりやすい解説


かん

細長い木片や竹片に,文字を書いたもの。紙が発明されるまでは,通信用や記録用として用いられたらしい。前者は木簡と呼び,物資などの請求伝票と思われる。藤原京,平城京遺跡発掘の際,多数出土した。後者は竹簡と呼び,中国では使用例があるが,日本にはない。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【本】より


[中国,日本]
 秦がまだ天下を統一しない時代には,書物の材料は竹と木であった。竹はおおむね25~75cmの長さの簡(竹のふだ)で,これに8~30字くらいを1行に書く。30~100字くらいまでを書く必要のあるときは,ふつう90cm2の牘(とく)(木のふだ)を用いる。…

【木簡】より

…中国や日本などで,文字を書くために短尺(冊)形に削った木や竹の総称。竹の場合は竹簡ともいう。内容が一簡に書ききれないと何本も使って紐でしばるが,その形を象形して册(冊)と呼ぶ。…

※「簡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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