継・接・続・次・注(読み)つぐ

精選版 日本国語大辞典 「継・接・続・次・注」の意味・読み・例文・類語

つ・ぐ【継・接・続・次・注】

[1] 〘自ガ五(四)〙
① 並んで連なる。物事がひき続いて起こる。
書紀(720)崇神一〇年九月・歌謡大坂に 菟藝(ツギ)登れる 石群(いしむろ)を 手越しに越さば 越しかてむかも」
万葉(8C後)一七・三九二九「旅に去にし君しも都藝(ツギ)て夢に見ゆあが片恋の繁ければかも」
② 前にあるものの後に続く。接続する。
※万葉(8C後)五・八二九「梅の花咲きて散りなば桜花都伎(ツギ)て咲くべくなりにてあらずや」
③ その下に位する。
※書紀(720)神代上(兼方本訓)「次に月(つき)の神を生(う)みまつります。〈一書に云はく、月弓(つきゆみ)の尊、月夜見(つきよみ)の尊、月読の尊〉其の光(ひかり)(うるわ)しきこと、日に亜(ツケ)り」
※法華義疏長保四年点(1002)一「賢に隣り聖に亜(ツ)ぐを賢と曰(い)ふ」
[2] 〘他ガ五(四)〙
[一] 空間的に切れめがないようにする。接続する。つなぐ。
① 破れたり切れたり離れたりしているものをつなぎ合わせる。くっつける。ぬい合わせる。
※万葉(8C後)一一・二六二五「逢はなくに夕占を問ふと幣に置くにわが衣手はまたそ続(つぐ)べき
※栂尾明恵上人伝記(1232‐50頃)下「衣裳の類も新しきをば著せず、烏帽子の破れたるをだにもつくろひ続(つが)せてぞ著給ひけり」
② 中古、書写用料紙に美麗の趣をそえるために用いた技法。重ね継ぎ、切り継ぎ、破り継ぎなど、色紙をさまざまの様態につなぎはり合わせる。
源氏(1001‐14頃)須磨「つれづれなるままにいろいろの紙をつきつつ手習をし給ひ」
つぎ木をする。台木に親和性の高い穂木をつぎ、共生をはかる。「木をつぐ」
※新撰字鏡(898‐901頃)「接樹 木次
④ 囲碁用語。自分の離れた石に連絡する石を打つ。
※壒嚢抄(1445‐46)一「碁の手に付て〈略〉取分て卅二字の難字あり、衝(さしいる)、幹(うちかふ)〈略〉粘(ツグ)
⑤ 「切る」の忌みことば。
※鎌倉殿中以下年中行事(1454か)「若君様にても姫君にても、御誕生之時、依御吉例、里見名字被参、御臍の緒をつき被申」
[二] 物を補充する。欠けたところを補って本来の状態にする。
① 足りないところや無くなったりしたものを補う。加える。補填する。
※書紀(720)仁徳二二年正月・歌謡「貴人の 立つる言立て 設弦(うさゆづる) 絶えば(ツガ)むに 並べてもがも」
② (「注」と書くことが多い) 器に物を満たす。特に、液状のものをそそぐ。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
※太平記(14C後)一二「内侍の典主なりける者、態(わざと)熱く沸返たる湯をついで参たり」
③ (食器に飲食するものを入れる意から) 飲食する。〔日本隠語集(1892)〕
浄瑠璃彦山権現誓助剣(1786)四「銭に尽たるつがずがち、おのづと悪い顔色を」
キセルにタバコを詰める。
※談義本・当世下手談義(1752)一「羅宇のみじかい、きせるで、一服いたそうと、つぎかけたてい」
炭火にさらに炭を加える。炭を加えて燃え続けさせる。
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)三「お蝶はしちりんの炭を継(ツギ)、白湯(さゆ)を汲で来りお由に呑せ」
[三] 時間の経過とともに事柄が続く。継続する。
① 次々につづける。つらねつづける。
※万葉(8C後)四・七五六「外にゐて恋ふれば苦し吾妹子を次(つぎ)て相見む事計りせよ」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「母親が再び談話(はなし)の墜緒を紹(ツガ)うと試みても」
② そのままの状態でつづける。保ちつづける。
※万葉(8C後)一五・三七三三「我妹子が形見の衣なかりせば何物もてか命都我(ツガ)まし」
③ あとを受けてつづける。継承する。相続する。おそう。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)五「我れ当に人中の尊を紹(ツガ)むと記せられむ」
※保元(1220頃か)上「為義、義家が跡を続(ツイ)で朝家の御まもりにて候へば」
④ 伝える。うけつたえる。伝承する。
※万葉(8C後)三・三一七「語り告(つぎ) 言ひ継(つぎ)行かむ 不尽の高嶺は」
⑤ (他の動詞の下に付いて) …及ぶ、…とどける、などの意を表わす。「聞きつぐ」「見つぐ」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android