日本大百科全書(ニッポニカ) 「美和」の意味・わかりやすい解説
美和(茨城県)
みわ
茨城県北部、那珂郡(なかぐん)にあった旧村名(美和村(むら))。現在は常陸大宮市(ひたちおおみやし)の北西部を占める一地区。1956年(昭和31)檜澤(ひざわ)、嶐郷(りゅうごう)の2村が合併して成立。2004年(平成16)、山方町(やまがたまち)、緒川村(おがわむら)、御前山村(ごぜんやまむら)とともに大宮町に編入(大宮町は市制施行して常陸大宮市となる)。旧村域は八溝(やみぞ)山地の鷲子(とりのこ)山塊を占め、中央を緒川(おがわ)の谷が侵食している。気候は冬の寒さが厳しい。国道293号が通じる。中世の佐竹氏領から近世水戸藩領となる。山林が大部分で林業が中心。もとは和紙「鷲子紙」(鳥の子紙)の特産地。いまは、こんにゃく、そば、シイタケの特産と、畜産業が多く、リンゴ、ブドウなどの果樹園芸も増えた。鷲子山上(とりのこさんじょう)神社の本殿と随神(ずいじん)門は県指定文化財。JR水郡(すいぐん)線の常陸大宮駅からバスの便がある。
[櫻井明俊]
美和(愛知県)
みわ
愛知県西部、海部郡(あまぐん)にあった旧町名(美和町(ちょう))。現在はあま市の西部を占める地域。1958年(昭和33)町制施行。2010年(平成22)甚目寺(じもくじ)町、七宝(しっぽう)町と合併、市制施行してあま市となる。名古屋鉄道津島線に沿う名古屋市のベッドタウン。第二次世界大戦後の住宅化、工業化が激しい地域である。農業は、米作主体から花卉(かき)や野菜の施設園芸による複合経営に転換している。豊臣(とよとみ)秀吉の家臣福島正則(まさのり)、蜂須賀小六正勝(はちすかころくまさかつ)の生誕地で、菩提(ぼだい)寺は正則が菊泉院、蜂須賀が蓮華(れんげ)寺で生誕碑もある。法蔵寺の地蔵菩薩(ぼさつ)立像は国指定の重要文化財である。蓮華寺の寺叢は県の自然環境保全地域に指定されている。
[伊藤郷平]
『『美和町史』全2冊(1982、1995・美和町)』
美和(山口県)
みわ
山口県南東部、玖珂郡(くがぐん)にあった旧町名(美和町(ちょう))。現在は岩国市の北東部を占める地域。広島県境の小瀬(おぜ)川流域の一部と錦(にしき)川の支流生見(いきみ)川の流域を占める農山村。旧美和町は、1955年(昭和30)賀見畑(かみはた)、秋中(あきなか)の2村が合併して美和村となり、1956年坂上(さかうえ)村を合併して町制施行。2006年(平成18)岩国市と合併。県境に小瀬川ダムと弥栄(やさか)ダム、生見川下流に生見川ダムがあり、岩国市の市街地や広島県大竹市へ通ずる県道が整備されている。特産は岩根(がんね)グリと茶。県指定名勝の弥栄峡、白滝山などがある。山代白羽神楽(やましろしらばねかぐら)は県指定無形民俗文化財。
[三浦 肇]