肝心(読み)カンジン

デジタル大辞泉 「肝心」の意味・読み・例文・類語

かん‐じん【肝心/肝腎】

[名・形動]肝臓心臓腎臓は、人体にとって欠くことのできないものであるところから》最も重要なこと。また、そのさま。肝要。「―な話」「慎重に対処することが―だ」
[類語]重要大事だいじ大切肝要肝心かなめ切要緊要喫緊重大主要須要しゅよう必須ひっす不可欠得難い貴重珍重珍しい貴い稀有高貴異色異彩珍貴珍稀緊要枢要かなめきも有意義意義深い千金耳寄り掛け替えのない

きも‐ごころ【肝心】

《「きもこころ」とも》心。たましい。正気
「―も失せて、防がんとするに力もなく足も立たず」〈徒然・八九〉

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精選版 日本国語大辞典 「肝心」の意味・読み・例文・類語

かん‐じん【肝心・肝腎】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かんしん」とも )
  2. 肝臓と、心臓または腎臓。転じて、心を比喩的にいう。
    1. [初出の実例]「唯是桓譚無讖、寧知衝突断肝心」(出典:周南先生文集(1760)三・丁未秋従物先生泛舟墨水)
    2. [その他の文献]〔韓愈‐贈崔立之評事詩〕
  3. ( 肝臓と心臓、また、肝臓と腎臓は、五臓のうち人体に欠くことのできないものであるところから ) とりわけてたいせつな箇所。なかでも大事な部分や事柄
    1. [初出の実例]「夫真言教門、諸法之肝心、如来之秘要」(出典:日本三代実録‐貞観元年(859)四月一八日)
  4. ( だいじな所の意から ) 隠し所。陰部。局所
    1. [初出の実例]「そこら、其下、まだ其下とかんじん辺(あたり)まで手をやらして」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)七)
  5. ( ━する ) 心に深く感じること。肝に銘じること。感心感銘
    1. [初出の実例]「かやうの所殊に肝心して存じ候」(出典:東野州聞書(1455頃)一)
  6. ( 形動 ) とりわけたいせつであること。特にだいじであるさま。
    1. [初出の実例]「領家の方に肝心(カンシン)道理を申のべたりける時」(出典:米沢本沙石集(1283)三)

肝心の語誌

「肝心」「肝腎」ともに漢籍に例はあるが、日本で「心」「腎」が同音となり、中世以来「肝腎」も同様の意味として用いられるようになったと思われる。


きも‐ごころ【肝心・胆心】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「きもこころ」か ) 内臓としての、肝と心。転じて、心。魂。肝魂(きもだましい)
    1. [初出の実例]「気色ばみて悩めば、女きもこころを惑はして」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)

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普及版 字通 「肝心」の読み・字形・画数・意味

【肝心】かんしん

こころ。〔晋書、愍帝紀〕庶(ねが)はくは宗の靈、群義士の力に憑(よ)り、凶寇滅し、幽宮を拯拔せん。瞻(せんばう)未だせず、肝心裂す。

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