大切(読み)オオギリ

デジタル大辞泉の解説

おお‐ぎり〔おほ‐〕【大切(り)】

大きく切り分けること。また、その切り身。
(縁起をかついで「大喜利」とも書く)
㋐芝居で、その日の最終の幕。
㋑江戸時代の歌舞伎で、二番目狂言世話物)の最終幕。幕末以後の歌舞伎では、二番目狂言のあとにつける一幕。切(きり)狂言。
寄席で、とりの終わったあとにする演芸。大ぜいで珍芸・謎(なぞ)掛け・言葉遊びなどをするものが多い。追い出し。
物事の終わり。結末。
「誰の恋でもこれが―だよ」〈独歩・牛肉と馬鈴薯〉

たい‐せち【大切】

[形動ナリ]たいせつ(大切)」に同じ。
「ただいま―に聞こゆべき事のあるを」〈浜松・五〉

たい‐せつ【大切】

[形動][文][ナリ]
もっとも必要であり、重んじられるさま。重要であるさま。「大切な条件」「大切な書類」
丁寧に扱って、大事にするさま。「本を大切にする」「命を大切にする」
急を要するさま。
「―なる事有りて、夜を昼にて上れば」〈今昔・一六・二〇〉
[派生]たいせつさ[名]
[用法]大切・大事――「大切な(大事な)会議」「大切に(大事に)している着物」のように、必要で重んずべきさまの意では相通じて用いられる。◇また、「水を大切(大事)に使う」「友情を大切(大事)にする」のように、かけがえのないものとして心を配り、丁寧に扱うさまの意の場合も両語とも使える。◇「おからだを大切に」「どうぞ、お大事に」などは、ともに日常語ではあるが、「大事」のほうがよりくだけた感じがある。◇「任務の大切さを知る」などでは、「大切」が優勢である。◇「大事」には、根本的な事柄の意もある。「国家の大事」「大事を決行する」◇類似の語の「重要」は、物事・事柄の根本・中心にかかわって重んずべきであるさまを表し、「大切」「大事」よりも文章語的である。「歴史上重要な事件」「重要参考人

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世界大百科事典 第2版の解説

おおぎり【大切】

歌舞伎の興行で一日の演目の最後につける1幕。縁起を祝って〈大喜利〉とも書く。〈切狂言〉ともいい,ほとんどが舞踊劇。江戸時代,1日1本立てで,それを一番目と二番目に分けるのが作劇の原則だったころは,一番目の最終幕を〈大詰(おおづめ)〉といい,二番目の最終幕を〈大切〉といって道行や舞踊の場面をつけるのが慣例だったが,幕末以後は前幕と関係ない独立した1幕を設けることが多くなった。【松井 俊諭】

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精選版 日本国語大辞典の解説

おお‐ぎり おほ‥【大切】

〘名〙
① (━する) 物を大きく切りわけること。大きく切るもの。また、その切り身。⇔小切り
※勇魚取絵詞(1829)「例の山刀(なた)にて大切(オホギリ)したる骨どもを」
② 江戸の歌舞伎で、二番目狂言(世話物)の最後の幕。
※滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下「早(はや)大切(オホギリ)の幕の内、楽屋は響くしゃぎりの打切」
③ (「大喜利」とも書く) 演劇で、その日の興行の最後の一幕。
※歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)四「紙員四十九帖、第四、大切」
④ 物事の最後。おわり。
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉五「博覧会の結局(オホギリ)まで一小梨園(おででこしばゐ)とお見捨なく」

たい‐せち【大切】

〘名〙 (形動) =たいせつ(大切)
※富岡本栄花(1028‐92頃)玉の村菊「心かしこからんめのとは、人の御ため、たいせちの物にこそありけれ」
※古今著聞集(1254)一六「ことにおきてたいせちなりければ」

たい‐せつ【大切】

〘名〙 (形動)
① 緊急を要すること。危険や災難などがさし迫っていること。捨てておけない状態であること。また、そのさま。
※殿暦‐康和四年(1102)五月二〇日「巳剋許右府来、数剋後被出、雖物忌大切相会也」
※花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉中「何か大切(タイセツ)な事件の記載してあるのを見付けしにや、忽ち顔色を変へて」
② 一番必要で、重んずべきものであること。貴重であること。肝要であること。また、そのさま。
※台記‐久安三年(1147)六月三〇日「諸卿議忠盛朝臣罪云云、非重科者、無事之様定申、大切事也」
※小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上「韻語を用ふることも、詩を吟誦せしころにありては頗る要用なりしならめど現世のごとくに黙読してただ通篇の神韻をばめでよろこべる世となりては、さまで緊要(タイセツ)なるものとも思はず」
③ すぐれていること。立派であること。また、そのさま。
※明衡往来(11C中か)中末「就中筆是成仏経書写之功徳、為男女和合之用物。其質軽其実重。尤大切也、尤神妙也」
④ 心をくばってていねいに取り扱うこと。大事にすること。かけがえのないものとして心から愛すること。また、そのさま。
※梵舜本沙石集(1283)八「事に触てからがましく振舞ければ、大切に思食ける程に」
※滑稽本・東海道中膝栗毛‐発端(1814)「我を大切(タイセツ)にして艱難辛抱する此女房を捨て」
⑤ 愛。特に、キリスト教でいう、他者への無限の愛。→御大切(ごたいせつ)③。
※バレト写本(1591)「ワガミニ アタヲ ナス ヒトニワ ナヲ tayxet(タイセツ) ヲ モッテ ホウズル ミチ ナリト」

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