(読み)マ

デジタル大辞泉 「魔」の意味・読み・例文・類語

ま【魔】[漢字項目]

常用漢字] [音](呉)
人をまどわし、災いをもたらすもの。化け物。「魔手色魔睡魔白魔病魔夢魔妖魔ようま
人を物事に熱中させるもの。「詩魔
不思議な術。「魔法
仏道修行を妨げる悪神。悟りの妨げ。梵語の音写「魔羅」の略。「魔王魔道悪魔降魔ごうま邪魔天魔
梵語の音訳字。「閻魔えんま断末魔

ま【魔】

《「魔羅まら」の略》
仏教で、魔王欲界第六天を支配する王。転じて、その仕業としての、悟りの妨げとなる煩悩ぼんのう疑惑懈怠けだいなどのさわり。
人の心を迷わし、悪に引き入れる悪霊。悪魔。「を払う」
悪い事がたびたび起こること。「の踏切」「好事多し」
異常なほど、ある物事に執着する人。「電話」「収集
[類語]化け物お化け妖怪怪物悪魔通り魔

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精選版 日本国語大辞典 「魔」の意味・読み・例文・類語

ま【魔】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( [梵語] māra の音訳「魔羅」の略 ) 仏語。人の善事を妨げる悪神。特に欲界第六天の魔王。転じて、悟りのさまたげとなる煩悩などのさわりをいう。
    1. [初出の実例]「夫魔有四種。一天魔。二煩悩魔。三陰魔。四死魔」(出典:勝鬘経義疏(611)歎仏真実功徳章)
    2. [その他の文献]〔大智度論‐五〕
  3. 人を殺したり、人心を悩ませたりする悪霊。悪魔。魔物
    1. [初出の実例]「Ma(マ)。テング〈訳〉悪魔」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  4. 江戸時代、多く、天狗をさしていう。
  5. 人の命を奪うような恐ろしいもの、恐るべきもの。不思議なもの。神秘的なもの。「魔の海」
    1. [初出の実例]「彦介は眼に見えぬ薬品の魔に掴みかからうとするのか」(出典:普賢(1936)〈石川淳〉三)
  6. ある一つのことに執着し、異常とも思える行動をする人。多く、他の語と複合して用いる。「メモ魔」「収集魔」など。
    1. [初出の実例]「私たちの仲間に、『電話魔』という綽名の男がいましてね」(出典:誘拐(1961)〈高木彬光〉三)
    2. [その他の文献]〔白居易‐白髪詩〕

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普及版 字通 「魔」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 21画

(旧字)
21画

[字音] マ・バ
[字訓] おに

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(麻)(ま)。〔説文新附〕九上に「鬼なり」とみえる。梵語mra、すなわち悪鬼外道の音訳語として作られた。唐以後の文献にみえる。

[訓義]
1. おに。
2. 外道。
3. 心が迷いこむ。

[古辞書の訓]
名義抄 オニ・ココメ・タマシヒ 〔字鏡〕 ナヤマス・ココメ・マジナフ・オニ・タマシヒ・サハル

[熟語]
魔媼・魔界・魔郷魔境魔術魔漿・魔神・魔道・魔法魔魅・魔羅
[下接語]
悪魔・閻魔・外魔・狂魔・群魔・降魔・業魔・死魔・詩魔・邪魔・酒魔・衆魔・愁魔・書魔・心魔・酔魔・睡魔・禅魔・天魔・破魔・病魔・伏魔・夢魔・滅魔・妖魔

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「魔」の意味・わかりやすい解説


古くは摩,磨とも書いたが梁の武帝のとき,魔にしたのが始りといわれる。しかし,武帝以前に魔の字は存在したらしい。魔はサンスクリット語 māraの音写,魔羅の略語で,殺すものという意味。翻訳語に殺者,奪命,悪魔などがあるが,人の生命を奪い,善事を妨げる悪い鬼神をさす。仏教では魔の内観的意味として,煩悩など衆生を悩ますものを魔といい,自己の身心から生じる障礙を内魔,外界から加わる障礙を外魔という。

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