(読み)てい

精選版 日本国語大辞典 「亭」の意味・読み・例文・類語

てい【亭】

〘名〙
① やしき。住居
※中右記‐嘉保二年(1095)五月一一日「左府土御門亭焼亡」
平家(13C前)二「多田蔵人行綱、入道相国の西八条の亭に参て」
庭園の中にある休憩所。あずまや。中世以後、ふつう唐宋音で「ちん」と読む。→亭(ちん)
※本朝文粋(1060頃)八・林亭春已晩詩序〈紀斉名〉「観夫林下有亭、亭上延客」
③ やど。はたご。旅館や料理屋。〔書言字考節用集(1717)〕
④ 家のあるじ。亭主
申楽談儀(1430)世子と霊夢「稲荷の法性寺大路の橘倉のてい、あやまちより大事に成てまかるべき時」
咄本醒睡笑(1628)二「客来たるに、亭出て」
⑤ 中国古代に置かれた宿駅。〔漢書‐百官公家表〕

ちん【亭】

〘名〙 (「ちん」は「亭」の唐音) 眺望休息のため庭園内に建てた小屋。あずまや。
曾我物語(南北朝頃)二「山をつきては、ちんをかまへ、池をほりては、船をうかべ」

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デジタル大辞泉 「亭」の意味・読み・例文・類語

てい【亭】

[名]
庭に設けた休憩用などの建物。あずまや。ちん。
亭主。
島屋の―が、そんなひどい事をしおるかえ」〈鏡花歌行灯
やしき。住居。
「多田蔵人くらんど行綱、入道相国の西八条の―に参りて」〈平家・二〉
[接尾]
文人芸人などの号に付ける。「二葉四迷」「三遊円朝」
文人・墨客ぼっかくなどの住居、寄席よせ・料理屋などの屋号に付ける。「知雨」「末広

てい【亭】[漢字項目]

常用漢字] [音]テイ(漢) チン(唐)
旅人の宿泊所。宿駅。「亭長/駅亭
屋根だけで壁のない休息所。あずまや。ちん。「池亭
飲食・演芸などで客を集める建物。「亭主旗亭席亭茶亭料亭
樹木が高くそびえるさま。「亭亭
きっかりその点に当たる。「亭午

ちん【亭】

唐音》眺望や休憩のために高台や庭園に設けた小さな建物。あずまや。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【四阿∥東屋】より

…庭園などに設けられた休息用の小建築で,亭(ちん)とも呼ぶ。方形平面で4本柱とするのが普通であるが,多角形や円形のものもあり,屋根は宝形造(ほうぎようづくり)(屋根)でカヤ(茅)や杉皮,板でふいたものが多い。…

※「亭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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