デジタル大辞泉
「消」の意味・読み・例文・類語
く【▽消】
[動カ下二]消える。
「降り置ける雪の常夏にけずて渡るは」〈万・四〇〇四〉
「梅の花早くな散りそ雪はけぬとも」〈万・八四九〉
「立山の雪しくらしも」〈万・四〇二四〉
[補説]「消ゆ」に先行する上代語とされるが、活用形は大半が連用形である。終止形の例とされる「四〇二四」を「来らし」とする説もあり、また、未然・連用形の「け」は「消ゆ」の未然・連用形「きえ」の音変化とする説もある。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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け【消】
- ( 動詞「きゆ(消)」の未然形および連用形「きえ」の変化したものか。用例の大半は連用形 )
- ① 消える。消滅する。
- [初出の実例]「残りたる雪にまじれる梅の花早くな散りそ雪は消(け)ぬとも」(出典:万葉集(8C後)五・八四九)
- 「風どと吹落て小とほしの火はたとけぬ」(出典:俳諧・蕪村真蹟‐馬提灯(1764‐72頃))
- ② しぼむ。
- [初出の実例]「朝(あした)咲き夕(ゆふべ)は消流(けぬる)月草の可レ消(けぬべき)恋も吾はするかも」(出典:万葉集(8C後)一〇・二二九一)
- ③ 死ぬ。比喩的表現で、露、霜、雪などの語を含む枕詞を受けることが多い。
- [初出の実例]「朝露の既(ケ)やすき我が身他(ひと)国に過ぎかてぬかも親の目を欲(ほ)り」(出典:万葉集(8C後)五・八八五)
- 「花にさき実になりかかる世をすててうきばの露と我ぞけぬべき」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- ④ ( 他動詞的に用いて ) 消えるようにする。消す。
- [初出の実例]「恋ひわびて死ぬる薬のゆかしきに雪の山にや跡をけなまし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)
消の補助注記
( 1 )終止形を「けゆ」とし、「け」をその未然・連用形「けえ」の変化とする説がある。
( 2 )「万葉‐四〇二四」の「立山の雪し久(ク)らしも」の「く」を終止形と認め、カ行下二段に活用したとする説もある。
けし【消】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「けす(消)」の連用形の名詞化 )
- ① 消すこと。ないものとすること。また、文字などを消したしるし。
- [初出の実例]「国元へ遣る見舞の状を書かけ、消(ケ)しの出来たのを引裂いて二度の文言を案じる間に」(出典:油地獄(1891)〈斎藤緑雨〉五)
- ② 貸し借りの清算。帳消しにすること。また、支払うこと。
- [初出の実例]「消(ケ)しに困って客人から、預り物を典物(てんぶつ)して集めの者に桟敷代を、払った茶屋もあったさうだ」(出典:歌舞伎・月梅薫朧夜(花井お梅)(1888)二幕)
- ③ めっきをすること。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ④ 江戸時代、大坂堂島の米市場での帳合米(ちょうあいまい)売買で、四つ(午前一〇時)過ぎ、または昼過ぎに売買を中止したこと。
- ⑤ 囲碁で、相手の模様がそのまま地にならないように、中央方向から手段を求める着手。
きえ【消】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「きえる(消)」の連用形の名詞化 )
- ① 消えること。とくに、死ぬこと。
- [初出の実例]「ややもせばきえを争ふ露の世に後れ先だつ程経ずもがな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)御法)
- ② 昼時をいう。大坂堂島の米市場での用語。
- [初出の実例]「火縄のきへに碁象戯の気散じは、実(げに)も日本国を胸にたたんで」(出典:洒落本・北華通情(1794))
く【消】
- 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙 ⇒け(消)
消の補助注記
「万葉‐四〇二四」の「立山の雪し久(ク)らしも延槻(はひつき)の川の渡瀬鐙(あぶみ)浸(つ)かすも」の「久(ク)」を「け(消)」の終止形とみる説があるが、「来らしも」とも考えられ、決定しがたい。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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「消」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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