(読み)メツ

デジタル大辞泉 「滅」の意味・読み・例文・類語

めつ【滅】[漢字項目]

常用漢字] [音]メツ(呉) [訓]ほろびる ほろぼす
存在しているものを絶やしなくする。なくなる。ほろびる。「滅却滅私滅亡湮滅いんめつ壊滅撃滅幻滅死滅自滅消滅衰滅絶滅殲滅せんめつ全滅破滅不滅撲滅摩滅
火が消える。「点滅明滅
仏や高僧の死。「入滅仏滅
[難読]滅入めい滅茶めちゃ滅金めっき

めつ【滅】

仏語
四相の一の滅相。「に入る」
煩悩や苦悩の消滅。「苦集くじゅう道」「諦」
㋒悟りの境地。涅槃ねはん滅度
㋓死ぬこと。特に、釈迦しゃかの死。仏滅。
滅びること。消え失せること。消滅。
「一切の法は久しからずして皆、―有り」〈今昔・三・二九〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「滅」の意味・読み・例文・類語

めつ【滅】

  1. 〘 名詞 〙
  2. なくなること。ほろびること。
    1. [初出の実例]「一切の法は不久ずして皆、滅有り」(出典:今昔物語集(1120頃か)三)
  3. 仏語。
    1. (イ) 涅槃のこと。
      1. [初出の実例]「この滅に多般の手眼を荘厳せり。〈略〉いはゆるかくのごとくの許多手眼、しかしながら滅の功徳なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)海印三昧)
    2. (ロ) 死ぬこと。入寂。入滅。
      1. [初出の実例]「第四従日月燈明仏於六十少劫以下。明滅義応一レ同。今釈迦亦応滅」(出典法華義疏(7C前)一)
    3. (ハ) 四相の一つ。滅相。
    4. (ニ) 四諦の一つ。煩悩や苦悩が消滅することを理想涅槃の境地とするもの。
    5. (ホ) 毘奈耶(びなや)、すなわち律のこと。

ほろび【滅】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ほろびる(滅)」の連用形名詞化 ) ほろびること。衰え絶えること。消え去ること。滅亡。衰亡
    1. [初出の実例]「狂へ、狂へ、破滅(ホロビ)の渚」(出典:邪宗門(1909)〈北原白秋〉朱の伴奏耽溺)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「滅」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

[字音] メツ
[字訓] ほろびる・きえる・うしなう

[説文解字]
[その他]

[字形] 形声
声符は(べつ)。は戉(えつ)(鉞(まさかり))を火に加えて、火を鎮(しず)める意の字。〔説文〕十一上に「盡くるなり」とあり、十上にも「滅ぶるなり」とあって、滅尽することをいう。戉を聖器として、火を鎮圧する呪儀をいい、それより滅尽・滅亡の意とする。〔詩、小雅、正月〕に「赫赫たる宗 襃(はうじ)之れを(ほろ)ぼす」、その上文に「燎(ひ)の方(まさ)に揚ぐるとき (なん)ぞ之れを滅ぼすこと或(あ)らんや」とあり、を滅亡、滅を消火の意に用いる。古くその別があったのであろう。

[訓義]
1. 火をけす、火をしずめる。
2. ほろびる、ほろぼす。
3. のぞく、きえる、うしなう、たえる。
4. かくす、おおう。

[古辞書の訓]
名義抄〕滅 ホロブ・イル・キユ・キエヌ・ケス/入滅 シヌ 〔字鏡集〕滅 キユ・ツクス・シタガフ・ホロブ・キエヌ・ケス・ツキヌ・シヌ・クル

[語系]
滅・miatは同声。は滅亡の意のとき、許劣切(ケツ)の音でよむ。火滅のときは滅と同声。蔑myat、(亡)miuangも声義近く、滅尽の意がある。

[熟語]
滅夷・滅火滅棄・滅却・滅去・滅戸・滅口・滅国・滅祀滅趾・滅・滅取・滅除・滅尽・滅性滅迹・滅跡・滅絶・滅息・滅頂・滅得・滅覆・滅亡・滅没・滅磨・滅名・滅明・滅門・滅乱・滅裂
[下接語]
夷滅滅・隠滅・翳滅・煙滅・灰滅・潰滅・壊滅・起滅・毀滅・朽滅・去滅・撃滅・幻滅・興滅・残滅・死滅・示滅・自滅・寂滅・消滅・燭滅・神滅・燼滅・衰滅・生滅・絶滅・滅・翦滅・殲滅・全滅・掃滅・勦滅・熄滅・族滅・誅滅・点滅・殄滅・電滅・討滅・入滅・破滅・敗滅・廃滅・糜滅・必滅・泯滅・不滅・覆滅・仏滅・撲滅・摩滅・磨滅・明滅・淪滅

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android