焼山(読み)ヤケヤマ

デジタル大辞泉 「焼山」の意味・読み・例文・類語

やけ‐やま【焼山】[地名]

新潟県南西部にある活火山。妙高火山群の一峰。標高2400メートル。頂部に硫気孔群、山腹に爆裂火口などがある。新潟焼山
秋田県北東部にある活火山。標高1366メートル。二重式火山で、最高峰外輪山の南西縁にある。秋田焼山

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精選版 日本国語大辞典 「焼山」の意味・読み・例文・類語

やけ‐やま【焼山】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 焼けている山。野火などで焼けた山。また、山焼きを行なった山。《 季語・春 》
      1. [初出の実例]「ふる枝の節のみ残るうつを木の立てるもさびしはたのやけ山〈藤原信実〉」(出典:現存和歌六帖(1249‐50頃))
    2. かつて噴火した山。
      1. [初出の実例]「浅間山は焼(ヤ)け山(ヤマ)にて昔燃え出た事があったと、かねて話に聞いてゐたが」(出典:歌舞伎・音聞浅間幻燈画(1888)二幕)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 秋田県北東部、鹿角市田沢湖町との境にある活火山。十和田八幡平国立公園の一部。標高一三六六メートル。
    2. [ 二 ] 新潟県南西部、糸魚川市と妙高市との境にある活火山。妙高火山群の一峰。円錐状二重式火山で、上信越高原国立公園の一部。標高二四〇〇メートル。

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改訂新版 世界大百科事典 「焼山」の意味・わかりやすい解説

焼山 (やけやま)

新潟県糸魚川(いといがわ)市と妙高市の境にある山。標高2400m。妙高山(2446m)や火打山(2462m)などからなる妙高火山群中唯一の活火山である。山体は,第三紀層の基盤を角セン石安山岩の溶岩や火山砕屑流(さいせつりゆう)堆積物などが覆う。1852年(嘉永5)以来しばしば爆発し,近年は1949年,63年,74年と爆発を繰り返している。山頂部にある周囲500mほどの火口壁の北側は破壊され南は高く急である。山頂付近に樹木はほとんどない。噴火口はまわりの溶岩の屑や火口砂などによって埋められている。山腹北側には火山泥流堆積物よりなる長大な緩斜面がつくられ,上方には〈賽(さい)の河原〉と称される砂礫からなる狭長な平たん斜面,下半部には数個の火山泥流丘が発達し,末端に笹倉温泉がある。焼山の景観は雄大・豪壮で上信越高原国立公園にも含まれる。登山路は,糸魚川方面から笹倉温泉を経て湯川谷に沿って登るものと,南東の笹ヶ峰から火打山を経て登るコースが一般的である。
執筆者:


焼山 (やけやま)

秋田県北東部,八幡平火山の西方にある二重式火山。標高1366m。熊沢山ともいう。焼山は外輪山の一峰の名で,栂森(つがもり)(1359m),黒石森(1231m)などとともに南北約800m,東西約600mの楕円形をなして連なり,一部に水をたたえた噴火口と中央火口丘の鬼ヶ城を囲んでいる。1894年と1950年に爆発があり,現在も微弱ではあるが火山活動を続けている。名のとおり全体が焼石でおおわれ,かつて硫黄を採掘した又一・宮川両鉱山跡がある。十和田八幡平国立公園に含まれ,西麓に玉川温泉,東麓に蒸(ふけ)ノ湯温泉,大深温泉,後生掛(ごしよがけ)温泉があり,登山やスキーの適地となっている。栂森西側のもうせん峠付近は強風のために樹木が育たず,広大な緩斜面はコケモモイソツツジを混ぜたガンコウランの一大群落地となっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「焼山」の意味・わかりやすい解説

焼山
やけやま

秋田県北東部,十和田八幡平国立公園八幡平に属する火山活火山で,常時観測火山。標高 1366m。鹿角市の南端,仙北市との境にある。有史以来小規模な噴火を繰り返しているが,詳細はわかっていない。延宝6(1678)年に中規模の水蒸気爆発を起こし,1949,1951,1997年にも噴火した。基底は新第三紀層で,外輪山の内側に鬼ヶ城が中央火口丘として噴出。火口は南北約 800m,東西約 600mの楕円形をなす。火口原湖の湯沼付近には硫黄が堆積し,かつては又一鉱山,宮川鉱山で硫黄を採掘していた。東麓に後生掛温泉,西麓に玉川温泉がある。

焼山
やけやま

新潟県南西部,糸魚川市妙高市の境,妙高火山群に属する成層火山活火山で,常時観測火山。標高 2400m。周辺に妙高山(2454m),阿弥陀山(1502m),雨飾山(1963m)などがそびえる。山体は新第三紀層を基盤とする安山岩集塊岩からなる。安永2(1773)年にマグマ噴火を起こし,火砕流が発生した。嘉永5(1852)年には水蒸気爆発を起こし大量の硫黄を噴出,1949年にも水蒸気爆発を起こし,その後も小規模な噴火が発生している。山頂付近は樹木がなく,周囲約 500mの噴火口がある。火口壁の北は破壊され,南は急峻,北西麓に泥流堆積物による賽河原平坦地が見られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「焼山」の意味・わかりやすい解説

焼山(新潟県)
やけやま

新潟県糸魚川市(いといがわし)と妙高市(みょうこうし)の境にあり、妙高火山群中で噴火記録をもつ唯一の火山。標高2400メートル。富士火山帯の北端に位置する。基盤の新第三紀層の隆起部(標高約2000メートル)に生じた安山岩の溶岩円頂丘で、その形から茶臼(ちゃうす)岳ともよぶ。山頂火口(御鉢)の北壁は破壊されており、頂部には硫気孔群がある。山腹には爆裂火口や割れ目が発達している。古くから山体の大崩壊や水蒸気爆発を繰り返し、しばしば泥流災害を生じた。第二次世界大戦後も、近くは1983年(昭和58)まで5回噴火し、とくに1974年夏の噴火では登山者3名が噴石で死亡した。景観は豪壮で、妙高戸隠連山国立公園に属する。北側の糸魚川市笹倉(ささくら)温泉からの登山路や、南東側の妙高山、火打山からの縦走コースがあるが、観光開発は遅れている。

[諏訪 彰]


焼山(秋田県)
やけやま

秋田県北東部、鹿角市(かづのし)と仙北市田沢湖地区の境にある活火山。秋田焼山とよばれることが多い。標高1366メートル。安山岩質の二重式成層火山。最高峰は外輪山の南西縁で、狭義にはこの峰を焼山とよぶ。同峰や黒石森(1231メートル)、栂森(つがのもり)(1349メートル)などに囲まれた、直径800メートル前後のカルデラ内に石英安山岩質溶岩円頂丘の中央火口丘鬼ヶ城(おにがじょう)がある。有史以後も鬼ヶ城で水蒸気爆発を反復し、ときには火山泥流も発生した。最近は1997年(平成9)に水蒸気爆発した。全山荒涼たる裸山で、火口湖の湯沼付近や外輪山の山麓(さんろく)は硫気孔に富む。西麓の玉川温泉、東麓の後生掛(ごしょがけ)温泉からの登山ルートがある。十和田八幡平(とわだはちまんたい)国立公園に属し、登山者やスキー客も多い。

[諏訪 彰]

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百科事典マイペディア 「焼山」の意味・わかりやすい解説

焼山(新潟)【やけやま】

新潟県南西部,富士火山帯の北端にそびえる成層火山。標高2400m。妙高火山群に属する活火山で,新第三紀層を基盤とする安山岩からなる。火口の北側は破壊され,北斜面には泥流堆積物による賽河原(さいのかわら)の平たん地が形成されている。山麓の笹倉温泉が登山口。現在でも噴気を上げており,近年入山を規制したこともあるなど活動は活発で,気象庁が常時観測している。

焼山(秋田)【やけやま】

秋田県花輪盆地の南にある複式火山。標高1366m。熊沢山とも呼ばれる。安山岩からなり,外輪山は南北にやや長い楕円形を示し,中央火口丘鬼ヶ城がある。火口原湖の湯沼付近には盛んに火山ガスを噴出する硫気孔があり,気象庁が常時観測する活火山となっている。山麓には玉川温泉など多くの温泉がある。十和田八幡平国立公園に属している。

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世界大百科事典(旧版)内の焼山の言及

【西彼杵半島】より

…東は大村湾,西は五島灘,北は佐世保湾に面し,胴体部をなす西彼(せいひ)山地,東部と北西部の丘陵地,そして北部の溶岩台地に区分できる。西彼山地は黒色の結晶片岩からなる標高400m前後の隆起準平原で,飯盛山(531m),焼山(416m)などは準平原面上の残丘である。北部の玄武岩からなる溶岩台地は標高200m前後で,中央の虚空蔵(こくぞう)山(307m)は台地上に噴出した火山砕屑丘である。…

【八幡平】より

…十和田八幡平国立公園に属する。狭義には高原中央にある最高峰の楯状火山(1614m)をいい,広義には東の茶臼岳(1578m),西の栂森(つがもり)(1350m),焼山(1366m),南の畚(もつこ)岳(1578m),大深岳(1541m)を結ぶ連峰およびその周辺地域を含む。おもに輝石安山岩の厚い溶岩流と火山灰層からなり,主峰の山頂部は約1.5km2にわたって平たんな台地状をなし,付近には八幡沼や蟇(がま)沼などの湖沼が点在し,これらをとりまいて広大な高層湿原が展開している。…

※「焼山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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