デジタル大辞泉
「薦」の意味・読み・例文・類語
せん【薦】[漢字項目]
[常用漢字] [音]セン(呉)(漢) [訓]すすめる こも
1 人を取り上げ用いるように進言する。「自薦・推薦・他薦・特薦」
2 こも。敷物。「薦席」
[名のり]しげ・のぶ
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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こも【薦・菰】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 菰 ) 植物「まこも(真菰)」の古名。《 季語・夏 》
- [初出の実例]「恵曇(ゑとも)の池、陂(つつみ)を築(つ)く。〈略〉四辺(めぐり)に葦(あし)、蒋(こも)、菅(すげ)生ふ」(出典:出雲風土記(733)秋鹿)
- 「心ざしふかきみぎはにかるこもはちとせのさ月いつかわすれん〈道綱母〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑賀・一一七二)
- ② まこもを粗く織って作ったむしろ。今は藁(わら)を用いる。こもむしろ。
- [初出の実例]「独り寝(ぬ)と茭(こも)朽ちめやも綾席(あやむしろ)緒になるまでに君をし待たむ」(出典:万葉集(8C後)一一・二五三八)
- 「桜木や菰張まはす冬がまへ〈支梁〉」(出典:俳諧・炭俵(1694)下)
- ③ 植物「こもくさ(薦草)」の略。〔享和本新撰字鏡(898‐901頃)〕
- ④ 「こもかぶり(薦被)②」の略。
- [初出の実例]「橋にねて菰どしゑいぐゎ物がたり」(出典:雑俳・ぎんかなめ(1729))
- ⑤ ( 「虚無」とも書く ) 「こもそう(薦僧)」の略。〔文明本節用集(室町中)〕
- [初出の実例]「虚妄僧 花ざかりふくとも誰かいとふべき風にはあらぬこもが尺八」(出典:三十二番職人歌合(1494頃)六番)
- ⑥ 江戸時代、夜、道ばたで客をひいた下級の売春婦。こもむしろを持っていたところからいう。
せん【薦】
- 〘 名詞 〙
- ① すすめること。すいせん。
- [初出の実例]「雪舟の薦に藉りて、足利氏の画工の長たり」(出典:文芸類纂(1878)〈榊原芳野編〉五)
- [その他の文献]〔李陵‐答蘇武書〕
- ② しきもの。むしろ。〔拾遺記‐周穆王〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「薦」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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薦 (こも)
マコモや藁(わら)を編んだもので,敷物や被覆材として用いる。古くはマコモで織ったがスゲやチガヤ,イ(藺),ガマ(蒲),竹なども用い,現在は藁が一般的である。盆の精霊棚に新薦(あらごも)を敷く風習は古代の遺風を示しており,かつては殿上の大床や,大饗(たいきよう)の敷物,あるいは神事の斎庭(ゆにわ)や神前への奉納物の敷物として用いられた。神事などの敷物はすべて清浄を尊んで毎回新しくするしきたりであったが,民間ではこもはむしろ粗末なものとして扱われることが多い。産所にこもを敷くことは,愛媛県下でお産のことをコモウケといったり,山形県下で産婆をコモカブリということからも知れる。乞食や私娼をコモカブリというのもこれらがいつもこもをかぶっているからであり,戸のあけたてのぞんざいなるを〈こもたれ子〉とさげすむのは,出入口の戸の代りに小さな家ではこも類をさげたなごりである。こもは包装材としても使われ,こもで包んだ主に4斗入りの酒樽を薦被(こもかぶり)という。
→筵(むしろ)
執筆者:大島 暁雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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薦
こも
水辺に生えるイネ科の多年草マコモの古名で、それを粗く編んでつくったむしろをいう。「菰」とも書く。「薦かぶり」は、薦で包んだ4斗(約72リットル)入りの酒樽(さかだる)、また、乞食(こじき)がいつも薦をかぶっていたところから、乞食の別称ともなった。出入口の戸、障子のかわりに薦を垂らした貧家、乞食小屋を「薦垂(だ)れ」「薦吊(つる)し」という。また「薦枕(まくら)」は、マコモを束ねてつくった枕であるが、平安時代以降、水辺の旅寝を例えていった。
[兼築信行]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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