クジラ(鯨)(読み)クジラ

百科事典マイペディア 「クジラ(鯨)」の意味・わかりやすい解説

クジラ(鯨)【クジラ】

クジラ目に属する水生の哺乳(ほにゅう)類の総称。ふつう,体長5m以上の大型のものをクジラ,それ以下のものをイルカというが,両者間に分類学的な違いはない。後肢がなく,前肢はひれ手羽)状。水平に広がる尾びれがあり,皮膚は裸出してほとんど体毛がない。胎生期を除いては一生歯がはえないヒゲクジラ類と,歯を備えるハクジラ類とに大別される。ヒゲクジラ類には古今を通じ最大の動物であるシロナガスクジラ(体長20〜30m前後,最大記録は33.6m)をはじめ,ナガスクジライワシクジラザトウクジラミンククジラセミクジラ,コククジラなどがあり,ハクジラ類にはマッコウクジラ,アカボウクジラ,ツチクジラ,オオギハクジラ,シャチオキゴンドウ,その他イルカ類などが含まれる。肺呼吸をするため普通5〜15分(2000m以上の深海までもぐるマッコウクジラ,ツチクジラなどではときに1時間)で水面に浮かび上がる。湿度の高い,圧縮され,暖められた呼気を急に排出するとき,水滴を生ずるほか,外鼻孔周辺の水も一緒に吹き飛ばすので,いわゆる〈潮吹き〉という現象を呈する。ヒゲクジラ類ではオキアミ,カラヌスなどの小甲殻類を主食とするが,イワシサバニシン,ホッケなどの魚類も食べる。ハクジラ類ではイカ類や魚類を混食することが多く,シャチ(サカマタ)は性質が凶暴でオットセイ,イルカのほか,コククジラなども食べる。出産は暖海で行うものが多く,ふつう1産1子。子は通常生後6〜12ヵ月乳をのむ。大型のクジラ類はかつては捕鯨の対象となり,鯨肉食用鯨油マーガリン,製革用油に,骨や歯は工芸品などに多く利用された。資源保護などの観点から捕鯨は禁止されるに至った。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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