ポリ(酢酸ビニル)(読み)ポリサクサンビニル

化学辞典 第2版 「ポリ(酢酸ビニル)」の解説

ポリ(酢酸ビニル)
ポリサクサンビニル
poly(vinyl acetate)

略称PVAc.酢酸ビニル重合体塊状重合懸濁重合あるいは乳化重合によって合成される.この重合反応は,

と発熱量が比較的大きいため,工業的に重合を行う場合には,温度調節について特別な考慮が必要である.通常,ポリマー中にかなりの分枝が生じる.ポリ(酢酸ビニル)は,分子構造として大きなアセトキシ基をもつため代表的な無定形高分子で,軟化点が低い.したがって,その成形物としての用途はなく,エマルションとして水性塗料接着剤,あるいはチューインガムなどの基材原料として用いられる.塗料,その他の用途はきわめて少ない.無色,透明で水に不溶.低分子量体は軟らかくゴム状であり,高分子量体は常温で寸法安定性をもつ.酸または塩基触媒共存下,アルコールでポリ(酢酸ビニル)を処理すると,アルコール分解を起こす.[CAS 9003-20-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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