僻む(読み)ヒガム

デジタル大辞泉 「僻む」の意味・読み・例文・類語

ひが・む【×僻む】

[動マ五(四)]
物事を素直に受け取らないで、曲げて考える。自分が不利なようにゆがめて考える。「じゃま者扱いされたと―・む」
ゆがんだ考え方をする。考え方がまちがっている。
「取りはづして落窪といひたらむ、何か―・みたらむ」〈落窪・四〉
物の見方がかたよっている。偏屈な考え方をする。
「―・める心はさらにさも思はで」〈須磨
正常な状態ではなくなる。もうろくする。
母君の、あやしくなほ―・める人にて、世の常のありさまにもあらず」〈・若菜下〉
[動マ下二]事実に相違させる。ゆがめる。
「聞こし召し―・めたることなどや侍らむ」〈若紫
[類語](妬むおこいか憤る八つ当たりいじけるひねくれるすねるねじけるねじくれるふくれる気色けしきばむむかつくむかっとむかむかむっとむしゃくしゃむらむらくしゃくしゃ不快不愉快不機嫌不興憮然仏頂面虫の居所が悪い風向きが悪い胸糞が悪い・けった糞が悪い・気を悪くするつむじを曲げるはらわたが煮え返る臍を曲げる・怒り付ける・怒り狂う腹立つ腹が立つ小腹が立つ向かっ腹が立つ・腹を立てる怒り心頭に発するしゃく小癪こしゃくしゃくに障る癇癪かんしゃく冠を曲げる堪忍袋の緒が切れる向かっぱらやけっぱら業腹業を煮やす逆上青筋を立てる憤懣ふんまんわなわな虫唾むしずが走る反吐へどが出る

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精選版 日本国語大辞典 「僻む」の意味・読み・例文・類語

ひが・む【僻・邪】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
    1. ひねくれる。心がねじける。自分が不利なようにゆがめて思いこむ。
      1. [初出の実例]「うき世には門(かど)させりとも見えなくになど我が宿のいでがてにする、といひてひがみをりける間に」(出典大和物語(947‐957頃)二条家本附載)
    2. 正気をなくす。
      1. [初出の実例]「はは君も、さこそひかみたまへれど、うつし心いでくる時は」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
    1. 曲げて事実に相違させる。ひがむようにする。
      1. [初出の実例]「さすがにすずろなる心地して、かるがるしうもてひがめたると人もや漏り聞かむなど、つつましければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
    2. 曲がるようにする。反対方向に行かせるようにする。

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