怒る(読み)オコル

デジタル大辞泉 「怒る」の意味・読み・例文・類語

おこ・る【怒る】

[動ラ五(四)]《「起こる」と同語源。感情が高まるところから》
不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。「真っ赤になって―・る」
よくない言動を強くとがめる。しかる。「へまをして―・られた」
[可能]おこれる
[用法]おこる・いかる――「父親は息子うそにおこって(いかって)殴りつけた」のように、日常的な怒りが行為や表情となって外に現れる場合には、ほぼ共通して使える。◇抽象的ないかりの場合は「政界汚職にいかる」のように用い、「おこる」はふつう使わない。また、「いかる」は文章語的でもある。◇類似の語「しかる」は、相手の言動やあやまちなどを強い調子で責めること。「父親はうそをついた息子をしかった」のように用いる。
[類語](1むくれるいか憤る八つ当たりいじけるひねくれるすねるひがむねじけるねじくれるふくれる気色けしきばむむかつくむかっとむかむかむっとむしゃくしゃむらむらくしゃくしゃ不快不愉快不機嫌不興憮然仏頂面虫の居所が悪い風向きが悪い胸糞が悪い・けった糞が悪い・気を悪くするつむじを曲げるはらわたが煮え返る臍を曲げる・怒り付ける・怒り狂う腹立つ腹が立つ小腹が立つ向かっ腹が立つ・腹を立てる怒り心頭に発するしゃく小癪こしゃくしゃくに障る癇癪かんしゃく冠を曲げる堪忍袋の緒が切れる向かっぱらやけっぱら業腹業を煮やす逆上青筋を立てる憤懣ふんまんわなわな虫唾むしずが走る反吐へどが出る/(2𠮟る𠮟咤𠮟責譴責𠮟りつける一喝大喝お目玉大目玉

いか・る【怒る】

[動ラ五(四)]
腹を立てる。おこる。憤慨する。「烈火のごとく―・る」
激しく動く。荒れ狂う。「波が―・る」
角張って、ごつごつしている。角立つ。「―・った肩」
おこ(怒)る[用法]
[補説]本来、「角立つ」のをいう語。感情が角立てば、腹を立てる意にもなる。この意には、現在「おこる」が用いられるが、これは「起こる」と同源で、勢いが盛んになる意から、気持ちの高ぶるのをいうようになったものらしい。
[可能]いかれる
[類語]おこむくれる八つ当たり憤るいじけるひねくれるすねるひがむねじけるねじくれるふくれる気色けしきばむむかつくむかっとむかむかむっとむしゃくしゃむらむらくしゃくしゃ不快不愉快不機嫌不興憮然仏頂面虫の居所が悪い風向きが悪い胸糞が悪い・けった糞が悪い・気を悪くするつむじを曲げるはらわたが煮え返る臍を曲げる・怒り付ける・怒り狂う腹立つ腹が立つ小腹が立つ・向かっ腹が立つ・腹を立てる怒り心頭に発するしゃく小癪こしゃくしゃくに障る癇癪かんしゃく冠を曲げる堪忍袋の緒が切れる向かっぱらやけっぱら業腹業を煮やす逆上青筋を立てる憤懣ふんまんわなわな虫唾むしずが走る反吐へどが出る

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精選版 日本国語大辞典 「怒る」の意味・読み・例文・類語

いか・る【怒】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 自分の意に反するものの存在によって感情がいらだち荒れる。おこる。いきどおる。立腹する。
    1. [初出の実例]「其の賊将を別の処に曳(ひ)き、恠りて慍(イカリ)て云はく」(出典:石山寺本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
    2. 「ただいみじういかれる気色にもてなして太刀を引き抜けば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
  3. 荒々しくふるまっておどす。にらみつける。
    1. [初出の実例]「阿修羅いかれるかたちをいたして」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  4. 物の形状が角立つ。ごつごつする。そびえる。
    1. [初出の実例]「いと草(さう)がちにいかれる手の」(出典:源氏物語(1001‐14頃)常夏)
    2. 「いかった肩には骨が露(あら)はに突っ立ってゐる」(出典:ごりがん(1920)〈上司小剣〉五)
  5. 勢いはげしく動く。たけだけしくふるまう。
    1. [初出の実例]「荒海のいかれる魚の姿」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)

怒るの語誌

( 1 )中古での用法では、「切り殺す」などの行動につながる激しい「怒り」を表わす。類義のイキドホルが心中にとどまって他者にぶつけられることのない「怒り」を表わすのと異なる。
( 2 )和文では、イカルとほぼ同義の語としては、ハラダツが用いられた。院政期以後には、イカラス・イカラカスといった「怒り」の表情・形相を表わし、またそれを強める語も生まれた。


おこ・る【怒】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. いかる。腹を立てる。興奮して気が荒くなる。
    1. [初出の実例]「そら弁慶が怒(オコッ)たぞ」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)前)
  3. しかる。
    1. [初出の実例]「年中おこられたり、おどかされたり」(出典:嬰児ごろし(1920)〈山本有三〉)

怒るの語誌

現代語では「いかり」を表わす語として最も一般的だが、成立は近世後期になってからと考えられる。「カッとなる」「熱くなる」「烈火のごとく」などの表現は、激しい「おこり」が「火・熱」を連想させたことを示唆している。

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