気色ばむ(読み)ケシキバム

デジタル大辞泉 「気色ばむ」の意味・読み・例文・類語

けしき‐ば・む【気色ばむ】

[動マ五(四)]
1 怒ったようすを表情に現す。むっとして顔色を変える。「―・んで席を立つ」
2 それらしいようすが現れる。
㋐花が咲きそうになる。
「梅の花のわづかに―・みはじめて」〈源・幻〉
㋑出産のきざしが現れる。
「この子生まるべくなりぬ。―・みて悩めば」〈宇津保・俊蔭〉
3 意中をほのめかす。
「時々―・める事はあれど、知りて知らず顔なるにはあらむは」〈宇津保・嵯峨院〉
4 意味ありげな態度を見せる。
「この童、隠れの方に―・みけるけはひを御覧じつけて」〈和泉式部日記〉
[類語]色を作なす・気が立つ・満面朱を注ぐ・口を尖らす・むくれる・怒おこる・怒いかる・憤る・八つ当たり・いじける・ひねくれる・すねる・ひがむ・ねじける・ねじくれる・ふくれる・むかつく・むかっと・むかむか・むっと・むしゃくしゃ・むらむら・くしゃくしゃ・不快・不愉快・不機嫌・不興・憮然・仏頂面・虫の居所が悪い・風向きが悪い・胸糞が悪い・けった糞が悪い・気を悪くする・つむじを曲げる・はらわたが煮え返る・臍を曲げる・怒り付ける・怒り狂う・腹立つ・腹が立つ・小腹が立つ・向かっ腹が立つ・腹を立てる・怒り心頭に発する・癪しゃく・小癪こしゃく・癪しゃくに障る・癇癪かんしゃく・冠を曲げる・堪忍袋の緒が切れる・向かっ腹ぱら・やけっ腹ぱら・業腹・業を煮やす・逆上・青筋を立てる・憤懣ふんまん・わなわな・虫唾むしずが走る・反吐へどが出る

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精選版 日本国語大辞典 「気色ばむ」の意味・読み・例文・類語

けしき‐ば・む【気色ばむ】

  1. 〘 自動詞 マ行五(四) 〙 ( 「ばむ」は接尾語 )
  2. ① 自然界の事物が生動のけはいを帯びる。発現のきざしがみえる。
    1. [初出の実例]「菊のけしきばめる枝に濃きあをにびの紙なる文つけて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
  3. ② 懐妊、出産の徴候を帯びる。
    1. [初出の実例]「六月六日この子むまるべくなりぬ。けしきばみて悩めば、女きも心を惑はして」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  4. ③ 気持が外に表われる。心のうちをほのめかす。意中がそぶりにあらわれる。
    1. [初出の実例]「『なほかく思ふ事なんある』とばかりだに、いかでこの君に知らせ奉らん。時々けしきばめる事はあれど、知りて知らず顔なるにやあらむは」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
  5. ④ 気どる。改まった様子をする。すます。もったいぶる。
    1. [初出の実例]「『のちに』と言ひし人ものぼりてあれば、それに猶しもあらぬやうにあれば、いたくけしきばみたてり」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
  6. ⑤ むっとして怒った表情になる。ふんがいする。色をなす。
    1. [初出の実例]「人のけしきばみ、くせぐせしきをなん、あやしと思ふ」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
    2. 「母親は急に気色ばんで吃と娘を睨付け」(出典:破垣(1901)〈内田魯庵〉一)
  7. ⑥ 興奮する。興奮して勢い込む。
    1. [初出の実例]「こんなときには、老いこんだ与作も何か気色(ケシキ)ばんで、壮んな時分の馭者台に坐った時のやうにどこかきりっとして見えた」(出典:煙管(1933)〈新田潤〉)

気色ばむの補助注記

連用形のウ音便「けしきばう」が「けしきぼう」と読まれて「ぼう」「ぼふ」などと表記された例もある。


きしょく‐ば・む【気色ばむ】

  1. 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 ( 「ばむ」は接尾語 ) 得意げに意気ごむ。気負いこんだ顔つきをする。けしきばむ。きそくばむ。
    1. [初出の実例]「仰たる太刀を押し直し、東寺の方を屹と見て、気色(キショク)はうたる有様は」(出典:太平記(14C後)一七)

きそく‐ば・む【気色ばむ】

  1. 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 ( 「ばむ」は接尾語 ) =きしょくばむ(気色━)
    1. [初出の実例]「きそくばうて、腰をかいさぐり見れば」(出典:神田本太平記(14C後)二四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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