気色ばむ(読み)ケシキバム

デジタル大辞泉の解説

けしき‐ば・む【気色ばむ】

[動マ五(四)]
怒ったようすを表情に現す。むっとして顔色を変える。「―・んで席を立つ」
それらしいようすが現れる。
㋐花が咲きそうになる。
「梅の花のわづかに―・みはじめて」〈・幻〉
㋑出産のきざしが現れる。
「この子生まるべくなりぬ。―・みて悩めば」〈宇津保・俊蔭〉
意中をほのめかす。
「時々―・める事はあれど、知りて知らず顔なるにはあらむは」〈宇津保・嵯峨院〉
意味ありげな態度を見せる。
「この童、隠れの方に―・みけるけはひを御覧じつけて」〈和泉式部日記

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

きしょくばむ【気色ばむ】

( 動四 )
「けしきばむ」に同じ。 「御敵をば、はや追ひ落して候ふとて、-・うてぞ帰洛しける/太平記 38

けしきばむ【気色ばむ】

( 動五[四] )
怒りを表情や態度に表す。 「人をくった発言に思わず-・む」
兆しが見える。様子が外に現れる。 「梅は-・みほほゑみ渡れる/源氏 末摘花
気持ちが顔色などに表れる。 「うらめしげに-・み聞え給ふ/源氏 朝顔
様子をつくる。意味ありげな様子をする。 「艶だち-・まむ人は、消えも入りぬべきすまひのさまなめりかし/源氏 夕顔

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

きしょく‐ば・む【気色ばむ】

〘自マ四〙 (「ばむ」は接尾語) 得意げに意気ごむ。気負いこんだ顔つきをする。けしきばむ。きそくばむ。
※太平記(14C後)一七「仰たる太刀を押し直し、東寺の方を屹と見て、気色(キショク)はうたる有様は」

きそく‐ば・む【気色ばむ】

〘自マ四〙 (「ばむ」は接尾語) =きしょくばむ(気色━)
※神田本太平記(14C後)二四「きそくばうて、腰をかいさぐり見れば」

けしき‐ば・む【気色ばむ】

〘自マ五(四)〙 (「ばむ」は接尾語)
① 自然界の事物が生動のけはいを帯びる。発現のきざしがみえる。
源氏(1001‐14頃)葵「菊のけしきばめる枝に濃きあをにびの紙なる文つけて」
② 懐妊、出産の徴候を帯びる。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「六月六日この子むまるべくなりぬ。けしきばみて悩めば、女きも心を惑はして」
③ 気持が外に表われる。心のうちをほのめかす。意中がそぶりにあらわれる。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「『なほかく思ふ事なんある』とばかりだに、いかでこの君に知らせ奉らん。時々けしきばめる事はあれど、知りて知らず顔なるにやあらむは」
④ 気どる。改まった様子をする。すます。もったいぶる。
※蜻蛉(974頃)中「『のちに』と言ひし人ものぼりてあれば、それに猶しもあらぬやうにあれば、いたくけしきばみたてり」
⑤ むっとして怒った表情になる。ふんがいする。色をなす。
※蜻蛉(974頃)中「人のけしきばみ、くせぐせしきをなん、あやしと思ふ」
※破垣(1901)〈内田魯庵〉一「母親は急に気色ばんで吃と娘を睨付け」
⑥ 興奮する。興奮して勢い込む。
※煙管(1933)〈新田潤〉「こんなときには、老いこんだ与作も何か気色(ケシキ)ばんで、壮んな時分の馭者台に坐った時のやうにどこかきりっとして見えた」
[補注]連用形のウ音便「けしきばう」が「けしきぼう」と読まれて「ぼう」「ぼふ」などと表記された例もある。

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