(読み)ユウ

デジタル大辞泉 「優」の意味・読み・例文・類語

ゆう【優】[漢字項目]

[音]ユウ(イウ)(漢) ウ(呉) [訓]やさしい すぐれる まさる
学習漢字]6年
〈ユウ〉
ものやわらか。しとやか。やさしい。「優雅優柔優美
他よりまさる。すぐれる。「優越優秀優勝優勢優先優等優良優劣
手厚い。「優遇優待
役者芸人。「女優声優男優俳優名優
〈ウ〉梵語の音訳字。「優曇華うどんげ優婆夷うばい優婆塞うばそく
[名のり]かつ・ひろ・まさ・ゆたか

ゆう〔イウ〕【優】

[名]すぐれていること。また、成績の評価で上位を表す語。「秀良可」
[形動][文][ナリ]
美しく上品なさま。
濡羽黒髪、肩に振分けて後に下げたる姿、―に気高し」〈樗牛滝口入道
たくみなさま。
「常よりも―にも書い給へるかな」〈・葵〉
すぐれているさま。
「―なりとおぼゆばかりすぐれたるとは」〈帚木
けなげなさま。殊勝なさま。
「ただ一騎のこらせ給ひたるこそ―なれ」〈平家・七〉
やさしいさま。→優に
「―に情ありける三蔵かな」〈徒然・八四〉

やさ【優】

形容詞「やさしい」の語幹名詞の上に付いて、やさしく上品である、しとやかである、などの意を表す。「男」「女」「姿」
[形動]近世語》やさしく、おとなしいさま。
「―なをのこが、しなせふり」〈浄・大友真鳥

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「優」の意味・読み・例文・類語

ゆうイウ【優】

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 非常にすぐれている、すばらしく良いとして、他からほめたたえる語。上品、優美、優雅、優婉、風流、優秀などの意を表わす。
    1. 上品で美しいさま。しとやかで優美なさま。また、やさしいさま。
      1. [初出の実例]「かぐや姫のかたちいうにおはす也」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 趣の深いさま。芸能などの上手なさま。たくみなさま。
      1. [初出の実例]「常よりもいうにも書い給へるかな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
    3. ひときわすぐれているさま。理想的で申し分のないさま。
      1. [初出の実例]「少臣奏云、左右歌伴以優也」(出典:天徳四年内裏歌合(960))
    4. 殊勝なさま。心がけや態度の立派なさま。
      1. [初出の実例]「み方の御勢は皆落候に、ただ一騎のこらせ給ひたるこそゆうなれ」(出典:平家物語(13C前)七)
    5. 十分なゆとりのあるさま。→優に
  2. [ 2 ] すぐれていること。特に、学校などで用いる評点の一つで、上位の成績につけるもの。優・良・可または、秀・優・良・可の順とする。
    1. [初出の実例]「中には、朱で点を付けたのもあり、優とか佳とかしたのもあった」(出典:破戒(1906)〈島崎藤村〉二一)

優の補助注記

現代口語では、連用形の副詞化した「ゆうに」の形を除いて、普通、形容動詞としては用いられない。


やさ【優】

  1. ( 形容詞「やさしい」の語幹から )
  2. [ 1 ] 〘 造語要素 〙 名詞の上に付いて、やさしく上品である、しとやかであるなどの意を添える。「やさ人」「やさ男」「やさ女」「やさがた」など。
    1. [初出の実例]「『物かはと君がいひけん鶏の音の』と優(ヤサ)蔵人が詠みたりしも」(出典:人情本・花筐(1841)二)
  3. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 やさしく、おとなしいさま。
    1. [初出の実例]「やさなをのこがしなせふり」(出典:浄瑠璃・大友のまとり(1662)四)

やさし【優】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙やさしい(優)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「優」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 17画

[字音] ユウ(イウ)・ウ
[字訓] わざおぎ・やさしい・まさる・すぐれる・ゆたか

[説文解字]

[字形] 形声
声符は憂(ゆう)。憂は喪に服して愁える人の形。未亡人のときには寡という。喪に服してかなしむ人の姿を優といい、またその所作をまねするものを優という。〔説文〕八上に「饒(おほ)きなり。一に曰く、倡(うた)ふものなり」とするが、もとは所作事を主とするものであった。〔説文〕にを憂、憂を優の義に解し、優には饒多の義を以て正訓とするが、もと俳優の優。死者の家人に代わって、神に対して憂え申す所作を演じたのであろう。のち山水の間に游んで神を慰め楽しませることを優游といった。〔詩、大雅、巻阿〕は山水の間に遊ぶ詩で、「爾(なんぢ)の游を奐(ばんくわん)にし 爾の休(慶)を優游にせよ」のように用いる。游も神とともに遊ぶ意である。神事的な遊楽が、のち娯楽のためのこととなり、調戯のこととなって、〔左伝、襄六年〕「少(わか)くして相ひ狎れ、長じて相ひ優(たはむ)る」とは戯れ合う意。もとは俳優の俳が調戯、優は憂愁の姿態をなす者であったが、その初義は早く失われたようである。

[訓義]
1. わざおぎ、喪礼のわざおぎ。
2. やさしい、しとやか、ものしずか、のびやか。
3. まさる、すぐれる、おおい、あつし、ゆたか、美好。
4. たわむれる、ざれる。

[古辞書の訓]
名義抄〕優 アツシ・マサレリ・メグシ・ユタカニ・ユタカナリ・ユルス・マスマス・タハブレ・タハブル・ヤスシ・ウレフ・スグル・イウナリ

[語系]
優・憂iuは同声。拗ieyuと声近く、憂愁の態には身をくねらせ、声にも拗声を用いたのであろう。

[熟語]
優渥・優異・優逸・優越・優婉・優艶・優恩・優仮・優雅・優閑・優間・優寛・優緩・優戯・優給・優遇・優劇・優眷・優賢・優顕・優言・優厚・優洽・優諢・優子・優旨・優辞・優侏・優殊・優秀・優柔・優恤・優叙・優升・優笑・優陞・優勝・優奨・優賞・優倡・優饒・優深・優慎・優人・優崇・優勢・優惜・優錫・優僭・優遷・優贍・優然・優待・優貸・優秩・優・優長・優・優等・優答・優任・優俳・優博・優美・優筆・優福・優報・優命・優免・優游・優優・優与・優余・優容・優養・優賚・優楽・優隆・優礼・優伶・優麗・優劣・優老
[下接語]
伊優・加優・才優・最優・女優・倡優・饒優・徳優・俳優・名優・伶優・老優

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【俳優】より

…中国では先秦時代,すでに俳優という言葉が存在し,君主の側にはべり,君主を楽しませる者を指した。単に優,あるいは優人,また倡優,俳倡とも呼ばれる。…

※「優」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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