(読み)ぐ

精選版 日本国語大辞典 「具」の意味・読み・例文・類語

ぐ【具】

[1] 〘名〙
① 伴われている人。つき添っている人。
(イ) つれそう人。妻となっている人。配偶者。
源氏(1001‐14頃)浮舟「いろめきたる方は添ひたる人ぞかし。この宮の御ぐにてはいとよきあはひなり」
※浜松中納言(11C中)四「若君あづかりたる中将乳母おととの、上野(かんつけ)の国の守のぐにてありけるが」
(ロ) 貴人の子女などの相手をする人。お相手役。お遊び相手。
※源氏(1001‐14頃)蜻蛉「ひめ宮の御ぐにて、いとこよなからぬ御ほどの人なれば」
(ハ) 連れ従えてきた者。ともびと。従者
※栄花(1028‐92頃)浦々の別「此検非違使どものぐの赤衣(あかぎぬ)など着たる者ども、ただ寄りに寄りて」
② 特定の者が着用する衣料
※枕(10C終)一七「青色の淵こそをかしけれ。蔵人などのぐにしつべくて」
③ 手に取り、または身近に置いて使用するもの。道具。工具。文房具武具。また、家具、調度の類。用具。時として、「ひとそろいの物」という意識を伴うことがある。
※伊勢物語(10C前)六五「陰陽師・巫(かんなぎ)よびて、恋せじといふ祓のぐしてなむいきける」
※蜻蛉(974頃)上「あけくれとり使ひし物のぐなども」
※宇津保(970‐999頃)菊の宴「箱・たき物・くすり・すずりのぐよりはじめて」
④ (比喩的に) 他に利用される材料手段になること。また、そのもの。道具。
江戸繁昌記(1832‐36)序「江都繁華中、太平を鳴すの具、二時の相撲、三場の演劇、五街の妓楼に過るは無し」
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二「又自らその身を進脩する所以の具なり」
⑤ 料理で、飯や主材料にまぜ合わせたり、つけ添えたりする副材料。汁、鍋料理、ちらしずし、ごもくめしなどに入れる副材料。かやく。
※妻(1908‐09)〈田山花袋〉二「半切に移した飯を団扇で煽いで細く刻んだ材料(グ)を混ぜる」
⑥ 各種の顔料に白土、鉛白、胡粉などを加えたもの。淡い色調を呈する。また、その白土など。〔日葡辞書(1603‐04)〕
[2] 〘接尾〙 衣服器具、また、食器に盛った食物などの揃(そろ)いを数えるのに用いる。そろい。対(つい)。組(くみ)
法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)「金埿銅薬師像壱具〈略〉香炉壱拾具」
※宇津保(970‐999頃)蔵開下「女の装束一具、夜の装束一具、絹三十疋、綿など入れて」

よろい よろひ【具】

〘接尾〙 いくつかの部分から成り立っているようなものを数えるのに用いる。揃(そろい)、組、対(つい)などに当たる。主として家具・調度品を数えるのに用い、時に武具や衣服にもいう。
※書紀(720)斉明四年七月(北野本訓)「鮹旗(たこはた)廿頭(はたち)、鼓(つつみ)二面(ふたつ)、弓矢二具(ふたヨロヒ)、鎧二領を賜ふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「具」の意味・読み・例文・類語

ぐ【具】[漢字項目]

[音](呉) [訓]そなえる そなわる つぶさに
学習漢字]3年
必要なものをそろえる。そなえる。そなわる。「具象具体具備具有不具
そなえておく器物。「家具玩具がんぐ器具工具寝具道具農具馬具武具仏具文具夜具用具
詳しく申し立てる。つぶさに。「具申具陳敬具
[名のり]とも
[難読]玩具おもちゃ

ぐ【具】

[名]
ある目的を果たすために利用する手段。道具。「政争のにする」
料理で、汁、まぜ御飯などに入れたり付け添えたりする魚・貝・肉・野菜などの副材料。「味噌汁の

㋐連れ添うこと。また、その人。妻。配偶者。
一所ひとところ宮腹みやばらの―にておはす」〈栄花・月の宴〉
㋑貴人の相手役。従者。
「ひめ宮の御―にて」〈・蜻蛉〉
[接尾]助数詞。衣類・器具などで、ひとそろいになるものを数えるのに用いる。「よろい
[類語]材料たね浮き実加薬薬味

よろい〔よろひ〕【具】

[接尾]助数詞。家具・調度などで、いくつかの部分から成り立っているようなものを数えるのに用いる。
「衣箱一―」〈落窪・三〉
「屏風一―」〈義経記・五〉

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