(読み)グ

デジタル大辞泉 「具」の意味・読み・例文・類語

ぐ【具】[漢字項目]

[音](呉) [訓]そなえる そなわる つぶさに
学習漢字]3年
必要なものをそろえる。そなえる。そなわる。「具象具体具備具有不具
そなえておく器物。「家具玩具がんぐ器具工具寝具道具農具馬具武具仏具文具夜具用具
詳しく申し立てる。つぶさに。「具申具陳敬具
[名のり]とも
難読玩具おもちゃ

ぐ【具】

[名]
ある目的を果たすために利用する手段。道具。「政争にする」
料理で、汁、まぜ御飯などに入れたり付け添えたりする魚・貝・肉・野菜などの副材料。「味噌汁

㋐連れ添うこと。また、その人。妻。配偶者。
一所ひとところ宮腹みやばらの―にておはす」〈栄花・月の宴〉
㋑貴人の相手役。従者
「ひめ宮の御―にて」〈蜻蛉
[接尾]助数詞衣類・器具などで、ひとそろいになるものを数えるのに用いる。「よろい
[類語]材料たね浮き実加薬薬味

よろい〔よろひ〕【具】

[接尾]助数詞。家具・調度などで、いくつかの部分から成り立っているようなものを数えるのに用いる。
「衣箱一―」〈落窪・三〉
「屏風一―」〈義経記・五〉

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精選版 日本国語大辞典 「具」の意味・読み・例文・類語

ぐ【具】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 伴われている人。つき添っている人。
      1. (イ) つれそう人。妻となっている人。配偶者。
        1. [初出の実例]「いろめきたる方は添ひたる人ぞかし。この宮の御ぐにてはいとよきあはひなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
        2. 「若君あづかりたる中将の乳母のおととの、上野(かんつけ)の国の守のぐにてありけるが」(出典:浜松中納言物語(11C中)四)
      2. (ロ) 貴人の子女などの相手をする人。お相手役。お遊び相手。
        1. [初出の実例]「ひめ宮の御ぐにて、いとこよなからぬ御ほどの人なれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蜻蛉)
      3. (ハ) 連れ従えてきた者。ともびと。従者。
        1. [初出の実例]「此検非違使どものぐの赤衣(あかぎぬ)など着たる者ども、ただ寄りに寄りて」(出典:栄花物語(1028‐92頃)浦々の別)
    2. 特定の者が着用する衣料。
      1. [初出の実例]「青色の淵こそをかしけれ。蔵人などのぐにしつべくて」(出典:枕草子(10C終)一七)
    3. 手に取り、または身近に置いて使用するもの。道具。工具。文房具。武具。また、家具、調度の類。用具。時として、「ひとそろいの物」という意識を伴うことがある。
      1. [初出の実例]「陰陽師・巫(かんなぎ)よびて、恋せじといふ祓のぐしてなむいきける」(出典:伊勢物語(10C前)六五)
      2. 「あけくれとり使ひし物のぐなども」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
      3. 「箱・たき物・くすり・すずりのぐよりはじめて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)菊の宴)
    4. ( 比喩的に ) 他に利用される材料や手段になること。また、そのもの。道具。
      1. [初出の実例]「江都繁華中、太平を鳴すの具、二時の相撲、三場の演劇、五街の妓楼に過るは無し」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)序)
      2. 「又自らその身を進脩する所以の具なり」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二)
    5. 料理で、飯や主材料にまぜ合わせたり、つけ添えたりする副材料。汁、鍋料理、ちらしずし、ごもくめしなどに入れる副材料。かやく。
      1. [初出の実例]「半切に移した飯を団扇で煽いで細く刻んだ材料(グ)を混ぜる」(出典:妻(1908‐09)〈田山花袋〉二)
    6. 各種の顔料に白土、鉛白、胡粉などを加えたもの。淡い色調を呈する。また、その白土など。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 衣服、器具、また、食器に盛った食物などの揃(そろ)いを数えるのに用いる。そろい。対(つい)。組(くみ)
    1. [初出の実例]「金埿銅薬師像壱具〈略〉香炉壱拾具」(出典:法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747))
    2. 「女の装束一具、夜の装束一具、絹三十疋、綿など入れて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)

つぶさ【具・備】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙
  2. すべてそなわっているさま。もれなくそろっているさま。完全なさま。
    1. [初出の実例]「如来の所説菩薩の所伝、已来未来、一朝に備(ツフサ)に集りたり」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)序)
  3. こまかくくわしいさま。つまびらかなさま。詳細。
    1. [初出の実例]「乃ち更に還(かへ)り登りて具(ツフサ)に降(あまくた)りまさざる状(かたち)を陳(まう)す」(出典:日本書紀(720)神代下(寛文版訓))
    2. 「或御堂には三百余人、つぶさにしるいたりければ、三千五百余人なり」(出典:平家物語(13C前)五)

よろいよろひ【具】

  1. 〘 接尾語 〙 いくつかの部分から成り立っているようなものを数えるのに用いる。揃(そろい)、組、対(つい)などに当たる。主として家具・調度品を数えるのに用い、時に武具や衣服にもいう。
    1. [初出の実例]「鮹旗(たこはた)廿頭(はたち)、鼓(つつみ)二面(ふたつ)、弓矢二具(ふたヨロヒ)、鎧二領を賜ふ」(出典:日本書紀(720)斉明四年七月(北野本訓))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「具」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)
8画

[字音]
[字訓] そなえる・つぶさに

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
貝+廾(きょう)。廾は両手。貝はもと鼎の形に作り、両手で鼎を奉ずる象。〔説文〕三上に「共(供)置するなり。廾に從ひ、貝の省に從ふ。古は貝を以てと爲す」というが、〔詩、小雅、無羊〕に「爾(なんぢ)の牲則ち(そな)はる」というように、犠牲などの具備する意。儀礼のときの彝器(いき)鼎実(鼎の中実)の備わることをといった。その数などに定めがあり、その備わることを備具という。

[訓義]
1. そなわる、そなえる、たる、そろう。
2. つぶさに、みな、ともに。
3. そなえるもの、うつわ。
4. そのうつわのはたらき、機能、資質。
5. 器具を数える語。

[古辞書の訓]
名義抄 ソナフ・ミナ・トモニ・ツブサニ・ミル・アウグ・ツマビラカニ 〔字鏡集〕 ソナハル・トモガラ・ツブサニ・トモニオク・ワキマフ・ミナ・オク・ソナフ・ナラブ・ミル・トモニ・ツバビラカ

[声系]
〔説文〕に声としてなど四字を収める。の声義を承ける字である。

[語系]
gio、kioは声義が近い。〔説文〕八上に「は皆なり」とあり、器の備具するを具、人の備わるをという。

[熟語]
具案・具引・具官・具眼・具慶・具結・具言・具現・具考・具獄・具載・具罪・具悉・具脩・具叙・具象・具上・具臣・具申・具設・具船・具饌・具然・具膳・具・具奏・具草・具装・具足・具存・具体・具帯・具題・具飭・具陳・具呈・具白・具発・具備・具美・具稟・具服・具覆・具物・具文・具聞・具保・具法・具報・具満・具明・具理・具律・具領・具礼・具列・具論
[下接語]
雨具・家具・雅具・戒具・完具・寒具・玩具・器具・機具・儀具・漁具・供具・刑具・敬具・工具・香具・耕具・坐具・祭具・車具・酒具・什具・乗具・寝具・船具・戦具・饌具・粗具・喪具・葬具・装具・大具・茶具・釣具・道具・農具・馬具・拝具・美具・備具・表具・不具・武具・仏具・文具・防具・民具・夜具・遊具・用具・要具・猟具・礼具・弄具・牢具

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