普及版 字通 「処(漢字)」の読み・字形・画数・意味
処
常用漢字 5画
(旧字)處
11画
[字訓] おる・ところ・おく
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
旧字は處に作り、虎+几(き)。虎形のものが几(腰かけ)にかけている形。〔説文〕十四上に処を正字とし、「止まるなり。夂(ち)(足)、几を得て止まるなり。夂几に從ふ」とし、重文として處を録するが、金文の字形は、すべて處に作る。虎は虎皮をるもので、戲(戯)・劇がその形に従うように、神事的な所作で、軍戯のように軍事に際して行われた。金文の〔井人鐘(けいじんしよう)〕「(とど)まりて宗室に處(を)らん」、〔叔夷(しゆくいはく)〕「禹の(と)(水土を治めた地)に處る」など、聖所に処る意に用いる。〔左伝、襄四年〕「民に寢り、獸にり。各其の處るり」とは、霊の安んずるところ。(所)も〔叔夷〕「桓武なる靈のに共(供)する(あ)り」のように、もと所を意味する字であった。は名詞、處は動詞的な語であったように思われる。
[訓義]
1. おる、聖所におる、またその、ところ。
2. おちつく、すむ、やどる。
3. おく、すえる、きめる、あつかう、おさめる、やめる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕處 ヲリ・ヰル・トドマル・オク・スウ・ヤム・トドム・コトワル・ヤスム・シルス 〔字鏡集〕處 ヤム・スウ・ヲリ・ヰル・トドム・ヲク・コトハル・ヤスム・トコロ・ナカバ・サダム・シルス・トドマル
[語系]
處thjia、shiaは声義近く、互訓の例が多い。は(神戸棚の戸)と斤(きん)(斧)を呪器として守る意で、金文に「靈の」というように祖霊の安んずる所、所の意、處は軍の行動するときに神前で行われる戲・劇の字と構造が似ており、軍の聖処に関する字である。品詞としての處・の関係は居・家の関係と似ている。
[熟語]
処逸▶・処家▶・処官▶・処境▶・処刑▶・処決▶・処裁▶・処斬▶・処士▶・処子▶・処死▶・処事▶・処次▶・処守▶・処処▶・処所▶・処女▶・処常▶・処心▶・処身▶・処人▶・処仁▶・処世▶・処正▶・処勢▶・処静▶・処待▶・処断▶・処置▶・処治▶・処中▶・処当▶・処罰▶・処貧▶・処分▶・処弁▶・処方▶・処約▶・処理▶・処療▶・処和▶
[下接語]
逸処・燕処・何処・間処・危処・帰処・寄処・窮処・区処・偶処・群処・啓処・穴処・処・高処・雑処・山処・散処・私処・失処・室処・出処・水処・随処・静処・善処・対処・托処・定処・同処・特処・独処・寧処・分処・処・僻処・妙処・野処・幽処・遊処・与処・誉処・留処・林処
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報