古代社会(モルガンの著書)(読み)こだいしゃかい(英語表記)Ancient Society

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

古代社会(モルガンの著書)
こだいしゃかい
Ancient Society

19世紀後半のアメリカの進化主義的人類学者モルガンモーガン)の著書。1877年刊。人類の社会・文化を生活技術に基づいて、野蛮(下・中・上)、未開(下・中・上)、文明の段階に区分し、社会集団、出自制度、政治体制、財産制度といった社会生活の諸側面の相関関係によって、すべての社会が経る同一の継起段階として人類の生活を再構成しようとした。その際に、親族分類や名称体系を分析して、家族および婚姻形態に独自の考察を行い、全体を有機的に関連づけた。この点が後の社会人類学における親族研究の先駆けとして評価されている。いまではさまざまに批判されるが、当時の人類学の成果が総合され図式的にまとめられたモルガンの学説は、「未開」とされた社会の研究者に大きな影響を与えてきた。

[小川正恭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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