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吟味筋 ぎんみすじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

吟味筋
ぎんみすじ

江戸時代の訴訟手続の一つ。出入 (でいり) 筋に対するもので,裁判機関 (町奉行など) が訴えの有無にかかわらず,職権をもって犯罪を探査し,捕方 (とりかた。警吏) の手で召捕 (めしとり。逮捕) ,あるいは裁判機関の差紙 (さしがみ。召喚状) または手当呼出──被疑者の領主・地頭などをして,これを逮捕送致させることで,重罪の場合に行われた──をもって被疑者を召喚して吟味する手続である。なお,吟味筋では,原則として内済 (ないさい) は許されず,また出入筋で訴えられた事件でも吟味筋に切り替えられることもあった。この手続にかかる事件を吟味物といい,これには主殺,親殺,人殺,盗賊,火付,人勾引などがある。また,御目見以上の武士の吟味物は,特に詮議物と呼び,老中の命によって臨時に三手掛,五手掛という特別の係りを設けて裁判した。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎんみすじ【吟味筋】

江戸幕府の刑事裁判手続。民事訴訟手続である出入筋(でいりすじ)とともに,幕府の裁判法を構成し,吟味筋の手続による事件を吟味物といった。諸藩等の裁判法も,基本的には幕府に類似したものであった。吟味筋は裁判役所が被疑者を追及,審理,判断する糾問手続で,原告としての検察官の制度はなく,また裁判役所が自発的に捜査・審理を開始し,手続は〈御用〉として進行して,私人の処分を許さない職権主義であった。裁判官に当たる役人として寺社・町・勘定の三奉行,各地の遠国(おんごく)奉行,および代官等があって,それぞれ管轄の事件を裁判した。

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大辞林 第三版の解説

ぎんみすじ【吟味筋】

江戸時代の訴訟手続きの一。犯罪に際して、奉行所などが被疑者を逮捕あるいは召喚して審理し、判決を下すもの。 ↔ 出入り筋

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世界大百科事典内の吟味筋の言及

【公事宿】より

…江戸の公事宿は〈江戸宿〉というのが公称で,馬喰町小伝馬町組旅人(りよじん)宿,八拾二軒組百姓宿,三拾軒組百姓宿の3組合が株仲間を形成しており,差紙(さしがみ)(役所への召喚状)の送達を委任されていたほか,宿預(やどあずけ)(宿での勾留。吟味筋出入筋とも行われた)の者に対する責任を負い,また評定所や奉行所などへの出火駈付(かけつけ)の義務などが課されていた。遠国の奉行所,代官陣屋所在地にあるものは〈郷宿(ごうやど)〉と称する。…

【裁判】より

…もっとも公事宿は訴訟代理権を欠く訴訟補佐人にすぎず,庶民はその策略的技術を嫌って,内心は尊敬していなかった。(2)裁判手続の種類 幕府の裁判は手続上吟味筋出入(でいり)筋に分かれ,その対象を吟味物と出入物もしくは公事と称した。吟味筋は職権主義的な糾問手続で,原告たる検察官はなく,〈御用〉として刑罰権の実現を目的とする刑事裁判と見てよい。…

【内済】より

…〈論所(ろんしよ)〉(地境論=境相論水論など)や〈金公事(かねくじ)〉(借金銀など利息付,無担保の金銭債権に関する訴訟)ではとくに強く内済が勧められ,制度的にも,用水論などでは訴状に裏書(目安裏判(めやすうらはん),目安裏書)を与える前に現地での熟談内済を命じ(場所熟談物),金公事では目安裏書に内済勧奨文言を加え,あるいは原告だけの申立てによる内済(片済口(かたすみくち))を認めるなど,特別な手続が定められていた。刑事裁判手続(吟味筋(ぎんみすじ))においても場合によって内済が許される(吟味(願)下げ)。内済の伝統は明治以後も〈勧解(かんかい)〉〈調停〉の制度に受け継がれた。…

※「吟味筋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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