(読み)ノド

デジタル大辞泉 「喉」の意味・読み・例文・類語

のど【喉/咽/×吭】

《「のんど」の音変化》
口腔の奥の、食道気管に通じる部分咽喉いんこう。「御飯が―につかえる」「―まで出かかった言葉をのみこむ」
頸部けいぶ前面のどくび。「剣で―を突く」
歌う声。「自慢の―を聞かせる」
急所。大切な箇所。のどくび。「補給路の―を抑える」
書物の紙をとじてあるの方の部分。
[類語]咽頭喉頭咽喉喉元喉首

こん【喉】

[名]魚をいう女房詞
[接尾]助数詞。魚の数を数えるのに用いる。「一の魚」

こう【喉】[漢字項目]

常用漢字] [音]コウ(漢) [訓]のど
のど。のどぶえ。「喉舌喉頭咽喉いんこう

のみ‐と【喉/咽】

《「飲み」の意。「のみど」とも》のど。
赤海鯽魚たひの―を探れば、鉤有りき」〈・上〉

のん‐ど【喉/咽】

《「」の音変化》のど。
短剣にて自から―を刺串さしつらぬき」〈染崎延房・近世紀聞〉

こう【喉】

[接尾]助数詞。魚を数えるのに用いる。。「一の魚」

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精選版 日本国語大辞典 「喉」の意味・読み・例文・類語

のど【喉・咽・吭】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「飲(の)み門(と)」の意の「のんど」の変化した語 )
  2. 一般に動物頸部の腹面にあり、消化管の口腔につづく部分。哺乳類では軟口蓋および舌根による狭い部分で、気管の外、発音器官にもなっている。無脊椎動物では腸の前方の部分で筋肉性の箇所を咽頭という。繊毛虫では、漏斗状をした口陥入部の下部を細胞咽頭という。咽頭。喉頭。
    1. [初出の実例]「一ていの水をえてはべりしままに、のどをうるふるはべらず」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)三月九日)
  3. 歌う声。
    1. [初出の実例]「おん身の才と云ひおん身の吭(ノド)と云ひ」(出典:即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉旧羈靮)
  4. 大事なところ。急所。
  5. 書物の各ページの背に近い部分。また、とじ目の余白。新聞のページの境の余白部分。〔新らしい言葉の字引(1918)〕
  6. 空穂(うつぼ)の部分の名。矢をさし込む竈(かまど)と空穂の穂とをつなぐ部分で、「わたり」ともいう。

喉の語誌

( 1 )ノドを表わす上代の語はノミドで、ノミはノム(呑)の連用形、ドは門の意のトが連濁によって変化したもの。
( 2 )平安時代に撥音便化してノムドとなり、院政期にはノドの表記も見られるようになるが、実際にはまだノムドと発音していたと思われる。
( 3 )中世以降はノドの方が優勢になり、辞書には両様の表記が見られるが、複合語ではほとんどノドとなっており、一般的にノドと表記したと思われる。しかし、ノンドも明治初期まで見られた。


のみ‐ど【喉・咽】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「のみと」とも。「飲み門(と)」の意 ) =のど(喉)
    1. [初出の実例]「喉吻 下無粉反、口辺也、唇両辺也、上音呉、訓乃美土(ノミド)」(出典:新訳華厳経音義私記(794))
    2. 「咽咀上於見反、咽倭云能美等(ノミト)、咀嚼也、咀才与反、倭言久不」(出典:新訳華厳経音義私記(794))

喉の補助注記

「乃美土」と「能美等」の二例があり、上代特殊仮名遣で「土」は甲類の仮名であるが、「等」は乙類の仮名である。また、一般的には前者は濁音、後者は清音の仮名である。従って甲乙、清濁が決定できない。


こん【喉】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 酒の肴(さかな)をいう女房詞。
    1. [初出の実例]「御ゆつけ、こん、一物なと三こんまいる」(出典:御湯殿上日記‐文明一四年(1482)二月一九日)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 魚を数えるのに用いる。
    1. [初出の実例]「一喉の魚を獄中になげ入れけるに」(出典:平治物語(1220頃か)下)

のん‐ど【喉・咽】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「飲み門(と)」の意 ) =のど(喉)
    1. [初出の実例]「七は飲む時には喉(ノムト)を損せじ」(出典:彌勒上生経賛平安初期点(850頃))
    2. 「手拭にて咽(ノンド)を縊(くび)られ」(出典:人情本・恩愛二葉草(1834)三)

こう【喉】

  1. 〘 接尾語 〙 魚の数を数えるのに用いる。尾(び)。こ。こん。
    1. [初出の実例]「一喉の魚を獄中になげ入れけるに」(出典:平治物語(1220頃か)下)

のむ‐ど【喉・咽】

  1. 〘 名詞 〙のんど(喉)

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普及版 字通 「喉」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

[字音] コウ
[字訓] のど

[説文解字]

[字形] 形声
声符は侯(こう)。〔説文〕二上に「咽なり」とあり、咽喉とつづけて用いる。喉は、咽喉を用いるとき、そのゴクリとなるような声を写した擬声語であろう。「咽喉を扼す」とは、その最も切要なところを制することをいう。

[訓義]
1. のど、のどもと。
2. 要所。

[古辞書の訓]
名義抄〕喉 ノムト

[熟語]
・喉咽・喉炎・喉音・喉喙・喉襟・喉衿・喉結・喉吭・喉骨・喉脣・喉舌・喉喘・喉囀・喉頭・喉痺・喉風・喉吻・喉閉・喉門・喉
[下接語]
咽喉・鶯喉・歌喉・乾喉・狂喉・嬌喉・衿喉・襟喉・空喉・結喉・香喉・酒喉・心喉・絶喉・喉・断喉・囀喉・奮喉・扼喉

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「喉」の意味・わかりやすい解説

喉 (のど)

俗にいうことばで,解剖学でははっきり定義することができない。一つは(くび)の前のところを指し,およそ喉頭に相当する場所をいう。声を出す声門はこの喉頭の中央部にある。子どもが過って吸いこんだ異物が詰まって窒息を起こすのも,ここである。喉頭の前面は盾のような甲状軟骨で守られ,手でこれに触れることができる。この軟骨の上端正中部は成人男子では大きく突出して〈のどぼとけ〉をなしている。〈アダムのリンゴ〉ともいうが,これは禁断の木の実(リンゴ)を口にしたアダムが神からとがめられて驚いたため,果実の半分がのどにひっかかって膨れ上がったのだという説話に基づく。〈のど〉という言葉が指すもう一つの場所は,口を開いた場合に,口腔のつきあたりの場所をいい,解剖学では咽頭にあたる。〈のどに骨が刺さった〉というのはこの場所である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【咽喉】より

…咽喉頭ともいう。咽頭と喉頭を総称した名で,いわゆる〈のど〉といわれる部分。咽頭は鼻腔,口腔に連なる部分から,おおむね喉頭蓋のあるところまでを指し,喉頭は咽頭の下から気管までをいう。…

※「喉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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