(読み)ホウ

デジタル大辞泉 「峰」の意味・読み・例文・類語

ほう【峰】[漢字項目]

常用漢字] [音]ホウ(漢) フ(呉) [訓]みね
高い山。「危峰群峰孤峰高峰主峰秀峰名峰雄峰霊峰連峰
[補説]「峯」は異体字人名用漢字
[名のり]お・たか・たかし・ね
[難読]入峰にゅうぶ

み‐ね【峰/×峯/×嶺】

《「み」は接頭語。「ね」は山の頂。山を神域とみていう語》
山の頂上。山頂。ね。「そびえ立つ―」
物の高くなっている所。「雲の―」
刀剣・刃物の背。むね。「包丁の―でたたく」
くしの背。
烏帽子えぼしの頂上。
[類語](1)(2頂上山頂山嶺山巓天頂てっぺん

お〔を〕【峰/丘】

山の高い所。みね。尾根。
「―の上に降り置ける雪し風のむたここに散るらし春にはあれども」〈・一八三八〉
おか。
「我が逃げのぼりしあり―のはりの木の枝」〈・下・歌謡〉

ね【峰/×嶺】

山の頂上。みね。「真白き富士の―」
「高き―に雲の付くのす我さへに君に付きなな高嶺とひて」〈・三五一四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「峰」の意味・読み・例文・類語

み‐ね【峰・峯・嶺】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「み」は接頭語 )
  2. 山のいただき。山の頂上のとがったところ。ね。
    1. [初出の実例]「重(かさな)れる巘(ミネ)に凌(のほ)り長(ひろはら)に赴(ゆ)く」(出典:日本書紀(720)雄略二年一〇月(前田本訓))
  3. 物の高くなっている部分。高くもり上がっているところ。また、波形の高くなっている部分。
    1. [初出の実例]「耳のはた、鼻のみね」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  4. 片刃の刃物の刃の反対側の厚い部分。刀剣・刃物などの背。刀背。むね。
    1. [初出の実例]「指無瘡、被撃刀峰処見候者」(出典:後二条師通記‐寛治四年(1090)一二月一一日)
  5. 烏帽子(えぼし)の頂上の称。
    1. [初出の実例]「烏帽子は〈略〉形ち竪ざま長くしてえぼしの頂を峯といふ」(出典:古今要覧稿(1821‐42)二三八)
  6. (くし)の背。
  7. 建築で、隅木(すみぎ)などの上面の稜(りょう)をいう。

【峰・丘】

  1. 〘 名詞 〙 山の高い所。みね。おね。⇔谷。
    1. [初出の実例]「木の暗れの繁き乎(ヲ)の上(へ)をほととぎす鳴きて越ゆなり今しくらしも」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三〇五)

峰の補助注記

「おか(丘)」「おのえ(尾上)」の「お」も同じであろう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「峰」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(異体字)峯
人名用漢字 10画

[字音] ホウ
[字訓] みね

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(ほう)。は木の秀(ほ)つ枝に神霊の降る形。鉾杉などの上に神が降るとされていたのであろう。そのような木のある山を峰という。〔説文〕九下に峯の字形をあげ、「山の(たん)なり」という。大徐新修十九文の一。〔爾雅、釈山〕や漢碑の類にその字はみえない。神気に遭遇することを遭といい、峰もその系統の字と思われる。

[訓義]
1. みね、山のいただき、やま。
2. やまのは。

[古辞書の訓]
和名抄〕峯 美(みね)、、岑・嶺の二字を用ふ 〔名義抄〕峯 ミネ・タケ・ホラ 〔字鏡集〕峯 ホラ・タケ・ミネ・サネ

[熟語]
峰陰・峰影・峰穎・峰霞・峰下・峰崖・峰壑・峰巌・峰・峰谷・峰根・峰岫・峰峻・峰峻・峰峭・峰・峰畳・峰上・峰色・峰心・峰翠・峰勢・峰尖・峰前・峰朶・峰頂・峰・峰頭・峰・峰腹・峰霧・峰腰・峰巒・峰嵐・峰嶺・峰楼
[下接語]
雲峰・遠峰・霞峰・危峰・奇峰・玉峰・銀峰・群峰・孤峰・高峰・峰・主峰・首峰・秀峰・出峰・峻峰・畳峰・神峰・絶峰・千峰・尖峰・前峰・双峰・層峰・多峰・中峰・登峰・飛峰・碧峰・霧峰・幽峰・乱峰・嵐峰・両峰・霊峰・連峰

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「峰」の意味・わかりやすい解説


みね

長崎県上県(かみあがた)郡にあった旧町名(峰町(ちょう))。現在は対馬市(つしまし)峰町(まち)地区。旧峰町は1976年(昭和51)町制施行。2004年(平成16)厳原(いづはら)、美津島(みつしま)、豊玉(とよたま)、上県、上対馬の5町と合併、市制施行して対馬市となる。旧峰町は、対馬の中央部に位置し、国道382号が通じる。西海岸の三根(みね)川の河口に主邑(しゅゆう)三根があり、付近に対馬藩主宗氏による干拓地「殿様田(とのさまだ)」があるが、地域内の水田は80ヘクタール余にすぎない。全面積の90%は林野で、植林が進みシイタケ栽培が行われている。コウライキジツシマジカが生息し、ツシマジカの放牧場がある。商業は「本戸(ほんこ)」の多い西海岸より、むしろ「分家(ぶんけ)」や「寄留(きりゅう)」の多かった東海岸の志多賀(したか)や佐賀(さか)で盛んである。海岸部にはイカの一本釣りを主とする漁村が散在するが、志多賀・佐賀・櫛(くし)の東海岸にとくに盛んである。西海岸の青海(おおみ)と木坂の間には豊玉姫(とよたまひめ)を祀(まつ)る式内大社、海神神社(わたつみじんじゃ)(俗称かいじん)がある。対馬の一宮(いちのみや)で異国降伏・皇国守護の国境の神社とされ、また海の守護神として漁民の信仰を集めている。同神社の銅造如来(にょらい)立像は国指定重要文化財である。

[石井泰義]

『『峰町誌』(1993・峰町)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「峰」の意味・わかりやすい解説

峰[町]【みね】

長崎県上県(かみあがた)郡の旧町。対馬の中部に位置し,農漁業を営む。町域の大部分を山林が占め林業も盛ん。木坂にある対馬国一宮海神神社の如来立像は重要文化財,祭礼も有名。2004年3月下県郡厳原町,美津島町,豊玉町,上県郡上県町,上対馬町と合併し,対馬市となる。72.44km2。2808人(2003)。

峰[温泉]【みね】

静岡県河津町,河津川右岸にわく温泉。弱食塩泉。82〜100℃の熱泉で湯量も豊富。温泉を水田に引きハナショウブを栽培する。河津川はアユ釣の適地。大ソテツ(天然記念物)がある。伊豆急行河津駅からバス。
→関連項目河津[町]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「峰」の意味・わかりやすい解説

峰[温泉] (みね)

静岡県伊豆半島南東部,賀茂郡河津町にある温泉。単純泉,弱食塩泉,100℃。河津浜から河津川沿いに約2km上ったところに位置し,今井浜,谷津,湯ヶ野,七滝(ななだる)などの温泉とともに河津温泉郷を形成している。8世紀ごろに発見され,古くは縹(はなだ)湯と呼ばれた。1926年の掘削によって約30mの大噴湯が得られ一躍有名になった。源泉数は37,湧出量は毎分1万8000lと豊富。温泉周辺にはミカン畑が広がり,温泉熱を利用したカーネーションなどの花卉栽培も盛ん。付近には天城山,八丁池や新町の大ソテツ(天)などがあり,登山や散策に適し,避暑地としても知られる。伊豆急行河津駅からバスが通じる。
執筆者:


峰 (みね)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「峰」の意味・わかりやすい解説


みね

長崎県対馬中北部を占める地域。旧町名。 1976年町制。 2004年3月厳原,上県,上対馬,豊玉,美津島の5町と合併して対馬市となった。朝鮮海峡に面する西岸から内陸にかけては農業,対馬海峡に面する東岸は漁業を中心とする。西岸の三根は米作と畜産の中心地。東岸の佐賀宗氏開府の地で,漁業の中心地。その北方の志多賀には佐賀開府以前一時宗氏の居館がおかれた。漁業はイカ一本釣りが中心。内陸はかつて木炭産地として知られたが,現在では林業の中心は造林とシイタケ栽培に代わっている。コウライキジ,ツシマジカの生息地。町域中央を国道 382号線が通じる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「峰」の解説

みね【峰】

三重の米焼酎。伊賀産の米を鈴鹿山系の伏流水を用いて仕込む。原料は米、米麹。アルコール度数25%。蔵元の「森本仙右衛門商店」は弘化元年(1844)創業。清酒「黒松翁」の醸造元。酒造場の所在地は伊賀市上野福居町。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

事典・日本の観光資源 「峰」の解説

(宮崎県東臼杵郡美郷町)
美しい日本のむら景観100選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

岩石学辞典 「峰」の解説

リップル部分で,リップルの高さの上半分[Allen : 1968].

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android