惜しむ(読み)オシム

デジタル大辞泉 「惜しむ」の意味・読み・例文・類語

おし・む〔をしむ〕【惜しむ】

[動マ五(四)]
心残りに思う。残念がる。「散る花を―・む」「別れを―・む」「人に―・まれて死ぬ」
金品などを出すことを、もったいないと思う。出し惜しむ。「わずかの出費を―・んで大損をする」「骨身を―・まず働く」
大切に思う。尊重する。「寸暇を―・む」「名を―・む」
(「愛しむ」とも書く)愛する。めでる。慈しむ。
「お前を憎み、お前を―・み」〈近松秋江別れたる妻に送る手紙
[下接句]からだを惜しむ名を惜しむ名残なごりを惜しむ骨を惜しむ骨身を惜しまず
[類語]惜しいもったいないあたら残念残り惜しい名残惜しい残り多い口惜しい心残り物惜しみ未練愛惜痛惜去り難い後ろ髪未練がましい後を引くしつこい執念深いねちっこいねついねちねち悪あがきうじうじうだうだいじいじぐじぐじもじもじ因循断腸の思い負け惜しみこだわる尾を引く執拗恋恋れんれん惜しげ思い残すたゆたう思い迷う忍びない

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「惜しむ」の意味・読み・例文・類語

おし‐・むをし‥【惜・愛】

  1. 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
  2. 物惜しみをする。出し惜しみをする。
    1. [初出の実例]「『今汝、膏腴(こ)えたる雌雉(きじ)田を奉る宜し』とのたまふ。味張、忽然に悋惜(ヲシム)で、勅使を欺誑(あざむ)きて曰はく」(出典:日本書紀(720)安閑元年七月(寛文版訓))
  3. 捨てがたく思う。残り惜しく思う。愛惜する。
    1. [初出の実例]「朝戸出の かなしき吾が子 あらたまの 年の緒長く 相見ずは 恋しくあるべし 今日だにも 言問ひせむと 乎之美(ヲシミ)つつ 悲しび坐せば」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四〇八)
  4. いとしく思う。いつくしむ。
    1. [初出の実例]「爰に新羅の人、恒に京城(みやこ)の傍(ほとり)の耳成(みみなし)山を、畝傍(うねび)山を愛(ヲシム)(別訓 めづ)」(出典:日本書紀(720)允恭四二年一一月(図書寮本訓))
    2. 「おしむべきにはのさくらはさかりにて心ぞ花にまづうつりぬる〈壬生忠岑〉」(出典:続後撰和歌集(1251)春中・八六)
  5. 大切なものに思う。大事にする。尊重する。「寸暇を惜しむ」
    1. [初出の実例]「靄禅師のよを悲み身を恨み命をすて、遠法師の道ををしみしかば」(出典:観智院本三宝絵(984)中)

あたらし‐・む【惜】

  1. 〘 他動詞 マ行四段活用 〙 おしむ。あたらしぶ。
    1. [初出の実例]「土に曳(ひ)き泥(に)を踏む。惜(アタラシム)心無し」(出典:白氏文集天永四年点(1113)四)

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