精選版 日本国語大辞典 「支」の意味・読み・例文・類語
ささ・える ささへる【支】
〘他ア下一(ハ下一)〙 ささ・ふ 〘他ハ下二〙 (室町時代ころから、ヤ行にも活用した。→ささゆ)
※日本読本(1887)〈新保磐次〉四「ああ、此の樫の木は昨日まで高く雲の上にそびえ、広く日の光をささへて」
② 物をつっぱって倒れたり落ちたりしないようにする。ある状態を保ち続ける。もちこたえる。
※帝釈天略供養次第永承三年点(1048)「右の大を以て左の小を差(ササヘヨ)」
③ 精神的に、または経済的に援助する。支援する。支持する。
④ 相手の勢いをくいとめる。防ぎとめる。
※平家(13C前)八「禰のゐの小野太が二百騎ばかりでささへたる川原坂の勢の中へ、をめいて懸いり」
⑤ 事実をまげて悪く言う。中傷する。
し【支】
[1] 〘名〙
② えだ。枝。〔詩経‐衛風・
蘭〕

③ ささえ。助けとなるもの。支柱。
※明衡往来(11C中か)上末「加之官爵之事只依二吹嘘一。世路之支莫レ不二
眷一」 〔梁宣帝‐牀詩〕

④ てあし。四肢。肢。
[2] 「しな(支那)」の略。
ささえ ささへ【支】
① ささえること。また、そのもの。つっかい。つっぱり。また、もちこたえること。ある状態を維持すること。
※おぼろ夜(1899)〈斎藤緑雨〉「今一吹の嵐の家あぶない処も又何とか、支(ササ)へのつかぬでもあるまい」
② 他人を中傷すること。ささえぐち。ささえごと。
※春鑑抄(1629)礼「『不二苟訾一』とは、人のことをむざとはそしらぬ事ぞ。そしればささえになるぞ」
つか・ゆ【支】
[1] 〘自ヤ下二〙 =つかえる(支)(一)
※日本書紀桃源抄(15C後)「鷹のゑをくうに胸につかゆるとき」
※浮世草子・風流曲三味線(1706)一「是は天一天井がつかゆるはと、暦張の屏風引たて」
[2] 〘他ヤ下二〙 =つかえる(支)(二)
※置炬燵(1890)〈斎藤緑雨〉中「燭台近く手を支(ツカ)ゆ」
か・う かふ【支】
〘他ワ五(ハ四)〙
① 物の下や横に当てて支えにする。添え支える。
※今昔(1120頃か)二八「喬様に臥して、鼻の下に物をかひて」
※史記抄(1477)一七「城を築てこくそをかうて」
② かんぬきや鍵などをかける。
※疑惑(1913)〈近松秋江〉「心張り棒がかってあった」
ささ・ゆ【支】
〘他ヤ下二〙 (ハ行下二段活用の「ささふ」から転じて、室町時代ごろから用いられた語。多くの場合、終止形は「ささゆる」の形をとる) =ささえる(支)
※土井本周易抄(1477)五「いかうと思へば、にがささゆる程に、其もえいかぬぞ」
※経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉後「守城の塁砦未だ充分ならず又久を支ゆるの糧食なし」
つっか・える つっかへる【支】
〘自ア下一(ハ下一)〙 「つかえる(支)」の変化した語。
※一九二八・三・一五(1928)〈小林多喜二〉五「その四つの壁に頭がつっかへるのは分り切ったことではないか」
ささ・う ささふ【支】
〘他ハ下二〙 ⇒ささえる(支)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報