月山(山形県)(読み)がっさん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「月山(山形県)」の意味・わかりやすい解説

月山(山形県)
がっさん

山形県中央部、出羽山地(でわさんち)の南端に位置する火山。標高1984メートル。鶴岡市(つるおかし)、庄内町(しょうないまち)、西川町との境をなし、県内を庄内と村山に二分する。磐梯(ばんだい)朝日国立公園の一部。山体は花崗(かこう)岩と第三紀層を基盤とし、これを貫いて火山の噴出物と安山岩などが層をなす成層火山で、形態的には似ているが、粘性の小さい溶岩からなるアスピーテ型火山ではない。西側には北西に大きく爆裂火口が開き急崖(きゅうがい)をなし、東側の緩やかな山体と好対照をみせている。山腹の標高1300メートルまではブナの純林がみられ、その上部はアオモリトドマツなどの針葉樹林をほとんど欠き、チシマザサ、ハイマツの高山帯に移行する日本海側の豪雪山地特有の植生を示す。山頂東斜面の広大な雪田は夏スキーのゲレンデとなるが、この下部には弥陀ヶ原(みだがはら)などの湿原(天然保護区域)が発達し、オゼコウホネなどの高山植物が多い。また月山は羽黒山、湯殿山(ゆどのさん)とともに出羽三山(でわさんざん)とよばれ、山頂には月山神社を祀(まつ)る霊山として信仰されてきた。登拝路として南東側から岩根沢、本道寺、大井沢、北側に肘折(ひじおり)、西側に羽黒山口の手向(とうげ)、湯殿山口の七五三掛(しめかけ)、大網の7口があった。現在は羽黒山口から八合目までバスが通る月山高原ライン、湯殿山口や志津(しづ)~姥沢(うばさわ)小屋口からの登山路が整備されている。

中川 重]


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