構造改革[日本](読み)こうぞうかいかく[にほん]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「構造改革[日本]」の意味・わかりやすい解説

構造改革[日本]
こうぞうかいかく[にほん]

江田三郎らが提唱し,1960年日本社会党の方針とされた政治理念。あらゆる階層の国民の生活向上を達成することを目標とし,「現在の資本主義経済の枠内で実施されうる変革」とされた。構造改革派の代表格であった江田は,ソビエト連邦・中国型の社会主義が時代遅れと考え,(1) アメリカ合衆国の平均した生活水準の高さ,(2) ソ連社会保障,(3) イギリスの議会制民主主義(→代表民主主義),(4) 日本の平和憲法(→日本国憲法)といった人類の成果が,新しい社会主義のイメージであるとした。構造改革論は,安保闘争(→安保改定問題)後の高度成長期に高まりつつあった国民の中流意識(→一億総中流)に訴えるものであったが,革命を目標に掲げ,勤労者の利益を代表する階級的大衆政党の立場に立つ党内左派からは「なしくずし革命論」と強く批判された。1977年に江田らは離党し,社会市民連合(→社会民主連合)を結党した。構造改革の理論は,イタリア共産党(→左翼民主党)のパルミーロ・トリアッチの論文集に由来する。トリアッチの構造改革の基本的な考えは,資本主義を急進的に転覆するのではなく,あらゆる社会の構造の改革を積み重ねて社会主義の実現をはかるというものである。

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