混沌・渾沌(読み)こんとん

精選版 日本国語大辞典 「混沌・渾沌」の意味・読み・例文・類語

こん‐とん【混沌・渾沌】

〘名〙 (形動ナリ・タリ)
大昔、天と地とがまだ分かれていない状態。
※本朝文粋(1060頃)三・松竹〈藤原広業〉「濛昧混沌之中。一雞初生二三」 〔淮南子‐詮言訓〕
物事区別がはっきりしないこと。また、そのさま。もやもやしている状態。
※文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉二「無為渾沌にして人事少なき世に在ては」
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉新詩人「斯の如き混沌たる宇宙に漂ふて津涯(しんがい)を知る能はざる我々人間は」
③ 事態が流動的で、どう結着がつくかわからないさま。
④ 「荘子‐応帝王」に見える太古の伝説上の中央の神。耳、目、口、鼻の七孔がなかったので、南海北海の神が七日で七孔をうがったところ、死んでしまったという。転じて、いらざる世話をしてそのものを害することにいう。
翁問答(1650)下「一向に世人の誉をもとめて、徳性の養をたちすて、混沌(コントン)の死する事をしらざること、恰も楚女の寵愛をもとめて餓死したるに似たる故に」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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