(読み)オン

デジタル大辞泉 「温」の意味・読み・例文・類語

おん【温】[漢字項目]

[音]オン(ヲン)(呉)(漢) ウン(唐) [訓]あたたか あたたかい あたたまる あたためる ぬくい
学習漢字]3年
あたたかい。「温気おんき・うんき温室温泉温暖
あたたかさの度合い。温度。「気温検温高温常温水温体温地温低温適温保温
顔色や心がおだやかである。「温顔温厚温情
大切にする。「温存
おさらいをする。「温故温習
[名のり]あつ・あつし・いろ・おつ・すなお・ただす・なが・ならう・のどか・はる・まさ・みつ・やす・ゆたか・よし
難読温州うんしゅう温明殿うんめいでん微温湯ぬるまゆ微温ぬる

ぬく【温】

形容詞「ぬくい」の語幹から》人をののしっていう語。まぬけ。のろま。
「そこな―め」〈浄・鑓の権三

うん【温】[漢字項目]

おん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「温」の意味・読み・例文・類語

ぬくもり【温】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ぬくもる(温)」の連用形名詞化 ) あたたまること。ぬくまること。あたたかみのこもること。また、そのあたたかみ。ぬくまり。
    1. [初出の実例]「ぬくもりもさめぬ付さし月見酒 刈蕎麦かきや宿のもてなし」(出典:俳諧・独吟一日千句(1675)第四)

ぬくまり【温】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ぬくまる(温)」の連用形の名詞化 ) =ぬくもり(温)
    1. [初出の実例]「ゆかは煖炉の温まりにて解けたる、靴の雪にぬれたれば」(出典:うたかたの記(1890)〈森鴎外〉上)

おんヲン【温】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) あたたかなこと。また、そのさま。また、おだやかなさま。
    1. [初出の実例]「沈は温也、実也」(出典:史記抄(1477)一四)
    2. [その他の文献]〔論語‐述而〕

ぬく【温】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形容詞「ぬくい」の語幹から ) 人をののしっていう語。のろま。ばか。とんま。
    1. [初出の実例]「其ときかのおぬく申けるは」(出典:咄本・一休関東咄(1672)中)

ぬくめ【温】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ぬくめる(温)」の連用形の名詞化 )
  2. あたためること。また、あたためるためのもの。
  3. 秋や冬に川に枯木などを沈めておき、これにこもる魚を捕えること。

ぬるめ【温】

  1. 〘 名詞 〙 田へ引く水が温まるように迂回(うかい)させた水路

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「温」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)
人名用漢字 13画

[字音] オン(ヲン)・ウン
[字訓] あたたかい・おだやか

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(おん)。は皿(べい)(盤)上の器中が温められて、熱気がみちている形で、の初文。〔広雅、釈詁三〕に「(あたた)むるなり」、〔玉〕に「漸く熱きなり」とあり、温煖の意。

[訓義]
1. あたたかい。
2. 人の心意に移して、おだやか。
3. よく温熟する、ならう、たずねる。
4. に通じ、つつむ。

[古辞書の訓]
名義抄 アタタム・タヅヌ・ウルフ・ツツム・シル・アタタカナリ・ウツクシ・ヤハラカナリ

[声系]
〔説文〕に声としてを収める。字はまたに作る。積・の意があり、の声義を承ける。

[語系]
un、)iun、in、鬱iut、燠iuk、郁iukは声義に通ずるところがある。みな、うちにとじこめられて、こもる意がある。〔論語、為政〕の「故」はの意にあたる。

[熟語]
・温・温郁温燠・温繹・温温・温雅・温顔・温気・温給・温恭・温煦・温言・温故・温乎・温厚・温好・温克・温辞・温室・温酒・温濡・温習・温柔・温恤・温潤・温純・温淳・温書・温恕・温食・温信・温慎・温仁・温尋・温・温静・温然・温足・温存・温暖・温適・温湯・温突・温飩・温軟温熱・温念・温敏・温馥・温房・温飽・温裕・温涼・温良・温麗・温和
[下接語]
家温・寒温・気温・玉温・検温・香温・高温・辞温・酒温・常温・水温・清温・静温・体温・低温・晩温・微温・涼温・炉温・和温

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android