絶えて(読み)タエテ

デジタル大辞泉 「絶えて」の意味・読み・例文・類語

たえ‐て【絶えて】

[副]
ある事柄がとだえて長い時間がたったさま。その後ずっと。「卒業以来絶えて久しい御無沙汰である」
あとに打消しの語を伴って、否定の意を強める語。全然。一向に。「そのような事件絶えて聞いたことがない」
まったく。まことに。
「玉の緒の―短き命もて年月長き恋もするかな」〈後撰・恋二〉
[類語](2一向全く全然さっぱりまるきりまるで少しもからきしちっとも皆目一切まるっきり何らとんといささかも毫も微塵も毛頭更更何もなんにも何一つ一つとして到底とても全くもってどだいてんで寸分一寸寸毫毫末夢にも

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精選版 日本国語大辞典 「絶えて」の意味・読み・例文・類語

たえ‐て【絶て】

  1. 〘 副詞 〙 ( 動詞「たえる(絶)」の連用形助詞「て」が付いてできたもの )
  2. 否定表現を伴ってそれを強調する。すこしも。全然。一向に。さっぱり。
    1. [初出の実例]「此めの童(わらは)は、たへて宮仕つかうまつるべくもあらずはんべるを、もてわづらひ侍り」(出典竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」(出典:伊勢物語(10C前)八二)
  3. 否定的・悲観的なことばや表現を伴って、それを強調する。転じて、肯定的な文脈でも用いる。まったく。まことに。
    1. [初出の実例]「風ふけば峯にわかるる白雲のたえてつれなき君が心か〈壬生忠岑〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋二・六〇一)
  4. ( 「絶えて久しい」の意味を含めて ) 久しく。ずっと。
    1. [初出の実例]「絶(タエ)紹巴説話(ものがたり)を聞かず」(出典:読本・雨月物語(1776)仏法僧)

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