何等(読み)ナンラ

デジタル大辞泉 「何等」の意味・読み・例文・類語

なん‐ら【何等】

[副]《「なにら」の音変化》
(あとに打消しの表現を伴って)まったく。少しも。「何等恥じるところはない」
(「なんらの…もない」などの形で)ほんの少し。わずか。「何等利益もない」
「なんらの」の形で、あとの語の内容を強調する。なんという。
「―の至幸、―の快事」〈織田訳・花柳春話
(「なんらの…か」などの形で)どのよう。どれほど。
「其胸中には―の感想が往来してたであろうか」〈木下尚江火の柱
[類語](1全然全く一向さっぱりまるきりまるで少しもからきしちっとも皆目一切まるっきりとんといささかも毫も微塵も毛頭更更何もなんにも何一つ一つとして到底とても全くもってどだいてんで寸分一寸寸毫毫末夢にも元元元来本来大体自体そもそも元より根っから今まで従来年来旧来これまで在来従前古来かねがねかねて常常つねづね間断かんだん延延連綿長長ながなが脈脈綿綿縷縷るる前前まえまえずっと生まれつき生来

なに‐ら【何等】

[副]なんら」に同じ。
「―の事柄を以てする」〈逍遥小説神髄

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「何等」の意味・読み・例文・類語

なん‐ら【何等】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「なにら(何等)」の変化した語 )
  2. 不明なもの、不明なことをさしていう。なに。「なんらの」の形で用いられることが多い。
    1. [初出の実例]「人々候、何等事、大饗間問給、人々令申者也」(出典:後二条師通記‐永保三年(1083)正月二四日)
  3. 「なんらの…」の形で、下にくることばや表現を強めるのに用いる。なんという。
    1. [初出の実例]「何等の至幸、何等の快事」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉四)
  4. ( 「なんらの…」という体言相当の句が、下に打消や疑問の表現を伴って ) なにほどの、どのような、の意で用いる。
    1. [初出の実例]「其胸中には何等(ナンラ)の感想が往来してたであらうか」(出典:火の柱(1904)〈木下尚江〉五)
  5. ( 下に打消の表現を伴って ) 強い否定の気持を表わす。なにも。すこしも。
    1. [初出の実例]「なんら物的証拠もないのに」(出典:小説平家(1965‐67)〈花田清輝〉四)

何等の補助注記

漢字の例は「なにら」と読まれた可能性も強いが、便宜上この項にまとめた。→なにら


なに‐ら【何等】

  1. 〘 副詞 〙なんら(何等)
    1. [初出の実例]「何等 ナニラ」(出典:文明本節用集(室町中))
    2. 「其子孫等にものがたるに何等(ナニラ)の事柄を以てする乎」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上)

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