出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
マコモや藁(わら)を編んだもので,敷物や被覆材として用いる。古くはマコモで織ったがスゲやチガヤ,イ(藺),ガマ(蒲),竹なども用い,現在は藁が一般的である。盆の精霊棚に新薦(あらごも)を敷く風習は古代の遺風を示しており,かつては殿上の大床や,大饗(たいきよう)の敷物,あるいは神事の斎庭(ゆにわ)や神前への奉納物の敷物として用いられた。神事などの敷物はすべて清浄を尊んで毎回新しくするしきたりであったが,民間ではこもはむしろ粗末なものとして扱われることが多い。産所にこもを敷くことは,愛媛県下でお産のことをコモウケといったり,山形県下で産婆をコモカブリということからも知れる。乞食や私娼をコモカブリというのもこれらがいつもこもをかぶっているからであり,戸のあけたてのぞんざいなるを〈こもたれ子〉とさげすむのは,出入口の戸の代りに小さな家ではこも類をさげたなごりである。こもは包装材としても使われ,こもで包んだ主に4斗入りの酒樽を薦被(こもかぶり)という。
→筵(むしろ)
執筆者:大島 暁雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
水辺に生えるイネ科の多年草マコモの古名で、それを粗く編んでつくったむしろをいう。「菰」とも書く。「薦かぶり」は、薦で包んだ4斗(約72リットル)入りの酒樽(さかだる)、また、乞食(こじき)がいつも薦をかぶっていたところから、乞食の別称ともなった。出入口の戸、障子のかわりに薦を垂らした貧家、乞食小屋を「薦垂(だ)れ」「薦吊(つる)し」という。また「薦枕(まくら)」は、マコモを束ねてつくった枕であるが、平安時代以降、水辺の旅寝を例えていった。
[兼築信行]
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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