足る(読み)タル

デジタル大辞泉 「足る」の意味・読み・例文・類語

た・る【足る】

[動ラ五(四)]
足りる」に同じ。「配慮が―・らぬ」「一見するに―・る」
満足する。「―・るを知らざる者は富むといえども貧し」
[類語](2満ち足りる満足満悦充足飽満自足自得会心・充足感・充実感・自己満足本望心行く堪能たんのうする満喫する安住する・安んずる甘んずる十分十全嬉しい楽しい面白い喜ばしい喜び愉快痛快結構喜悦有頂天納得慊焉けんえん三平思わしい上機嫌ご機嫌おんの字足りる舞い上がる満たす気を良くする溜飲りゅういんを下げる言うことなし気に意に適ううきうきうはうはわくわくいそいそぞくぞく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「足る」の意味・読み・例文・類語

た・る【足】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 十分である。満ち整っている。不足がない。欠けたところがない。たりる。
    1. [初出の実例]「千葉の 葛野を見れば 百千(ももち)陀流(ダル) 家庭も見ゆ 国の秀も見ゆ」(出典古事記(712)中・歌謡)
    2. 「かくたりて、あかぬ事なくよく仕うまつれば」(出典:落窪物語(10C後)四)
  3. 分に相応する。分にふさわしい。資格がある。また、価値がある。たりる。
    1. [初出の実例]「たをやぎたるけはひ、御子たちといはむにもたりぬべし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)松風)
    2. 「其の行状の端正なるは人の亀鑑と為すに足る」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二四)
  4. 満足する。安心する。
    1. [初出の実例]「天地 日月と共に 満(たり)行かむ 神の御面と」(出典:万葉集(8C後)二・二二〇)
  5. 一定数量に達する。また、長ずる。
    1. [初出の実例]「仏造る真朱(まそほ)(たら)ずは水渟る池田朝臣(あそ)が鼻の上を穿れ」(出典:万葉集(8C後)一六・三八四一)
    2. 「やうやう御よはひたりおはしまして、何事もわきまへさせ給ふべき時に至りて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)薄雲)
  6. 頭の働きがすぐれている。たりる。下に打消の語を伴って用いる。→たらぬ
    1. [初出の実例]「此者万にたらざりけるゆへ、皆人ばか山田と名をよべば」(出典:慶長見聞集(1614)六)

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